Scope2とは?基本的な知識と事例をご紹介
- 2023年11月05日
- CO2算定
サプライチェーン排出量の算定に必要となるScope2とは、どのような概念なのでしょうか。この記事ではScope2に注目し、基本的な知識をはじめ、Scope2を含むサプライチェーン全体で、CO2排出量の削減に取り組んでいる企業の事例をご紹介します。
目次
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Scope2とは?
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Scope2削減に取り組む企業の事例
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まとめ:Scope2への理解を深め、活用を検討しよう!
1. Scope2とは?
まずはじめに、Scope2の概念とその算出方法について説明します。
Scope1、2、3の定義
サプライチェーン全体での脱炭素への取り組みが推進される中、重要となるのがサプライチェーン全体におけるCO2排出量の把握です。サプライチェーン排出量は、Scope1・2・3の合計で求めることができ、それぞれ以下のように定義されています。
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Scope1
燃料の燃焼や工業プロセスなどにおいて事業者が直接排出するCO2
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Scope2
他社からの電気や熱、蒸気の使用により間接的に排出されるCO2
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Scope3
Scope1と2以外の間接的に排出されるCO2
参考:Alt属性(上流・自社・下流)
Scope2の算定方法
Scope2は、活動量✕排出係数で算定することができます。Scope2における活動量は、他社から購入した電気や熱などの間接排出量です。排出係数に関しては、以下の数値を用います。
(1)電気事業者から購入した場合
国が公表している電気事業者ごとの排出係数
(2)電気事業者以外から購入した場合
実測等に基づく適切な排出係数
(3)上記では算定できない場合
環境大臣・経済産業大臣が公表している排出係数
出典:環境省『温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度 制度概要』
企業がScope2を算定する意義
Scope2を算定することで、事業活動で活用している電気や熱によるCO2の排出量を把握することができます。算定結果をもとにScope2の削減をどのように実施するのか検討できます。
2. Scope2削減に取り組む企業の事例
Scope2を算定し、その削減に取り組んでいる企業の事例をみていきましょう。
新菱冷熱工業株式会社
新菱冷熱工業は2019年度のScope排出量を以下のように公表しています。
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Scope1 459t-CO2
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Scope2 2,948t-CO2
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Scope3 7,371,179t-CO2
Scope2の算定結果は、Scope1と併せて本社ビルから排出されるCO2の削減に役立ててきました。旧本社ビルでは2011年に大規模な省エネ改修工事を実施し、2019年度は2009年度比でCO2排出量を52%削減しています。
出典:SHINRYO 『脱炭素社会へのアプローチ(Scope1、2、3の削減)』
株式会社フジクラ
フジクラは2017年度における国内のScope排出量を以下のように公表しています。
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Scope1 24,509t-CO2
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Scope2 146,870t-CO2
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Scope3 722,193t-CO2
Scope1と2の削減目標を国内では2013年度に2013年度比で6.5%減に設定し、工場における省エネルギーの推進やゼロエミモデル事業所設定の推進、社内におけるカーボンプライシング導入の推進などに取り組んでいます。
出典:環境省『株式会社フジクラ SBT成果報告2017年度』(p.1.2)
リマテックホールディングス株式会社
リマテックホールディングスは、2019年度におけるグループ6社のScope排出量を以下のように公表しています。
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Scope1 2,093t-CO2
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Scope2 836t-CO2
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Scope3 310,473t-CO2
Scope2の大半を占めるRF製造工場の岸和田工場を対象に、省エネルギー対策を実施する他、購入電力を再生可能エネルギー由来の電気に切り替えることを検討しています。
出典:環境省『中小規模事業者のための 脱炭素経営ハンドブック 』(p.35〜38)
株式会社宮城衛生環境公社
宮城衛生環境公社は、2019年度におけるScope排出量を以下のように公表しています。
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Scope1 1355t-CO2
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Scope2 45t-CO2
宮城衛生環境公社はScope2の削減を積極的に進めており、太陽光発電とJ-クレジットの調達により2021年4月以降はScope2がゼロになる見込みであることを示していました。
出典:環境省『中小規模事業者のための 脱炭素経営ハンドブック 』(p.47〜50)
3. まとめ:Scope2への理解を深め、活用を検討しよう!
環境問題に対して意識が高い企業は、Scope2を算定し、Scope2を削減するための取り組みを始めています。今回ご紹介した事例を参考に、Scope2の削減に向けた取り組みの検討につなげていただければと思います。