太陽光発電のEPC事業から出発し、現在は老朽化した発電所の再設計・再資産化を軸に独自のビジネスモデルを展開する株式会社アースコム。全国約1,500カ所の発電所を管理し、自社でも130カ所以上の発電所を所有する同社は、「再エネを通して日本の資産価値と未来を再設計する」というミッションのもと、リパワリングにとどまらない多角的な事業を推進している。今回は代表取締役の丸林信宏氏に、同社の事業戦略、組織づくりへのこだわり、そして求める人材像について詳しく伺った。
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お客様の課題解決を起点に進化し続けるビジネスモデル
―― まず、アースコムの事業内容について教えてください。
丸林:アースコムは「地球と人、自然環境の調和を図る」というビジネスモデルのもと、再生可能エネルギー事業を展開しています。創業時は住宅用太陽光発電から始まり、約3年で産業用にシフトしました。そこから富裕層や法人向けの節税対策商品として太陽光発電所の企画・販売を手がけ、この10年ほどこの領域にこだわり続けてきました。
現在は全国に約1,500カ所の発電所を管理するEPCであり、自社でも130カ所以上、約15MWの発電所を所有しています。ただし、我々は単に太陽光を「販売する」会社ではありません。今の主力事業は、既存の発電所を再設計し、再資産化する「リフォート」というサービスです。
―― 「リフォート」とは、具体的にどのようなサービスなのでしょうか。
丸林:リフォートは我々が作った造語です。リパワリングが機器の入れ替えを意味するのに対し、リフォートは発電所を「再設計・再資産化する」という、より広い概念を持っています。
きっかけは、ケーブル盗難対策でした。お客様の発電所で盗難被害が6回、7回と繰り返される。我々は電力会社や警察関係者と打ち合わせを重ね、「サンキーパー」というケーブル盗難対策製品を開発し、特許を取得しました。保険会社からも好評をいただき、保険の優遇プランが適用されるケースも生まれています。
この盗難対策をきっかけに現場へ伺うと、「パワコンも交換したい」「全体的に見直したい」という声が自然と出てきます。そこからリパワリングの流れになるのですが、我々はさらに踏み込みました。パワコンの交換だけでなく、老朽化したパネルの交換、キュービクルの改造、レイアウトの見直し、そして構造計算書の再整備まで。経産省からの指摘にも耐えうる書類体制を構築できることが、お客様にとって非常に大きな価値になっています。
実際、リフォートを実施した発電所では、平均して発電量が約135%アップしています。当初は110%から120%程度でしたが、技術を突き詰めた結果、過積載率120%以下の発電所であれば、平均135%程度の発電量向上を実現できるようになりました。お客様の資産価値を上げること、それが我々の第一の目的です。
さらに、中古発電所を取得して価値を高め、セカンダリー市場で販売するビジネスや、長期安定収益を支えるO&M(運営・保守管理)、節税や金融スキームを組み合わせた投資コンサルティングなど、再エネを金融・技術・運営で再構築する独自モデルを展開しています。ストック収益とフロー収益を組み合わせた経営モデルを構築し、会社としてのミッションは「再エネを通して日本の資産価値と未来を再設計する」ことです。
―― 住宅用から産業用へシフトされた背景には、どのような考えがあったのでしょうか。
丸林:やはり、お客様が望むものにこだわり続けた結果です。太陽光は環境にいいからやるのではなく、それは最終的に社会全体への貢献につながるものですが、まずはお客様にとっての資産価値が第一です。それを追求したときに、住宅用ではなく産業用にビジネスチャンスがあった。
社会のためにという視点はもちろん無視できません。しかし、お客様が喜んでいないのに「社会のため」とは言えません。ビジネスの大前提はお客様の課題解決です。それが自然に社会貢献につながっていく。三方よしの考え方の第一原則は、お客様の課題解決なんです。

サステナビリティの本質は「既存資産の再生」
―― 環境やサステナビリティへの取り組みについて教えてください。
丸林:我々の取り組みは大きく四つあります。まず、再エネの普及そのもの。次に、既存設備のリパワリングによるCO2削減。三つ目が、FIT終了後も持続可能な発電モデルの構築。そして四つ目が、農業と太陽光を組み合わせたソーラーシェアリングへの挑戦です。
ソーラーシェアリングについては、福島県を中心に約150カ所で認定農業法人を通じて事業を展開しています。サカキ、ブルーベリー、ジャガイモなどの作物を栽培し、地域の雇用創出にも貢献しています。荒れた土地や使えなかった土地を再生して作物を生産できる状態にする。世の中の「もったいない」を再資産化していこうという考えです。
また、蓄電池事業にも注力しています。太陽光発電の新規開発が難しくなる中、低圧の系統用蓄電池に取り組んでいます。2026年4月から需給調整市場が開放されることで、低圧でもビジネスチャンスとして形になると見ています。FIT終了後のオーナー様向けに併設型蓄電池を用意する取り組みや、アグリゲーターと組んで九州など出力抑制が厳しいエリアでAIを活用した運用を行うなど、蓄電池を入れずにFIP転換ができるオペレーションも展開しています。
メガソーラーによる環境への悪影響が取り沙汰されることもありますが、我々のアプローチはそうではありません。古い発電所を再設計して、収益と環境価値を同時に最大化する。それがアースコムが考えるサステナビリティの本質です。

成長を支える組織体制と「第二創業期」の課題
―― 現在の組織体制について教えてください。
丸林:組織は大きく分けて、リフォート・セカンダリーの営業部門、セカンダリー発電所の仕入れ部門、蓄電池の仕入れ部門、保守管理部門、開発部門、DX推進部、管理部、そしてFC事業部で構成されています。
営業部門は三つの役割に分かれています。一つは既存発電所オーナーへのリパワリング提案、二つ目は地主への蓄電池用地の提案による仕入れ営業、そして三つ目がセカンダリーとしての売却提案です。
開発部門は、営業が提案する前の下準備を担っています。リフォートの企画立案、レイアウト設計図の作成、各種申請業務、電力会社との折衝などを行います。この開発部門は我々の資産価値向上の根幹を担う極めて重要な部門ですが、まだまだ人材のピースが足りていません。現在は設計や施工の一部を外部にアウトソーシングしていますが、内製化を強化したい。パワコンメーカーや電力会社の出身者など、業界に精通した即戦力の人材を求めています。
―― 今後の課題についてはいかがでしょうか。
丸林:大きく三つあります。一つ目が「人材の質と量の拡充」。二つ目が「組織の標準化と再現性を生み出す仕組みづくり」。三つ目が「100億円企業に耐えうる経営基盤づくり」です。
100億円はあくまで一つのステップであり、その先に1,000億円という目標があります。現在はまだ成長フェーズですが、スピードと質の両立が求められています。ただの勢いだけの会社で終わりたくはありません。永続企業になれるか、今がまさに分岐点だと考えています。
現在、中小企業庁に100億円宣言を提出しており、プロマーケットへの上場に向けた準備も進めています。ゆくゆくは本則市場での上場も視野に入れています。
「魂と科学で勝つ」 ― 温かさと合理性が共存する企業文化
―― 大切にされているカルチャーや価値観について教えてください。
丸林:大切にしている価値観は大きく四つ。「誠実」「素直」「挑戦心の高さ」「感謝を忘れない」です。ただし、こうした精神論だけでなく、データと再現性を持ちながら仕組みで物事を解決していくことも同時に重視しています。温かさと合理性の両立がアースコムの文化です。
我々にはキャッチフレーズがあります。「魂と科学で勝つ」。どちらも大事なんです。どれだけ科学的な仕組みを入れても、それを動かすのは人間です。パッションがなければ仕組みは動きませんし、改善もできない。最後は気合が必要です。しかし、気合だけでは再現性は生まれません。データと再現性を持ちながら、努力だけでなく仕組みで勝っていく。この組織文化をこれからも拡充していきたいと考えています。
―― 具体的にどのような取り組みをされていますか。
丸林:まず、経営計画書を全従業員がアナログの手帳として携帯しています。五カ年計画、銀行格付けの現状、経営方針、人事評価制度、幹部に求める基準まで、すべてが一冊にまとまっています。何をしなければならないか、何をしてはいけないか。これを明確にして、勉強会も定期的に実施しています。銀行の支店長を招いて経営計画発表会も行い、透明性の高い経営を実践しています。
さらに、毎朝20分間の環境整備も全拠点で実施しています。決められたことを決められた通りにできるかどうか。私自身が月に一度、全拠点を点検に回ります。業績に直結するものではありませんが、十数年間続けてきた結果、損益分岐点は確実に下がっています。形を揃えることで心を揃えていく。社員教育には非常に力を入れている会社です。
人材育成への投資も惜しみません。現在、外部の幹部塾に費用かけて4名ずつ、計12名の派遣を進めています。給与や賞与で報いることも大事ですが、それは一時的なもの。私はスキルだけでなく、考え方やあり方を長期的に磨いていくことが、社員にとっても会社にとっても最も重要だと考えています。あり方が8割、やり方が2割。このあり方磨きに最も力を入れています。
―― DX・AI活用にも積極的に取り組まれているとのことですが。
丸林:再現性を生み出すためにDXは欠かせませんし、特にAIの活用には3年前から取り組んでいます。「何事もまずAIに聞け」を合言葉に、AI勉強会や各部門の代表者による発表会を定期的に開催し、優秀な取り組みには表彰も行っています。
現在開発を進めているのが、私の価値観や考え方、スキルをすべて学習させた「AI丸林さん」です。社員がいつでも質問すれば、私と同じ視点で回答してくれる。いわば「社長が常に横にいる」状態をAIで再現しようとしています。あと1カ月ほどで完成する予定です。
また、組織全体でのAI活用を標準化するため、RAGを組み込んだ独自のプラットフォームを構築中です。契約書の分析や各種業務のユースケースを整備し、全従業員にアカウントを付与することで、誰が使っても同じ品質のアウトプットが得られる仕組みを目指しています。
AI活用は人事評価にも紐づけています。各部門の使用頻度や回数をオープンにし、使っている部署ほど業績がいいという事実を全社朝礼で共有する。発表会を行い、最も優れた活用事例には投票と賞金で表彰するなど、組織全体のリテラシー向上に努めています。

成長速度で選ぶなら、アースコム。ASUENE CAREERで求める人材像
―― 御社で働く魅力について教えてください。
丸林:最大の魅力は成長速度です。一般企業では管理職ポジションに到達するまで7年から10年かかるところ、当社では3年から5年で到達可能です。高速道路と一般道ぐらいの違いですね。その成長を支える教育投資は惜しみません。
また、意思決定のスピードも大きな特徴です。大企業のように決裁に1カ月かかるということはありません。役員との距離が近く、経営の意思決定プロセスを間近で学べる環境があります。特に中途入社の方にとっては、現職では学べないような経験ができるはずです。
四半期に一回の評価面談と半期に一回の査定があり、結果を出せば着実にステップアップできる仕組みになっています。シミュレーションも可能なので、自分のキャリアパスを具体的に描くことができます。
会社の参画側、つまり経営に近いポジションで働ける。そこに関心がある方にとっては、非常にプラスになる環境だと思います。
―― どのような人材を求めていますか。
丸林:安定を求めるなら大企業が向いているでしょう。成長を求めるなら、当社には合っていると思います。我々はまだ完成していません。だからこそ、一緒に作れる。すでに出来上がった会社で働くのか、これから歴史を作る会社で働くのか。どちらを選びますか、ということです。
具体的に求める人物像は、素直に学べる人、挑戦を楽しめる人、数字から逃げない人、チームで勝てる人。本気で社会を変えたい人、自分の限界を超えたい人をお待ちしています。
開発部門については、パワコンメーカーや電力会社での実務経験を持ち、現場を見た瞬間に課題がわかるような業界精通者を求めています。営業部門では、高圧発電所の販売経験やセカンダリー営業の経験がある方、B2Bでの提案力のある方が活躍できるフィールドです。

読者へのメッセージ
―― 最後に、御社に関心を持つ読者へメッセージをお願いします。
丸林:我々は百年挑戦企業です。三方よしの考え方を大切にしながら、再エネを中心に多角的な経営を展開していきます。グループで10社・1,000名、そして1,000億円企業という目標を成し遂げたい。
そのために、すでに出来上がった会社ではなく、これから歴史を作る会社に、第二創業期のポジションで参画してくれる仲間を求めています。本気で社会を変えたい人、自分の限界を超えたい人。ぜひ、会いましょう。
[企業概要]
・社名:株式会社アースコム (https://earthcom-eco.jp/)
・代表取締役社長:丸林 信宏
・本社:埼玉県越谷市大泊89番地
・事業内容:
再生可能エネルギー促進事業(太陽光発電所の設計・開発・販売・運用・保守・管理)、リパワリング事業、蓄電池事業、ソーラーシェアリング事業、投資コンサルティング
・グループ会社:株式会社アグリサス(認定農業法人)
求人票例:ESG戦略室|次世代エネルギー・太陽光発電リパワリングや蓄電池インフラの企画・推進
[GX・ESG特化型転職サービス ASUENE CAREER利用企業インタビュー]
丸林 信宏氏 代表取締役社長。太陽光発電のEPC事業を創業期から牽引し、住宅用から産業用へのシフト、リフォート事業の立ち上げなど、同社のビジネスモデル変革を主導。「魂と科学で勝つ」を掲げ、社員教育とDX推進を両輪とした組織経営に注力している。