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ESG情報開示の現状と課題〜日本企業がこれから進む方向〜

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ESG情報開示の現状と課題〜日本企業がこれから進む方向〜
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近年、ESG投資が急激に伸展するなど、ESGというワードを目にする機会も増えているのではないでしょうか。世界でもさまざまな開示の基準が設けられ、今後もよりESG情報開示が推進されていくことでしょう。

今回は、ESG情報開示の現状と課題について、そして、日本企業より成長していくために、進むべき方向や、そのために準備しておくことを解説します。

INDEX

ESG情報開示とは何か?

「ESG」とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。

・Environment(環境)

環境汚染や生物多様性への配慮、廃水による水質汚染の改善、省エネ・CO2排出量の削減努力など、地球の自然環境に配慮した取り組みのことを指しています。

・Social(社会)

適正な労働条件や男女平等など職場での人権対策のことを指しています。他にもダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランス、児童労働問題、労働災害対策なども含まれます。

・Governance(企業統治)

業績悪化に直結するような不祥事(政治献金や賄賂を含む)の回避や、リスク管理のための情報開示や法令順守、社外取締役の活用などを指しています。利益の積極的な分配や、資本効率に対する意識の高さなども含まれます。

出典:財務省『ESG投資について(2020/12/2)

ESG情報開示が進んだ背景

近年、多くの企業が利益追求した結果、経済が発展した反面、環境汚染や労働問題のほか、地球温暖化や異常気象などの環境問題や、人権問題なども顕在化してきました。

そこで国連は2006年、「ESG」を考慮した投資を行うことを提唱した「責任投資原則(PRI)」を世界各国の機関投資家に表明しました。2018年5月時点では世界の1965の機関(資産運用規模約70兆ドル)がPRIに署名し、投資にESGの視点を組み入れることが進んでいます。

出典:経済産業省『ESG投資』

ESG情報開示の現状

日本では2015年、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名し、ESG投資の動きが急激に広まっています。

出典:務省『ESG投資を巡る課題(2021/6/22)

また、2017年にはGPIFが国内に特化したESGインデックスを選定したことや、経産省が『価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス-ESG・非財務情報と無形資産投資を発表』(投資家に伝えるべき情報を体系的・統合的に整理し、情報開示や投資家との対話の質を高めるための手引)を発表しました。そのことにより、多くの日本企業は積極的なESG情報開示を推進、投資家にとってもESGは無視できない情報となっています。

出典:財務省『ESG投資を巡る課題(2021/6/22)

政府・ESG情報開示基準設定機関の課題

ESG投資や、ESG情報開示の動きが広まる中で、政府や、ESG情報開示基準設定機関にはまだ課題とされている点があります。

ESG情報開示基準の統一が必要

最も大きな課題の一つが、ESG情報の基準が統一されていないことです。

日本では現在、TCFDやSASB、GRI、IIRCなどの国際的枠組みの中から任意で基準を選び報告することが推奨されています。

統一された計測基準がなければ、企業ごとによって開示される情報が異なるため、開示情報を見ても、企業同士の比較が難しくなります。

ESG情報開示基準統一への動き

そのような課題を解決するために、ESG情報開示基準統一が必要となります。

2020年9月、国際会計基準(IFRS)の設定主体であるIFRS財団が、サステナビリティに関する国際的な報告基準を策定するための、新たな基準設定主体を設置すると公表しています。それにより、資家及び他の市場参加者に有用な情報を提供することができる基準が運用される期待があります。

出典:金融庁『ESG要素を含む中長期的な持続可能性(サステナビリティ)について(2021/12/15)

ESG情報開示がもたらす日本企業への影響と課題

ESG情報開示がより広まることで、企業がより環境問題に配慮した経営を行うことや、働く人にとっても労働条件の改善や、人材育成制度の拡充なども期待ができます。その上で企業にとっては、実際に情報開示する際にどういったことを気をつければ良いでしょうか。

短期的な効果は判断しにくい

まず理解しておくべきことは、ESGは広い意味での長期的な目標であり、短期的に実現できる目標とは言いづらいものです。従来までの、企業価値を測る業績や財務状況とは異なり、安定的かつ長期的な成長のための指標がESG情報です。

ですので、長期的には大きな成果を得られる可能性があるものの、即効性は期待できないと認識しておくべきでしょう。

投資家はその企業のESG情報を本当に理解しているか

東京証券取引所が行ったアンケートによると、ESG情報開示を十分していると答えた企業は28%あるのに対し、ESG情報開示を十分にしていると答えた投資家の割合はわずか1%でした。

つまり、投資家がどういった情報開示を求めているのかをきちんと認識し、その上で適切な基準を選定し、企業の活動を投資家へアピールする必要があります。

出典:東京証券取引所『ESG情報開示実践ハンドブック』(2021/6/30)

まとめ:ESGを意識した経済活動を

ESG情報開示は今後、投資家からの資金調達において重要なファクターとなります。

ESG情報開示基準の統一などの動きも想定し、今後どういった開示基準がスタンダードとなるのかを気にしつつ、どういった情報発信が必要なのか、そのために自社でできることや、必要となるアクションを準備しておくと良いでしょう。

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