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トルコ、COP31に向け「アンタルヤAI誓約」を公表 AIの環境負荷と脱炭素への活用を解説

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トルコ、COP31に向け「アンタルヤAI誓約」を公表 AIの環境負荷と脱炭素への活用を解説

AIの活用が広がるなか、その電力消費や環境負荷をどう管理するかが、国際的な気候変動対策の論点になっている。COP31の議長国を務めるトルコは、AIの環境負荷の低減と気候変動対策への活用を目指す「アンタルヤAI誓約」を公表し、各国や企業などに参加を呼びかけている。11月16日には、COP31の関連会合で正式に発表する予定だ。

この誓約は、AIを開発・提供する企業に加え、AIサービスを調達・利用する企業も対象としている。本記事では、エネルギー使用量の開示や低排出の電力の利用など、誓約の主な内容と、日本企業が押さえておきたいポイントを解説する。

※本記事は2026年10月30日時点の公開情報に基づく。

INDEX

COP31に向けて公表された「アンタルヤAI誓約」とは

COP31は、国連気候変動枠組条約の第31回締約国会議で、2026年11月9日から20日まで、トルコのアンタルヤで開催される。

議長国のトルコは、国際電気通信連合(ITU)と協力してアンタルヤAI誓約を策定してきた。9月に構想を公表し、ITUの開催案内によると、11月16日の「AIに関するハイレベル・グリーンデジタルアクション円卓会議」で正式に発表する予定だ。

誓約は、各国政府に加え、企業、投資家、金融機関、研究機関、自治体、市民社会組織などの参加を想定している。一方で、自主的な枠組みであり、新たな義務を生じさせないことを明記している。各国や企業に一律の法的義務を課す国際規制とは区別して理解する必要がある。

アンタルヤAI誓約が掲げる4つの取り組み

アンタルヤAI誓約の特徴は、AIを支えるインフラの整備から、AIの設計・調達、環境影響の測定、気候変動対策への活用までを一体で扱っている点だ。誓約本文は、次の4つを柱に掲げている。

1.AIインフラの持続可能な整備・運用

AIやデータセンターの運用に使う電力について、ゼロ・低排出エネルギーの割合を高めるとともに、冷却設備の効率化や、電力・水の利用効率の改善を進める。

また、増加する電力需要を持続可能な形で満たせるよう、AIインフラと電力系統の接続・運用を進めることや、送電設備の増強などに伴う費用を適切に分担することも盛り込まれている。

2.ライフサイクルを通じた責任ある設計・管理・調達

AIシステムの開発・調達・導入にあたり、環境面の国際標準や枠組みを活用する。運用中のエネルギー消費だけでなく、使用を終えた機器の適切な撤去、再利用、リサイクル、電子廃棄物の管理なども対象としている。

3.AIの環境影響の評価・報告

国際協力を通じて、AIシステムの環境影響を評価するための技術基盤や人材・組織の能力を強化する。また、各国の事情や法令に沿って、取り組みの結果やデータを共有することも掲げている。

4.気候変動対策に向けたAI活用の支援

排出削減や気候変動への適応、災害などへの対応力の向上に役立つAIの開発・普及に向け、資金、計算資源、データ、研修などを提供する。特に、途上国、後発開発途上国、小島嶼開発途上国への支援を重視している。

附属書には、政府向けと、企業など政府以外の参加者向けに、追加で選択できる自主的な取り組みが示されている。企業などを対象とする附属書Bには、AIシステムの環境影響の評価・公表、調達先への情報開示要求、AIインフラに使うゼロ・低排出エネルギーの割合の引き上げなどが含まれる。

数値目標や期限の一部は、参加者自身が設定する形式だ。すべての参加者に共通する削減率や達成年を定めているわけではないため、選択する取り組みと目標の水準が実効性を左右する。

拡大するAIの電力需要 効率と総消費量の両方を見る

誓約の背景には、AIの普及に伴うデータセンターの電力需要の拡大がある。

国際エネルギー機関(IEA)の2026年報告書「Key Questions on Energy and AI」は、世界のデータセンターの電力消費量が、2025年の485TWhから2030年には950TWhへと、おおむね倍増すると予測している。2030年には、世界の電力需要の約3%を占める見通しだ。なお、この数値はAI専用施設だけでなく、データセンター全体を対象としている。

AIの処理効率自体は改善している。しかしIEAは、利用の急拡大に加え、動画生成や推論、AIエージェントによる処理など、エネルギー消費の多い用途の広がりにも注目している。処理1回当たりの効率が高まっても、利用量や用途の変化によって、電力の総消費量が増える可能性がある。

企業がAIの環境負荷を評価する際は、省エネ性能だけでなく、利用量、電力の調達方法、冷却に使う水、機器の製造・廃棄まで含めて捉えることが重要になる。

AIの環境負荷と排出削減への貢献を併せて評価

AIには、エネルギーシステムの最適化、産業の効率化、環境モニタリング、防災などを支援する可能性がある。ITUも、これらを気候変動対策におけるAIの活用例として挙げている。

アンタルヤAI誓約の附属書Bには、気候変動対策に用いるAIについて、温室効果ガス排出量への正味の影響を評価・公表する項目がある。AI自身が生む排出と、AIの活用による排出削減・回避への貢献の両方を考慮するという内容だ。

企業がこうした評価を行う際は、AI導入後に減った電力や燃料の量に加え、導入前後の比較条件、評価期間、AIの運用に伴うエネルギー消費などを明確にする必要がある。業務時間の短縮などの効率化と、温室効果ガスの排出削減を分けて検証することで、導入効果をより具体的に説明できる。

自主的な約束を成果につなげられるか

誓約に対しては、方向性を評価する一方で、説明責任や実行を確保する仕組みの強化を求める声もある。

世界資源研究所(WRI)は2026年10月27日の声明で、AIが気候変動対策に役立つ可能性と、電力・水・地域社会への負荷を同時に扱った点を評価した。そのうえで、各国や企業の行動を促し、責任を明確にする仕組みが不足していると指摘している。特に、データセンターの整備に影響を受ける地域住民の意思決定への参加や、水・大気への影響を抑える対策を課題に挙げた。

米国の環境団体NRDCも、環境影響の報告や途上国支援を前進と捉えつつ、企業が取り組みを選ぶ裁量が大きく、説明責任の確保や実行を担保する仕組みが弱いと評価している。

誓約本文は、COP32を起点に2030年まで、毎年のCOPで参加者全体の進捗を確認することを呼びかけている。今後は参加数に加え、具体的な目標、公開されるデータ、進捗確認の方法が焦点となる。

日本企業が検討したい3つの対応

アンタルヤAI誓約は、すべての日本企業に新たな対応を義務づけるものではない。一方で、その内容を踏まえると、AIを導入・調達する企業には、次の対応が考えられる。

1.調達先に確認する環境情報を整理する

AIサービスやクラウドを選定する際に、エネルギー使用量、排出量、水利用など、どのような環境情報が開示されているかを確認する。数値がサービス単位のものか、事業者全体のものかを区別し、対象範囲や算定方法も併せて把握することが重要だ。

2.AIの利用目的に応じて効果を検証する

省エネや排出削減を目的にAIを導入する場合は、導入前後の比較条件と評価指標を決める。生産量や気象条件などの変化も考慮し、AI導入による効果を説明できるデータを蓄積することが有効だ。

3.サステナビリティ部門とIT・調達部門で連携する

AIの導入判断には、性能、費用、セキュリティに加え、環境面の情報も関わってくる。各部門で確認項目やデータの管理方法を共有することで、サービス選定時の評価を導入後の検証につなげやすくなる。

まとめ

アンタルヤAI誓約は、AIの環境負荷を抑えることと、気候変動対策への活用を進めることの両立を目指している。AIの開発企業だけでなく、利用・調達する企業にも、調達先への情報開示要求や導入効果の検証など、取り組みの選択肢を示している。

自主的な枠組みであるため、実効性は、参加者が掲げる目標や期限、測定・開示、進捗確認の仕組みに左右される。企業にとっても、AI活用の成果と環境負荷を併せて把握し、調達や導入後の評価に生かすことが重要になる。

こうした議論が進むなか、企業のサステナビリティ業務でもAIの活用が広がっています。アスエネは、自律型AIエージェントプラットフォーム「ASUENE AIP」を通じて、CO2排出量の算定や非財務情報の収集・管理、報告書作成などの自動化を支援しています。

ASUENE AIPについて詳しくはこちら

出展一覧

COP31議長国「Antalya Artificial Intelligence Pledge」(本文・附属書A/B)

UNFCCC「Information for COP 31 participants (A-Z)」

COP31議長国「COP31 Presidency launches 35-by-35 Pledge and Antalya AI Pledge in New York」

ITU「High-Level Green Digital Action Roundtable on AI」

IEA「Key Questions on Energy and AI」(2026年)Executive summary

WRI「Antalya AI Pledge Must Turn Climate Ambition into Accountability」(2026年10月27日)

NRDC「Antalya AI Pledge is an Important Start, But Needs Teeth and Must Go Further」(2026年10月27日)

アスエネ株式会社「自律型AIエージェントプラットフォーム『ASUENE AIP』と『AXコンサルティング』の新サービスをローンチ」(2026年10月7日)

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