サステナブル企業紹介

川崎重工が「カーボンニュートラル勉強会」を開催。サプライチェーン全体で挑むカーボンニュートラルとは

  • xのアイコン
  • facebookのアイコン
川崎重工が「カーボンニュートラル勉強会」を開催。サプライチェーン全体で挑むカーボンニュートラルとは

グローバルなサプライチェーンを持つ重工メーカー川崎重工は、川崎重工の共創拠点「CO-CREATION PARK KAWARUBA(以降、KAWARUBA)」にて、「カーボンニュートラル勉強会」をハイブリッド形式で開催しました。本勉強会は、川崎重工の調達本部が主催となり、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの推進を目的として企画されたものです。

当日は、川崎重工 調達本部長による開会挨拶に続き、住友重機械工業およびアスエネが講演を行いました。さらに、勉強会終了後には「KAWARUBA」の見学ツアーが実施されました。

グローバルに事業を展開する企業においては、サプライチェーン全体の排出量であるScope3を含めた算定・開示の高度化と透明性向上が強く求められています。特に、Scope3排出量の把握と削減にはサプライヤーとの連携が不可欠です。

サプライチェーン全体での脱炭素が実務フェーズへと移行するなか、サプライヤーをどのように巻き込み、Scope3対応を進めていくべきかが問われています。本記事では、Scope3におけるCO2排出量の把握と、その先にある削減に向けた取り組み、さらにサプライヤーとの連携強化の考え方をレポートします。

INDEX

「Scope3」の壁とは。サプライチェーン全体で挑むべき排出量削減

本勉強会は、主催者である川崎重工 調達本部長による開会挨拶から始まりました。挨拶では、カーボンニュートラルに限らず、さまざまな分野においてサプライヤーとともに取り組みを進めていきたいという同社の考えが示されました。

グローバルな規制への対応や投資家からの信頼確保の観点から、Scope1・2といった自社の排出量の算定・開示だけではなく、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを実現することが重要です。そのため、サプライヤーとともに、原材料調達から使用、廃棄に至るまでのCO2排出量を算定すること、つまりサプライチェーン上流にあたる排出量であるScope3カテゴリー1の把握と削減が不可欠であると説明しました。

また、日本商工会議所が2024年に実施した調査結果を紹介し、取引先から排出量の算定・開示要請を受けている企業は急速に拡大している点に言及しました。同社としても、こうした動きは今後さらに加速すると認識していると述べました。

Scope3の算定を進めるにあたっては、一次サプライヤーが保有する工場や事業活動に伴う排出量データの把握が前提となるとしたうえで、これまで独自のExcelファイルを用いて行ってきた調査から、2025年度はアスエネのクラウドシステムを活用した集計へ移行する方針を示しました。

アスエネが示す、サプライチェーン全体で迫られる脱炭素対応の最新動向

次に登壇したのは、企業や自治体の脱炭素・ESG経営を支援するクライメートテック企業のアスエネです。アスエネは、川崎重工へサプライチェーンにおけるESG(環境・社会・ガバナンス)経営を可視化するクラウドサービス「ASUENE ESG」を提供しています。川崎重工と取引先企業が共にカーボンニュートラルへの取り組みを進めるための知見と仕組みを提供する立場で本勉強会に参加しました。

講演では、「サプライチェーン全体で考える カーボンニュートラルの現在地と、企業に求められる対応」をテーマに、川崎重工のCO2排出量管理の基盤を支える取り組みとともに、サプライチェーンを取り巻く社会的・制度的な変化について解説しました。

「現在、多くの中小企業が脱炭素への対応を始めるきっかけとなっているのは、バイヤーからの要請です。大手企業が投資家や規制当局から排出量開示を求められており、サプライヤーへの排出量開示要請についても、この数年で急速に拡大しています。

実際に、大手製造業の調達ガイドラインでは、SBT(科学的根拠に基づく目標)への準拠が求められ、改善が見られない場合には取引停止の可能性が示唆されるケースも出てきました。また、公共入札においては、価格や品質と並び、サステナビリティ評価が同等の配点で扱われる事例も増えています。脱炭素への対応は、もはや単なる環境活動ではなく、ビジネスを継続するための前提条件になりつつあります。

さらに、大手電気機器メーカーなどでは、サプライヤー選定の評価項目にサステナビリティを加え、価格や品質と同じ比率で評価する動きも見られます。早い段階でCO2排出量を見える化し、削減に向けたアクションを示せる企業は、競合他社に先んじてバイヤーからの信頼を獲得し、安定した取引関係を築くことができます。脱炭素への対応は、単なる要請対応ではなく、バイヤーとサプライヤーが協力して進める取り組みとして位置づけられつつあります。バイヤー側も、単に要請するだけでなく、算定ツールの提供や教育、削減に向けた伴走支援を強化しています」

「脱炭素への取り組みは、単なる対応コストではありません。企業の競争力を高める要素にもなり得ます。重要なのは、『危機をチャンスに変える視点』を持つことです」

住友重機械工業が語る、経営課題としての脱炭素と責任ある調達

続いて登壇したのは、川崎重工と同じく機械メーカーの住友重機械工業です。川崎重工と事業領域が重なる同社にとっても、サプライチェーン全体での脱炭素対応は避けて通れない経営課題となっています。講演では、環境・社会への配慮を含めたサステナビリティへの取り組みや、サプライチェーン全体で進める責任ある調達活動について紹介されました。

「当社は機械メーカーとして、自社の排出量削減に取り組んでいますが、それだけでは十分ではありません。他社に製品を供給する立場として、排出量データの開示や、製品単位でのカーボンフットプリント(CFP)への対応も進めています。カーボンニュートラルは、自社だけで完結できるテーマではなく、サプライチェーン全体で取り組む必要があります。

そのため当社では、Scope3への対応を単なる算定作業として捉えるのではなく、環境負荷低減目標の設定や責任ある調達活動を含めた経営課題として位置づけています。サプライヤーの皆さまと連携しながら、実務としてどのように落とし込むかを模索し、データの収集や精度向上にも取り組んでいます。

また、環境対応に加えて、人権や労働環境といった社会的側面も含めた責任ある調達の重要性が高まっています。品質・コスト・納期といった従来の評価軸に加え、サステナビリティの視点を調達活動に組み込むことが、これからの製造業には求められています。当社としても、サプライチェーンの一員としての責任を果たすべく、社内体制の整備を進めています」

同業である川崎重工と住友重機械工業が、Scope3を共通のテーマとして捉え、それぞれの立場から実務に落とし込む取り組みを共有したことは、カーボンニュートラルが一社単独の努力では成し得ないことを示しています。製造業全体が構造的な課題として、サプライチェーン全体で脱炭素に向き合う必要性が改めて共有されました。

2024年度CO2排出量報告と閉会の挨拶

勉強会の最後には、川崎重工 調達本部から、2024年度のCO2排出量報告に関する依頼があらためて共有されました。2025年度以降は、従来の独自Excelによる調査から、アスエネのクラウドサービスを活用した排出量収集へ移行する方針が示され、ユーザー登録や回答期限などの実務面について説明が行われました。続く調達企画部副部長による閉会挨拶では、脱炭素に向けた取り組みをサプライヤーとともに継続して進めていく考えが示され、本勉強会は締めくくられました。

川崎重工の共創拠点「KAWARUBA」で見る脱炭素技術の実装と将来像

勉強会の終了後、参加者は川崎重工の共創拠点「KAWARUBA」の見学ツアーに参加しました。会場では、水素関連技術や省エネルギー設備など、社会課題の解決に向けた最新技術や、すでに実装段階にある取り組みが紹介されました。これらはいずれも、川崎重工が多様なパートナー企業とともに積み重ねてきた共創の成果です。

参加者には、脱炭素に向けた取り組みが単なる数値管理や要請対応にとどまらず、技術や事業を通じて社会実装へとつながっていくプロセスが紹介されました。そしてそのことは、自社が川崎重工と連携して脱炭素を進めることで、どのような未来社会に貢献できるのかを具体的にし、脱炭素に向けた取り組みを、自社の事業活動にどう結びつけていくかを考える機会となりました。

今回の勉強会を通じて、カーボンニュートラルは、サプライチェーンという有機的なつながり全体で取り組むべきテーマであることが改めて示されました。バイヤー、サプライヤーといった立場を超え、排出量の把握と削減の道筋を共有できるかどうかが、今後の競争力を左右していきます。

  • xのアイコン
  • facebookのアイコン

タグから探す

人気記事ランキング

役立つ無料ガイド集​​

まとめて資料請求

related/ 関連記事

Pick UP/ 注目記事

GUIDE BOOK/ 役立つ無料ガイド集

  • 人気No.1

    サービス概要

    この資料で分かること
    サービス概要、利用プラン
    CO2削減実行までの基本
    効率的な各種算定方法など

    サービス概要、利用プランなどを知りたい方はこちら

    資料ダウンロード

  • 他社事例を
    知りたい方はこちら

    アスエネ事例集

    掲載企業(一部)
    株式会社コメダホールディングス
    GMOペイメントゲートウェイ株式会社
    日本トムソン株式会社 ...など

    他社事例を知りたい方はこちら

    資料ダウンロード

  • 製品別のCO2排出量を
    見える化したい方

    CO2排出量の基礎

    この資料で分かること
    Scope1-3の見える化
    Scope1-3算定のメリット
    Scope3算定手順

    製品別のCO2排出量を見える化したい方はこちら

    資料ダウンロード

  • 最新のSDGsの
    取り組みを知りたい方

    SDGs資料

    この資料で分かること
    最新のSDGsの企業取組一覧

    最新のSDGsの取り組みを知りたい方はこちら

    資料ダウンロード

  • 近年の気候変動の
    状況を知りたい方

    温暖化資料

    この資料で分かること
    気候変動の状況や対策についてのまとめ

    近年の気候変動の状況を知りたい方はこちら

    資料ダウンロード