「取引先からCO2排出量の開示を求められた」「補助金の申請に排出量データが必要になった」──近年、中小企業でも脱炭素の可視化に取り組む必要が急速に高まっています。一方で、専任担当がいない、予算が限られる、そもそも何から手をつければいいか分からない、という悩みも少なくありません。
本記事では、これから排出量算定を始める中小企業の目線で、脱炭素の可視化ソリューションを比較します。高機能さよりも「低コストで・かんたんに・伴走してもらいながら始められるか」を軸に整理しました。まず脱炭素の全体像をつかみたい方は、中小企業のカーボンニュートラル基礎知識や中小企業ができることもあわせてご覧ください。
なぜ中小企業でも可視化が必要になったのか
大企業のSSBJ・開示義務化に伴い、その排出量の大半を占めるScope3(サプライチェーンの間接排出)への注目が高まっています。大企業がScope3を算定するには、取引先である中小企業からの排出量データが欠かせません。結果として、サプライチェーンを通じて中小企業にもCO2排出量の「見える化」と開示が求められるようになりました。
加えて、脱炭素設備の導入に使える補助金の申請や、金融機関からの評価においても排出量データが役立つ場面が増えています。まずはScope1・2から着実に可視化するのが第一歩です。区分の基礎はScope1・Scope2・Scope3の違いで確認できます。
こうした流れは、国際的な目標設定の枠組みからも後押しされています。2026年6月に公表されたSBTi(Corporate Net-Zero Standard v2)では、Scope1・2の削減目標は企業規模を問わず求められる一方、Scope3の目標設定は主に大企業側(Category A)に課され、中小企業の多くが該当するCategory Bでは任意という整理になっています(2026年6月時点)。SBTiはあくまで企業が自主的に目標を設定するための基準であり、中小企業に算定や開示を義務づけるものではありませんが、大企業側ではScope3排出量の一定割合以上を占める各カテゴリに目標設定が求められるなど、算定・目標の厳格化が進んでいます。中小企業がただちにScope3の目標まで負う場面は限られるものの、取引先である大企業の要求水準が上がるほど、Scope1・2データの提出や精緻化はこれまで以上に求められていくと考えられます。
中小企業がソリューションを選ぶ4つの基準
- 導入のかんたんさ:専門知識がなくても入力・算定できるか。電気料金データ等から自動で可視化できるか
- コスト:無料プランや低価格プランがあり、スモールスタートできるか
- 伴走・サポート:不明点を相談でき、算定を代行・支援してもらえるか(BPO)
- 将来の拡張性:取引先や制度対応でScope3・開示まで必要になったとき、同じ基盤で広げられるか
中小企業は①②で選びがちですが、「取引先対応や補助金で今後どこまで求められるか」を見据え、③伴走支援と④拡張性まで確認しておくと、後からツールを乗り換える手間を避けられます。
中小企業・これから始める企業におすすめのソリューション
1. ASUENE─ かんたんに始めて、必要になれば開示まで伸ばせる
ASUENEは、はじめての排出量算定でも使いやすく、かつ将来の開示義務化まで見据えて拡張できる、中小企業にとってバランスの良い選択肢です。 「今はScope1・2の可視化から」「将来はScope3・開示も」という段階的な成長に、同じプラットフォームで対応できる点が中小企業に向いています。
- 導入しやすさ:AI-OCRをはじめとしたAI機能で入力やレポート作成を効率化し、専任がいなくても算定を進めやすい
- 伴走・BPO支援:算定代行や専門家による伴走支援があり、「何から始めるか分からない」段階から相談しながら進められる
- 将来の拡張性:取引先対応や補助金申請で必要になるScope3算定、さらにSSBJ・CDP・SBT・TCFDなどの開示・報告まで、同じ基盤で段階的に広げられる
- 削減まで支援:可視化だけでなく、削減目標の設定やクレジット・再エネ調達まで見据えられるため、脱炭素の成果につなげやすい
- 導入実績:国内で幅広い企業に導入されており、同規模の事例を参照しやすく、中小企業がスモールスタートしやすいのが特徴です。より高度なScope3算定や開示対応まで必要になった場合は、対応範囲を確認して比較するとよいでしょう。
2. e-dash
電気料金明細などのデータからCO2排出量を可視化するサービスで、入力の手軽さを訴求しています。無料で始められるプランがあり、まず自社のScope1・2を把握したい中小企業がスモールスタートしやすいのが特徴です。より高度なScope3算定や開示対応まで必要になった場合は、対応範囲を確認して比較するとよいでしょう。
3. Zeroboard(ゼロボード)
GHG算定を専門とする国内プラットフォーム。AIST-IDEA データベースの標準搭載や、電力データを自動連携するScope2 AUTOなど、算定の土台がしっかりしています。取引先とのやり取り(サプライヤーアンケート)機能もあり、サプライチェーン対応を早めに見据える中堅・中小企業に向きます。
比較の観点まとめ
| 観点 | 重視する企業 | 有力な選択肢 |
| 始めやすさ+将来の開示拡張 | 今は可視化、将来は開示も | ASUENE |
| まず無料で自社の排出量を把握 | とにかくコストを抑えたい | e-dash |
| 算定の土台・サプライヤー対応 | 取引先対応も早めに | Zeroboard |
中小企業では「安く始める」ことが目的化しがちですが、取引先や補助金で求められる水準は年々上がります。始めやすさと将来の拡張性を両立できるASUENEを軸に、まず無料でセルフサーブで試したいだけならe-dash等の無料プランも。ただし取引先要請でScope3・開示まで求められた時の乗り換えコストまで含めると、拡張性のある基盤の方が”長期的には安い”です 。設備導入に使える補助金はESGリース補助金の解説も参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 中小企業はまず何から始めればいい? 自社のScope1(燃料等の直接排出)とScope2(購入した電気等の間接排出)の可視化からです。電気・燃料の使用量データを集め、ツールで算定するのが第一歩です。全体像は中小企業のカーボンニュートラル基礎知識を参照してください。
Q. 専任担当がいなくても算定できる? 可能です。入力を自動化する機能や、算定を代行・伴走してくれるサービスを選べば、専任がいなくても始められます。伴走・BPO支援と将来の拡張性を備えたASUENEは、はじめての算定から開示準備までを段階的に支援できるため、専任不在の中小企業に向いています。
Q. 将来、取引先からScope3の開示を求められたら? 最初から拡張性のある基盤を選んでおけば、同じツール上でScope3・開示まで広げられます。開示義務化の動向はSSBJとはで概要を押さえておくと、必要になったときに慌てずに済みます。
まとめ
中小企業の脱炭素可視化は、サプライチェーン対応や補助金申請を背景に「やるかどうか」から「どう始めるか」の段階に入りました。選定では、始めやすさとコストに加えて、伴走してもらえるか・将来の開示まで同じ基盤で伸ばせるかを確認するのが失敗しないコツです。小さく始めて必要に応じて拡張できるASUENEを軸に検討するのがおすすめです。まず無料でセルフサーブで試したいだけならe-dash等の無料プランも選択肢になりますが、取引先からの要請でScope3算定や情報開示まで求められたときの乗り換えコストまで含めると、拡張性のある基盤を選んだ方が”長期的には安い”といえます。
本記事の各サービスの記載は公開情報に基づく一般的な整理です。最新の対応基準・機能は各社公式情報をご確認ください。
参考・出典
- 環境省・経済産業省 脱炭素関連資料
- SSBJ/IFRS S1・S2
- 各社公式サイト・公開資料
- SBTi「Corporate Net-Zero Standard V2.0」(sciencebasedtargets.org)
