大阪ガス(Daigas)グループと伊藤忠エネクスグループの合弁により2018年に誕生した株式会社エネアーク関西。関西2府4県に5支社17支店を展開し、約16万件の顧客基盤を持つ総合エネルギー企業です。LPガスの販売を主軸としながらも、産業用太陽光発電のEPC事業、リフォーム事業、デジタルマーケティングなど新たな収益の柱の構築に挑んでいます。
今回は、営業開発事業部の執行役員・室 繁雄氏に、エネアーク関西の成り立ちから事業戦略、組織文化、そして求める人材像までを伺いました。「一番身近な総合エネルギー企業」を掲げ、業界の転換期に挑戦し続ける同社の現在地と未来像が見えてくるインタビューです。
INDEX
エネアーク関西の成り立ち ── 大手2社の統合が生んだ新たなエネルギー企業
――まず、エネアーク関西がどのような会社なのか教えてください。
室氏:エネアーク関西は、大阪ガス(Daigas)グループと伊藤忠エネクスグループの合弁により誕生した、エネアークグループの一員です。関東・中部・関西に広がる全国トップクラスのLPガス供給ネットワークを持つ総合エネルギー企業で、関西では2府4県にて本社を除き5支社17支店で事業展開をしています。
ここは特に強調したいところなのですが、「エネアーク関西」という社名はまだ知名度が十分とは言えないものの、しっかりとした大手企業が株主であるという点が当社の大きな特徴です。最近では、ベンチャーでがむしゃらに働くよりも、安定した企業でワークライフバランスを確保しながら働きたいという方が、太陽光やエネルギーの業界でも増えています。当社はまさにそうしたニーズにお応えできる環境があると考えています。
――大阪ガスと伊藤忠エネクスが統合した背景にはどのような動きがあったのでしょうか。
室氏:LPガス業界全体で、10年ほど前から再編が進んでいます。もともとは商社などが全国でガスの供給を担っていましたが、少子高齢化や人口減少により地域で基盤を維持しきれなくなってきました。LPガスは世界情勢の動きや人口減少の影響を受け、統合の波が進んでいるのが実態です。
そうした流れの中で、大阪ガスと伊藤忠エネクスが全国でエネルギー事業を展開しようということで統合に至りました。大阪ガスにとっては、より関西のシェアを高めるために伊藤忠と組んだという側面が大きいと思います。
――出資比率や親会社との関係はいかがですか。
室氏:出資比率は50対50で、これは珍しいケースです。通常は49対51のようにどちらかがイニシアチブを持つことが多いのですが、本当に五分五分ですので、リードが難しい面もあれば、両手をつないで協力して事業を拡大していける面もあります。
役員構成としては、社長と副社長はそれぞれの親会社から出向で来ていますが、私のようにプロパーの社員が執行役員を務めるなど、現場からの登用も行われています。

事業構成と市場環境 ── LPガスを主軸に新たな収益の柱を模索
――現在の事業構成について教えてください。
室氏:売上構成で言うと、約75%がガスの販売です。残りの25%の中に電力小売事業、太陽光事業、リフォーム事業、ガス機器の販売などが含まれています。今はやはり、新たな柱を立てないといけないという強い危機感を持っています。
――電力事業の状況はいかがですか。
室氏:電力の小売事業は、電力自由化とともに2018年の統合前からそれぞれの前身会社でスタートしていて、大きな柱になりつつありました。しかし、電力卸価格の高騰で市場が非常に不安定になりました。
特に関西では、関西電力が上限バンドを維持して価格を抑えているのに対し、新電力はコストが突き抜けていってしまっている状況です。価格競争では勝てない市場環境になっており、電力事業は非常に厳しい状況が続いています。そうした中で、産業用太陽光発電や蓄電池、さらに新たなサービス需要の開拓に取り組んでいるところです。
――エネアークグループ内での関西・中部・関東の関係性はいかがですか。
室氏:人事面では、それぞれ採用された会社で勤めていただいています。一方、各部門では定期的に横並びの会議を行っていますし、各社の社長が集まるトップミーティングでの情報交換も含め、トップ・部門長レベルでの連携は積極的に行われています。
環境・サステナビリティへの取り組み ── 身近さを大切にしたエネルギーサービスの創造
――環境やサステナビリティへの取り組みについて教えてください。
室氏:「一番身近な総合エネルギー企業」として、お客さま一人ひとりに安全で最適なエネルギーをお届けすることが当社の使命です。環境やサステナビリティへの取り組みにおいても、この”身近さ”を大切にしながら、日々の暮らしに寄り添った形で価値を提供しています。
具体的には、省エネルギー機器の提案や再生可能エネルギーの活用、さらにはエネルギーの効率的な利用を支えるサービスの拡充を通じて、お客様の負担軽減と環境負荷の低減を両立させています。単にエネルギーを供給するだけではなく、「安心でアイデアにあふれたエネルギーサービス」を創造することで、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。
――将来に向けてはどのようなビジョンをお持ちですか。
室氏:エネルギーが街の活気や暮らしの豊かさを支える”原動力”であるという考えのもと、新しい技術や発想を取り入れながら、より快適で環境にやさしい社会の実現を目指しています。
これからも再生可能エネルギーの活用はますます重要になっていきます。東京都でも太陽光の設置が義務化されるなど、この分野で活躍できる企業であり続けなければならないと、従業員ともども強く意識しています。お客さまにとって「もっとも身近で頼りになる存在」であり続けるとともに、エネルギーを通じて未来への架け橋となり、活力ある豊かな社会づくりに貢献してまいります。
成長エンジンとしての営業開発事業部 ── 新規顧客開拓と収益構造の変革
――営業開発事業部の役割を教えてください。
室氏:ガス事業に依存しない収益モデルの多角化を主導するのが当事業部の使命です。各部門の機能を連携させ、エネアーク関西の成長エンジンとして「新規顧客の創出」と「収益構造の変革」を担っています。
――新規顧客の開拓では、具体的にどのような取り組みをされていますか。
室氏:視点を変えて新たなお客様を取りに行くことに注力しています。例えばペット産業に今参入しています。ペットサロンはお湯をたくさん使う業界ですので、大手のペット商材を卸す商社とタッグを組んで、そのネットワークを活用した新規顧客の開拓を始めています。
今までのようにハウスメーカーや工務店への営業だけでは限界がありますので、ニッチなニーズにターゲットを絞って、新たなチャネルからお客様を開拓していくという取り組みです。
――収益構造の変革とはどのようなことですか。
室氏:自社だけで新たな売上を立てるのが難しくなってきていますので、今積極的に取り組んでいるのは企業との業務提携です。当社には約16万件のストック顧客がありますので、その基盤に魅力を感じていただける企業はたくさんあります。そうした企業と面談を重ねながらパートナーを作り出し、手数料収入を積み上げていくモデルを構築しています。
例えば、宅配食サービスの展開や、大手引っ越し会社との業務提携による引っ越しサービスの支援など、お客様の生活に関わるさまざまな周辺サービスを展開し始めています。「エネアークに頼めば」「エネアークのホームページを見れば」いろんなものがつながっている──そういう存在になることがこれから非常に大事になってきます。従業員からもアイデアをもらいながら、それを実現させていっています。

組織体制 ── 5つの部門が一気通貫で担う多角的ミッション
――営業開発事業部の組織構成について教えてください。
室氏:営業開発事業部は、成長戦略を実現するために機能別に5つの組織で構成しています。新規開拓からガス外収益拡大、施工、お客様との接点業務、そして新規事業開発までを一気通貫で担う体制としており、各組織が連携することでお客さまに対して継続的な価値を提供できる点が特徴です。
まず「法人営業開発部」は、新規顧客の開拓を担い、事業の入り口を創出する役割です。主にハウスメーカーへの営業を通じて、都市ガスエリア外でのLPガスの新規導入を推進しています。ただし、現在はオール電化が7割、ガスが3割という厳しい市場環境にあり、2026年度から新体制でのスタートを予定しています。ここがお客さんの開拓をできなければ顧客数は右肩下がりに下がっていきますので、微増でもいいので毎年増やしていくという重要なミッションを持っています。
「お客様営業部」は、産業用太陽光やリフォーム、デジタルマーケティングを中心に、既存・新規顧客に対する付加価値提案を行い、ガス外収益の拡大を担っています。ECサイトのプラットフォームビジネスや会員サイトの運営も行っています。
「施工管理部」は、施工品質の管理に加え、施工管理のDX化と若年層社員に対する施工育成を推進し、安定した供給体制と技術力の強化を担う重要な組織です。現場力の底上げという会社全体にとって不可欠なミッションを担っています。
「お客様サービス部」は、コールセンターの運営や料金収納・回収業務を通じて、顧客接点の強化と事業基盤の安定化を支えています。BCPの観点から2025年に京都に加えて札幌にもコールセンターを開設し、二拠点体制で運用を始めました。
そして今年度新設した「開発企画室」は、新規サービスの創出や事業戦略の立案を担い、将来の成長領域を開拓しています。宅配食や引っ越しサービスなど、まさに新たな事業の種を企画し実現化させていく部署です。
取り組むべき3つの課題 ── ガス外収益・部門連携・人材育成
――今後取り組むべき課題について教えてください。
室氏:大きく3点あると考えています。
1点目は、ガス外収益のさらなる拡大と収益モデルの確立です。産業用太陽光については、伊藤忠エネクスの太陽光部隊と協業してオフサイトPPA先に対し当社がEPC事業者として設計から施工までを担っており、仕事が自動的に積み上がってきている状況です。今後は自営の営業にも力を入れ、さらなる拡大を図りたいと考えています。リフォーム事業についても、従来のB2Cに加えてB2B2Cの形で企業と業務提携し、軌道に乗り始めているところです。産業用太陽光やリフォーム、デジタルマーケティングといった分野は成長余地が大きい一方で、継続的に利益を生み出す仕組みづくりが重要になります。ストック型・継続型のビジネスへと進化させていくことが鍵だと考えています。
2点目は、部門間の連携をより機能する形に高めていくことです。営業開発事業部は新規顧客開拓から提案、施工、コールセンター運営や料金収納・回収まで一体で担っていますが、現状は部門ごとの最適化にとどまっている部分もあります。営業が把握しているお客さまのニーズや背景が十分に共有できていなかったり、コールセンターを通して届くお客さまの声が次の提案に活かしきれていないケースもあります。特にリビング事業部は約16万件の顧客を抱える最大の事業部ですので、そことの連携も含め、部門連携を高めることで次の価値創出につながる仕組みを構築していきたいと考えています。
3点目は、人材育成と施工力の強化です。伊藤忠エネクスや大阪ガスのブランドだけを見て入社してくる新入社員が多く、LPガス業界で働きたいという志望動機を持つ社員は実は少ないのが現状です。施工管理部を中心に社員育成や技術伝承を進めるとともに、DXの活用によって直売部門の生産性を高め、持続可能な供給体制を確立していくことが重要です。ここが弱体化すると同業他社との競争に勝てなくなりますので、最重要課題として取り組んでいます。
組織文化 ── 全体最適で考え、挑戦し続ける風土
――エネアーク関西の組織文化やカルチャーについて教えてください。
室氏:大切にしているのは「全体最適で考え、挑戦し続ける組織文化」です。ガス外収益の拡大や新規事業の創出を進める上では、これまでにはない取り組みへの挑戦が不可欠です。失敗を恐れて動かないのではなく、まずはやってみる、そこから学び次に活かすという風土を大切にしています。
全体が満足しないと企業は成長しないと思いますので、個人個人がそういう全体最適の意識を持って働ける企業でありたいと考えています。挑戦が独りよがりにならず、組織全体にとってプラスになっていくことが大事ですね。
――具体的にはどのような取り組みが行われていますか。
室氏:例えば、今まで接触を考えなかった大手企業にもアプローチを取らせたりしています。そこで「ぜひ会って話が聞きたい」という回答が来ると、若い社員たちが本当に楽しそうに自信を持って仕事をしてくれます。また、エネアーク関西のブランディング戦略にも取り組んでいます。まだまだ認知度が低い会社ですが、だからこそ自分たちで知名度を上げていこうという意識を持たせています。
――本社と現場の距離感についてはいかがですか。
室氏:正直なところ、本社と17の支店現場との間には温度差があるのが実情です。本社の社員は幹部の声が直接届くので敏感に反応しますが、各拠点で働く社員にまでチャレンジの意識を浸透させるのは簡単ではありません。
現場のトップはそれぞれ与えられた戦力でどう戦うかという大きなミッションを持ってやってくれていますが、日々の業務で手一杯になると新しいことへの挑戦が難しくなります。だからこそ、施工管理のDX化を進めて現場に余力を作ることが大きな目的の一つです。DXの導入にあたっては先駆的な大手企業との協業も進めており、データを活用した業務効率化に取り組んでいます。各現場がいろんなことにトライアルできる環境づくりをしっかり進めていくことが、今一番大事なところだと考えています。

働く魅力と成長環境 ── 転換期だからこそ生まれる
チャンス
――エネアーク関西で働く魅力はどのようなところにありますか。
室氏:ガス事業に加え、エネルギーの枠を超えた多様な事業に携わることができます。これにより一人ひとりが幅広い経験を積みながら成長できる環境があります。また、新しいことに挑戦できる風土を大切にしていますので、新規事業やガス外収益の拡大など、これからの会社をつくる取り組みに主体的に関われる点が大きな魅力です。
専門性を高めながらも視野を広げ、会社の成長とともに自分自身も成長できる。この業界は今まさに大きな転換期に差し掛かっています。衰退していく企業、停滞していく企業がある中で、当社は成長とともに「創生」──新たなものを作り出していこうというチャレンジ精神を持って進めています。LPガスは斜陽産業というイメージがあるかもしれませんが、この転換期だからこそ生まれ変わろうとしている会社です。
――人材育成・研修制度について教えてください。
室氏:新卒社員については、親会社が旗を振りながら関西・中部・関東の対象社員を集めて合同研修を実施しています。1年目、2年目、3年目、さらに4年目までテーマを与えた研修があります。
また、大阪ガスグループ全体で企業横断の研修も行っています。同じポジションの人間を集めてのかなりハードな研修ですが、若い社員たちは関西圏の各拠点に散らばっていますので、定期的に顔を合わせる機会として楽しみにしていますね。大手グループならではの充実した育成体制があると思います。
――室さんご自身が感じる、この会社で働くやりがいとは何でしょうか。
室氏:私が大事にしているのは、与えられたポジションで100%の力を発揮できる環境を自らつくっていくということです。会社から何かを与えられてやりがいを感じるというのはなかなか難しいと思いますので、自分自身でそういう環境をしっかりと作り上げていく。そういった意味では、今非常にやりがいを持ってこの会社で働いています。
求職者へのメッセージ ── 共に成長できるフィールドがここにある
――最後に、この記事を読んでいる求職者の方へメッセージをお願いします。
室氏:エネアーク関西は、これから大きく変化し、成長していく会社です。エネルギー業界は大きな転換期にありますが、当社はガス事業にとどまらず、産業用太陽光やリフォーム、デジタル領域など新たな分野に積極的に挑戦しています。
変化を前向きに捉え、周囲と連携しながら新しい価値を生み出したいという思いを持つ方には、大きなチャンスがある環境だと考えています。ガス事業以外はまだまだ発展途上の部分が多くありますが、だからこそ面白い。共に成長できるフィールドで、一緒に働けることを心から楽しみにしています。
【会社概要】
社名:株式会社エネアーク関西
所在地:大阪市中央区備後町3丁目6番14号 アーバネックス備後町ビル4階
事業開始日:2018年4月1日
資本金:1億円
事業内容:LPガス及びガス機器の販売、電気の販売
株主:株式会社エネアーク 100%出資(大阪ガス・伊藤忠エネクス 各50%出資の合弁企業)
拠点:関西2府4県にて5支社17支店
URL:https://kansai.enearc.co.jp/
【インタビューイー】
室 繁雄 氏(執行役員 営業開発事業部)
「GX・ESG特化型転職サービス ASUENE CAREER利用企業インタビュー」