1996年の設立以来、約30年にわたり太陽光発電の普及に取り組んできた株式会社サンパワー。キヤノンの薄型太陽光発電システムを日本で初めて販売し、施工特許を取得するなど、業界のパイオニアとして歩んできた。今回は「24時間自己託送」の実現や、系統用蓄電池の分譲型販売、次世代太陽電池「ペロブスカイト」への取り組みなど、同社が描くエネルギーの未来について、代表取締役の山本昭彦氏に詳しく話を伺った。
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時代を先取りした太陽光発電のパイオニア
―― まずは御社設立の経緯について教えてください。
山本氏:当社は1996年(平成8年)に設立し、今年で約30年になります。会社名の「サンパワー」は、太陽の力という意味を込めて名付けました。当初から太陽光発電に特化した事業を展開してきました。
設立のきっかけは、キヤノンが開発した薄型太陽光発電システムでした。当時としては画期的な製品で、従来のガラスパネルとは異なり、ステンレスの薄い基板にシリコンを吹き付けて作るものでした。厚さは従来の200分の1程度で、見た目も美しく、屋根と一体化するようなデザインでした。
―― 当時としては非常に先進的な技術だったのですね。
山本氏:はい。キヤノンから「この製品を販売する会社を作ってほしい」という依頼を受けて、当社を設立しました。関西での販売を一手に引き受け、新聞の一面広告を出すなど、積極的に営業活動を行いました。
ただ、当時はすべてが手作業での製造だったため、注文が増えれば増えるほど、製造が追いつかず赤字が膨らんでいきました。太陽光発電システム自体も非常に高価で、1軒あたり1,500万円以上するケースもありました。補助金制度も整備されておらず、市場の理解も十分ではありませんでした。
―― その後、キヤノンは事業から撤退されたと聞きました。
山本氏:そうです。数年後、キヤノンから「作れば作るほど赤字になるので撤退する」という連絡がありました。まさに時代を先取りしすぎてしまったのです。
しかし、私たちはその間に培った施工技術を活かして特許を取得しました。この技術とノウハウは今も当社の強みとして生きています。時代がようやく追いついてきた今、あの経験が花開こうとしているのです。
3つの柱で挑む日本のエネルギー課題
―― 現在の御社の主な事業領域について教えてください。
山本氏:当社は現在、大きく3つの柱で事業を展開しています。いずれも国が推進している事業であり、社会的なニーズが非常に高い分野です。
1つ目は「データセンター用電源の確保」です。データセンターは膨大な電力を消費しますが、現在は化石燃料由来の電気に頼っているケースがほとんどです。さらに、再生可能エネルギーへの転換が求められる中、安定した電源の確保が課題となっています。当社の自己託送技術を使えば、遠隔地の太陽光発電所から直接クリーンな電力を供給することが可能です。
2つ目は「系統用蓄電池の分譲販売」です。系統用蓄電池は、電力の需給調整に欠かせないインフラですが、従来は1件あたり5億円から10億円もの投資が必要でした。当社では、これを分譲型にすることで、1口1,000万円程度から参入できる仕組みを構築しました。表面利回りは15%程度、最終的には20%近くになる案件もあります。銀行にお金を預けておくより、はるかに高い収益が期待できます。
3つ目は「ペロブスカイト太陽電池」への取り組みです。ペロブスカイトは次世代の太陽電池として国が全力で支援している技術です。従来のシリコンパネルとは異なり、フィルム状で非常に軽量なため、これまで設置が難しかった場所にも展開できます。
―― ペロブスカイト太陽電池について、もう少し詳しく教えてください。
山本氏:ペロブスカイトの最大の特徴は、原材料となる資源が日本国内に豊富にあることです。特に千葉県には無尽蔵と言えるほどの埋蔵量があります。中国からの輸入に頼らずに済むため、エネルギー安全保障の観点からも非常に重要な技術です。
従来のシリコン太陽電池は、レアメタルの多くを中国からの輸入に依存しています。万が一、輸出が止められれば、日本の製造業は大きな打撃を受けます。しかし、ペロブスカイトであれば、そうしたリスクを回避できるのです。
当社は、キヤノン時代に培った薄膜太陽電池の施工技術を持っています。ペロブスカイトの設置・施工においても、この経験を活かせると考えています。国も莫大な補助金を投入してペロブスカイトの普及を推進しており、まさに当社にとって追い風の状況です。
「24時間自己託送」の実現
―― 御社が実現した「24時間自己託送」について詳しく教えてください。
山本氏:自己託送とは、自社の発電所で作った電気を、電力会社の送電網を使って自社の別の拠点に送る仕組みのことです。当社はこれを、昼間だけでなく夜間も含めた24時間で実現しました。これは日本でも珍しい取り組みです。
従来の自己託送は、昼間の太陽光発電のみでした。しかし、企業活動は24時間行われるケースも多く、夜間の電力は結局、化石燃料由来の電気を購入する必要がありました。これでは本当の意味での脱炭素とは言えません。
当社では、昼間に発電した電気を大型蓄電池に蓄え、夜間はその電気を使用するシステムを構築しました。三重県津市に商業用1,500kWの太陽光発電設備と、400kWhの定置型蓄電池を設置し、2025年に完成させました。
―― 蓄電池を使った自己託送は、コスト面では採算が取れるのでしょうか。
山本氏:これが重要なポイントです。通常、太陽光発電に蓄電池を組み合わせると、設備投資が膨大になり、投資回収に40年から50年かかってしまいます。それでは事業として成り立ちません。
しかし、当社のシステムでは約13年で投資回収が可能です。昼間だけの自己託送であれば7〜8年ですが、蓄電池を加えても13年程度で済むのです。これは、当社独自のノウハウと設計技術によるものです。
さらに、資本金1億円以下の中小企業であれば、中小企業経営強化税制を活用して、設備投資を初年度に一括償却することができます。つまり、本来であれば税金として支払うはずだったお金を、設備投資に回せるのです。そうなると、実質的にはほぼタダで設備を導入できることになります。
―― 具体的な導入実績について教えてください。
山本氏:三重県津市で最初の案件を完成させた後、同じ法人から「昼間だけでなく、夜間の電気もすべてゼロにしてほしい」という追加依頼を受けました。2025年の春にこれを完成させ、現在は24時間体制で再生可能エネルギー100%を実現しています。
この実績データは、シミュレーションではなく実際の運用結果です。お客様に現場をご覧いただき、具体的な数字をお見せすることができます。営業担当がこれを説明し、実際の現場に案内すれば、お客様も納得していただけます。
農業とエネルギーの融合「ソーラーシェアリング」
―― 御社はソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)にも取り組まれていますね。
山本氏:はい。ソーラーシェアリングは、農地の上に太陽光パネルを設置し、農業を続けながら発電も行う仕組みです。当社は農業生産法人の資格と認定農業者の免許を取得しており、全国どこの農地でも事業を展開できます。
日本の農業が直面している最大の課題は、高齢化と後継者不足です。農家の平均年齢は65歳を超えており、あと5年から10年で多くの農地が耕作放棄地になる可能性があります。
―― 農業の現状について、もう少し詳しく教えてください。
山本氏:日本の米作りは、残念ながら経済的に採算が合わなくなっています。1反(約10アール)の田んぼを1年間耕作して、売上はせいぜい16万円程度です。100反(約10ヘクタール)を耕作しても1,600万円にしかなりません。しかも、毎日の水管理や除草作業、農機具のローンなどを考えると、とても生活していける収入ではありません。
海外の大規模農業では、飛行機で種をまき、巨大なコンバインで収穫します。日本の小さな耕運機での農業とは、コストが5分の1から10分の1も違います。同じ米を作っても、日本の農家は圧倒的に不利な立場にあるのです。
―― ソーラーシェアリングは、そうした課題の解決策になるのでしょうか。
山本氏:はい。ソーラーシェアリングを導入すれば、農業を続けながら安定した売電収入を得ることができます。農地の上部で発電し、下部では従来通り農作物を栽培できます。
特にデータセンター向けの電源供給では、大きな需要があります。データセンターは24時間稼働し、膨大な電力を消費します。千葉県の印西市などでは、電力需要が大きすぎて地域から出ていくよう求められるケースもあると聞いています。
当社の自己託送技術を使えば、群馬県や新潟県、埼玉県などの農地から、東京都心のデータセンターや企業ビルに直接電力を供給できます。農家の方々は土地を有効活用でき、データセンターは安定したクリーンエネルギーを確保できる。まさにWin-Winの関係が構築できるのです。
さらに、メガソーラーのように山を切り開いて設置する方式は、環境破壊の観点から規制が厳しくなっています。北海道の釧路湿原での問題など、各地でトラブルが起きています。一方、農地を活用するソーラーシェアリングは、地域に根ざした農家の方々が主体となるため、反対運動も起きにくく、むしろ地域活性化につながります。
本当の脱炭素とは何か
―― 御社は「本当の脱炭素」という言葉を使われていますが、その意味を教えてください。
山本氏:今、多くの企業が「CO2ゼロ」や「カーボンニュートラル」を掲げていますが、その多くは見せかけに過ぎないと私は考えています。
例えば、「当社は再生可能エネルギー100%で運営しています」と宣言している企業があります。しかし、その内実を見ると、非化石証書やグリーン電力証書、PPAなどの仕組みを使って、形式上だけ「再エネ100%」を達成しているケースがほとんどです。
―― 証書による脱炭素の何が問題なのでしょうか。
山本氏:証書というのは、いわば「紙の上でのやりくり」です。実際に使っている電気の多くは、依然として化石燃料を燃やして作られています。日本の電力の約7割は、石炭、天然ガス、石油などの化石燃料で発電されています。
例えば、ビルの屋上に太陽光パネルを設置して「再エネを使っています」とアピールしている企業があります。しかし、そのパネルで発電できるのは、ビル全体の消費電力のせいぜい1%程度です。しかも昼間だけです。夜間や曇りの日は、結局、化石燃料由来の電気を使っているわけです。
これは、言い方は悪いですが「見えるところでは良い顔をして、見えないところでは良くないことをしている」のと同じです。環境問題に取り組む企業として、それは許されることではないと思います。
―― 御社のアプローチはどう違うのでしょうか。
山本氏:当社が目指しているのは、証書に頼らない「本物の脱炭素」です。自社の発電所で作った電気を、直接的に自社の拠点に送る。蓄電池を使って夜間も100%再生可能エネルギーで賄う。これが私たちの考える「本当の脱炭素」です。
今、山梨県で大規模な山火事が起きていますよね。こうした気象災害は、地球温暖化の影響でどんどん深刻化しています。夏の気温も、来年には東京都で45度や50度になる日が来るかもしれません。クーラーをいくらかけても追いつかなくなります。
これは他人事ではありません。私たちの子供や孫の世代に、きれいな水と空気、住みやすい環境を残すために、今すぐ行動を起こす必要があるのです。
今後の展望と組織体制
―― 今後の事業展開について教えてください。
山本氏:まずは三重県を起点に、東京、名古屋、大阪など全国に展開していきたいと考えています。系統用蓄電池の分譲販売は、三重県の案件を皮切りに、滋賀県や京都府でも土地の確保を進めています。
分譲型の系統用蓄電池は、将来的には1口1,000万円、100万円、さらには10万円、1万円といった小口化を目指しています。より多くの方に参入していただくことで、日本全体のエネルギー自給率向上に貢献したいと考えています。
ペロブスカイト太陽電池についても、共同事業者を募集しています。当社の施工技術と、パートナー企業の資金力や販売網を組み合わせることで、より大きな事業に育てていきたいと思います。
―― 現在の組織体制はいかがでしょうか。
山本氏:正直に申し上げて、当社はまだ小さな会社です。しかし、事業の成長に伴い、人材の確保が急務となっています。特に営業担当者を早急に採用したいと考えています。
私自身が営業の最前線に立っていますが、展示会への出展やセミナーの開催など、一人では対応しきれない状況です。第9回資産運用EXPO(東京ビッグサイト)など、各地の展示会に出展しており、そこでの営業活動を任せられる人材を求めています。
勤務地については、必ずしも三重県に限定するわけではありません。東京でも大阪でも、ご本人の希望に合わせて柔軟に対応します。普段は東京で勤務し、週に1〜2回は三重県に出張する、といった働き方も可能です。
アスエネキャリアを通して求める人材像
―― どのような方に入社してほしいとお考えですか。
山本氏:最も重要なのは、環境問題に対する当事者意識を持っている方です。山火事や猛暑、豪雨など、気候変動による災害が世界中で起きています。「これはなんとかしなければならない」と心から思える方、お金のためだけでなく、社会のために働きたいと考えている方を求めています。
もちろん、環境問題に詳しくなくても構いません。私が直接指導しますので、真面目に取り組んでいただければ、必ず成長できます。当社の営業は、単なる製品販売ではなく、お客様のエネルギー課題を解決するコンサルティング的な仕事です。難しいからこそ、やりがいがあります。
―― その他に重視されるポイントはありますか。
山本氏:2つあります。1つ目は「真面目さ」です。当社の事業は技術的にも制度的にも複雑な部分があります。私や先輩社員の指導をしっかり聞いて、言われた通りに実践できる方が向いています。
2つ目は「自己管理能力」です。特に東京など遠方で勤務する場合、一人で行動することが多くなります。上司が常に横にいるわけではないので、自分でスケジュールを管理し、責任を持って仕事を進められる方を求めています。
結果的に、この仕事を通じて得られる収入も決して小さくありません。社会に必要とされる事業だからこそ、成長の余地が大きいのです。環境問題への貢献と、ご自身の経済的な成功を両立できる仕事だと自負しています。
読者へのメッセージ
―― 最後に、御社に関心を持つ読者の方へメッセージをお願いします。
山本氏:当社はアスエネさんの急成長を間近で見てきました。3〜4年前、最初にお会いしたときは、まだ社員の方も少なかったですよね。それが今では、急速に事業を拡大されている。
なぜアスエネさんを人材採用のパートナーに選んだかというと、同じ「環境」という分野で、時代のニーズを捉えて成長している会社だからです。優秀な人材を短期間で集めるノウハウをお持ちだと感じました。
当社も同じ道を歩もうとしています。小さな会社ですが、技術力と実績は確かです。30年間、太陽光発電一筋でやってきた経験があります。そして今、時代がようやく当社に追いついてきました。
データセンターの電源確保、系統用蓄電池、ペロブスカイト太陽電池。いずれも国が全力で推進している分野であり、これから爆発的に需要が伸びます。この波に乗れば、当社も大きく成長できると確信しています。
一人の営業担当者が加われば、それを起点に5人、10人と仲間が増えていくでしょう。最初の一歩を一緒に踏み出してくれる方を、心からお待ちしています。
企業概要
社名:株式会社サンパワー
設立:1997年4月25日
資本金:10,000千円
代表取締役:山本 昭彦
本社所在地:大阪府吹田市豊津町9-1 EDGE江坂3階
工場:大阪府箕面市粟生外院1-14-31
営業所:京都府木津川市山城町綺田藪浦3-1
事業内容:太陽光発電システム施工・販売、自己託送、ソーラーシェアリング、オール電化・環境関連施工販売、植物工場(水耕栽培)
ウェブサイト:https://sunpower.co.jp/
インタビュー協力
山本 昭彦氏
株式会社サンパワー 代表取締役。1996年の会社設立以来、約30年にわたり太陽光発電事業に従事。キヤノンの薄型太陽光発電システムを日本で初めて販売し、施工技術の特許を取得。2025年には「24時間自己託送」を実現し、蓄電池を活用した完全再生可能エネルギーによる電力供給システムを構築。データセンター用電源、系統用蓄電池の分譲販売、ペロブスカイト太陽電池など、次世代エネルギー事業に積極的に取り組んでいる。「本当の意味での脱炭素」を掲げ、証書に頼らない物理的な再生可能エネルギー供給の普及を目指している。