SDGs達成度ランキングとは?日本で実施される改善策や中小企業のメリットを紹介!
- 2022年10月17日
- SDGs・ESG
SDGs(Sustainable Development Goals)とは国際連合が掲げる17の目標のことです。SDGsには達成度ランキングがあり、SDSNという組織が発表しています。今回はSDGsとはなにか、SDSNが発表するSDGs達成度ランキング、日本で実施するべき対策、中小企業がSDGsに取り組むメリットについてまとめます。
目次
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SDGsとは何か
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SDSNが発表するSDGs達成度ランキング
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日本で実施するべき対策とは
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中小企業がSDGsに取り組むメリット
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まとめ:今後は中小企業もSDGsへの関与が求められる
1. SDGsとはなにか
SDGsとは、2015年9月に国連サミットで全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際目標のことです。2030年までに持続可能なよりよい世界を目指すための目標で、17のゴール・169のターゲットから構成されています。
SDGsは先進国だけではなく発展途上国も取り組むべき目標として定められ、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを目指しています。
出典:外務省『SDGsとは?』
2. SDSNが発表するSDGs達成度ランキング
SDGs達成度ランキングはSDSNという組織が発表しています。発表元であるSDSNとはどのような組織なのでしょうか。日本のSDGs達成度や主要な課題とされた6つの目標についてもまとめます。
(1)SDSNとは
SDSN(Sustainable Development Solutions Network)とは、2012年8月に当時の国連事務総長だった潘基文が設立を表明したグローバルなネットワークです。国連が掲げる持続可能な社会の実現のため、学術機関・企業・市民団体などが連携して解決策を見出し、行動することを目的としています。
(2)日本のSDGs達成度
2022年6月2日、SDSNは「持続可能な開発レポート 2022」を発表しました。ランキングの上位を占めたのは北欧諸国で1位がフィンランド、2位がデンマーク、3位がスウェーデン、4位がノルウェーでした。以下、ヨーロッパの国々が続き、日本は19位と発表されました。
出典:SDSN Japan「持続可能な開発レポート 2022」
(3)主要な課題とされた6つの項目
レポートの中で、日本は6つの項目で「大きな課題が残る」と指摘されています。指摘されたのは以下の項目です。
5.ジェンダー平等の実現
12.つくる責任、つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさを守ろう
17.パートナーシップで目標を達成しよう
「ジェンダー平等」については、国会議員の女性の割合の少なさや男女の賃金格差が指摘されています。「つくる責任、つかう責任」ではプラスチック廃棄物の輸出、「気候変動」については化石燃料の使用やCO2の排出、「海の豊かさ」では水産資源の乱獲、「陸の豊かさ」では輸入による生物多様性への脅威、「パートナーシップ」では政府開発援助といった項目に対し、大きな課題が残ると指摘されました。
出典:SDSN『Sustainable Development Report』
3. 日本で実施すべき対策とは
SDSNの「持続可能な開発レポート 2022」で指摘された6つの項目のうち、早急に実施するべき対策として3項目を取り上げます。
(1)ジェンダー平等への取り組み
1つ目はジェンダー平等への取り組みです。ジェンダーとは社会的・文化的な性差を意味する言葉です。「男らしい」「女らしい」といった表現は典型的なジェンダーと捉えられています。
ジェンダー平等とは、一人ひとりの人間が性別にかかわらず平等に機会が与えられることを意味しています。そのためには国会議員に占める女性割合の向上や男女の賃金格差の解消などが急務といえるでしょう。
(2)プラスチックなど海洋ごみの削減
2つ目はプラスチックなど海洋ごみの削減です。陸上で捨てられたペットボトルやポリ袋などのプラスチックごみは雨や風によって河川に流され、最終的に海にたどり着きます。
海に流れ着いたプラスチックなどの海洋ごみは海岸に打ち上げられると漂着ごみ、海底に沈むと海底ごみ、水面や水中に浮遊する漂流ごみに分類されます。
こうした海洋ごみをクジラやウミガメといった海洋生物が誤って食べてしまうことで死んでしまうケースが後を絶ちません。こうした現状を改善するため、世界的な脱プラスチックが進められています。
出典:政府広報オンライン『海のプラスチックごみを減らし きれいな海と生き物を守る!~「プラスチック・スマート」キャンペーン』
(3)脱炭素社会の実現
3つ目は脱炭素社会の実現です。人間が経済活動によって発生させたCO2により地球温暖化が進み、海面上昇や海の酸性化といった事態を引き起こしています。気候変動についてもCO2が大きな影響を与えているとされているため、世界的にCO2の排出削減が進められているのです。
日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成すると表明しています。
出典:資源エネルギー庁『「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?』
カーボンニュートラルとはCO2の排出量と吸収・除去量の差し引きをゼロとする考え方のことです。これに基づき、各分野でCO2の排出削減が進められています。
国際的に問題となっているのは日本が石炭火力に大きく依存していることです。このため、政府は再生可能エネルギーや原子力発電などの割合を増やすことで、石炭を含む火力発電の割合を減らそうと試みています。
4. 中小企業がSDGsに取り組むメリット
地球温暖化の進展という事態を踏まえ、国際的にSDGsに対する関心が高まりつつあります。では、中小企業にとってSDGsに取り組むとどのようなメリットがあるのでしょうか。メリットを3点まとめます。
(1)ビジネスチャンスの獲得
1つ目のメリットはビジネスチャンスの獲得です。現在、CO2の排出削減は大企業だけではなくあらゆる企業に求められています。その理由は、サプライチェーン全体でのCO2削減が求められているからです。
出典:環境省『グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ』
サプライチェーンは上流・自社・下流といったように分類されますが、上流や下流は中小企業が担うケースがあります。サプライチェーン全体のCO2排出削減を目指す企業は、上流や下流の企業のCO2排出量を気にせざるを得ません。そうなると、CO2排出削減が少ない企業がビジネスチャンスを多く手にできるといえます。
(2)光熱費等の削減
2つ目のメリットは光熱費の削減です。CO2の排出削減のために電力使用量を減らしたり、自社で太陽光設備を導入するなどすれば短期的には導入コストがかかるものの、長期的には光熱費の削減につなげられます。
(3)企業イメージの向上
3つ目のメリットは企業イメージの向上です。SDGsの活動がメジャーになり、学校教育でも取り入れられているため、SDGsに取り組む企業のイメージが良くなっています。企業イメージの向上は顧客や質の高い人材確保にプラスに働きます。
4. まとめ:今後は中小企業もSDGsへの関与が求められる
今回はSDGs達成度ランキングについて紹介しました。SDGs達成度ランキングはSDSNが発表しているランキングで、日本は19位に位置しています。これは、ヨーロッパ諸国と比べると決して高い順位ではありません。
SDGsが掲げる目標と比較すると日本は6つの分野で課題があると指摘されています。それを改善するには、少なくとも男女賃金格差の是正やプラスチックごみの削減、CO2の排出削減により積極的に臨む必要があります。
SDGsの達成は企業に一定の負担を強いるものではありますが、ビジネスチャンスの獲得や光熱費の削減、企業イメージの向上といったメリットもあります。ぜひまずは自社にとって取り組みやすいことからでもはじめてみてはいかがでしょうか。