1957年創業の水門設備メーカー「豊国工業」をルーツとし、30年以上にわたり環境・エネルギー分野で実績を積み重ねてきた株式会社豊国エコソリューションズ。補助事業活用コンサルティングのパイオニアとして、令和6年までの累積採択数928件、採択率93%という驚異的な実績を誇る。今回は代表取締役社長の東真司氏に、同社の事業戦略から組織づくり、そして描く未来像について詳しく話を伺った。
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エンジニアリング企業から補助金コンサルティングへ

―― まずは御社設立の経緯について教えていただけますか?
東:当社の成り立ちは、母体である豊国工業の歴史から始まります。もともとはダムのゲートや河川の水門といった公共事業を手がけるエンジニアリング会社でした。国土交通省や農林水産省の仕事を請け負い、一級河川や農業用水路の水門設備などを製造・設置していたのです。
その中で、環境事業部として新エネルギー分野に取り組んできました。昭和の終わりから平成の初めにかけて、バイオマスや小水力発電、風力発電など、当時「新エネルギー」と呼ばれていた分野で補助金を活用した事業を展開していました。
―― そこから補助金コンサルティングに特化されたきっかけは何だったのでしょうか?
東:平成10年頃、本社の広島の事務所を建設した際に、空調や照明といった一般的な設備も補助金の対象になることに気づいたのです。それまでは新エネルギー分野がメインでしたが、「これはクライアント企業にも提案できる」と考え、空調工事とセットで補助金を提案し始めました。
当時、私たちが補助金を持って提案に行くと、同業他社は脅威に感じていたようです。
そして平成22年に、グループ会社がホールディングス化するタイミングで、補助金専門部隊として豊国エコソリューションズを設立しました。16年前から補助金単体でビジネスを展開しているのです。
補助金ビジネスのパイオニアとしての挑戦
―― 設立当初は順調に進んだのでしょうか?
東:いえ、実は当初は非常に苦労しました。当時、補助金の認知度は今とは比べものにならないほど低かったのです。「1億円の投資で5千万円の補助金が出ますよ」と説明しても、「これは怪しい話じゃないか」と思われることが多かったですね。「そんなうまい話があるわけがない」「何か裏があるのでは」という反応ばかりでした。
しかし今では、日経新聞にも補助金の公募情報が掲載されるようになり、認知度は格段に上がりました。当時からメーカーさんと一緒に地道に活動を続けてきた結果、信頼を獲得できたと思っています。
―― 競合も増えてきている中で、御社の強みはどこにあるのでしょうか?
東:当社の強みは、やはりエンジニアリングのバックグラウンドにあります。メーカーさんから書類をもらって取りまとめるだけでなく、現場の状況を深く理解した上で、実効性のある省エネ提案ができる。これが私たちの最大の差別化ポイントです。
例えば、射出成形機や業務用洗濯機など、様々な業界の生産設備に精通しています。リネンサプライ業界のように特殊な設備を利用している業界でも、システムを理解して設備更新による削減効果を計算することができます。また、複数の設備やシステムをまたがるような複雑な案件でも、私たちはワンストップで対応できる。これは単純に書類を作成するだけのコンサルタントにはできないことです。
カーボンニュートラル時代の事業戦略
―― 環境やサステナビリティへの取り組みについて教えてください。
東:現在、カーボンニュートラルに関わるコンサルティングにも力を入れています。CO2の見える化から始まり、現状把握、ロードマップ作成、そして私たちが最も得意とする補助事業の提案、さらにはJ-クレジットなどの環境価値取引まで、一貫して支援できる体制を整えています。
私たちの強みは、この流れの中で「補助事業」のフェーズが最も強いことです。どの事業者さんも設備投資の段階で一番コストがかかる。そこで私たちがしっかりとご支援することで、前後の見える化やクレジット取引にもつなげていける。補助事業を軸に、全体を俯瞰したコンサルティングができるのが当社の特長です。
―― 今後の事業展開についてはいかがでしょうか?
東:補助事業を活用したコンサルティングは、おかげさまで多くお客様からご相談をいただいており全社をあげて対応している状況です。しかし、この基幹ビジネスに注力しつつ常に新しい分野にチャレンジし続けることを大切にしています。「7〜8割は基幹ビジネス、2割は新しい取り組み」というバランスを意識しています。
特に私たちが注力したいのは、中小企業やサプライチェーンの下流にいる企業への支援です。大手企業向けのコンサルティングは他社でもできますが、現場に入り込んで泥臭く課題を解決していくのは私たちの得意分野であり、生き残る道だと考えています。自動車部品メーカーの下請け企業や地元の中小企業など、本当に困っている方々の役に立ちたいのです。 また、地元ではゼロカーボンシティを宣言している東広島市と連携協定を締結しており、地域脱炭素化実現に向けた取組みを推進しています。

大切にしているカルチャーと価値観
―― 社員の方々に伝えている価値観はありますか?
東:一番大切にしているのは「自分が提供できる価値を理解すること」です。チームの中で、自分だからこそ提供できる価値は何か。それを意識しないと、個人の価値も会社の価値も上がらないと伝えています。
気がつくと目の前の業務に追われて自分の提供できる価値を見失うことがあります。書類作成がメインになって、マンパワー提供に陥っているケースがあるのです。誰でもできる仕事で疲弊していては仕方がない。自分にしかできない価値を追求し続けることが、生き残りの道だと考えています。
もう一つ大切にしているのは「パートナーとの信頼関係」です。メーカーさんや工事業者さんとチームを組んで仕事をしているので、最初に相談してくれたパートナーには恩を返す。たとえお客様から直接依頼があっても、チームを組んでいるパートナーが競合している場合はお断りすることもあります。
―― 人材育成についてはいかがでしょうか?
東:正直に申し上げると、教育体制が完璧かと言われれば、まだ改善の余地があります。ただ、私は「失敗」というものはあまりないと考えています。チャレンジして上手くいかなくても、改善すればいい。失敗したままで終わらせなければ、それは成長の過程なのです。
若い方には特にお伝えしたいのですが、自分の得意分野や適性を見つけるまでは、ある程度のハードワークは必要だと思っています。ある分野で10回挑戦するのと100回挑戦するのでは経験値や熟練度が違いますよね。熟練度が低い状態では効率を追求するとは難しいと思います。できるだけ早く効率的な働き方を身に付けたい場合は、早く経験を積むことが必要です。

ASUENE CAREERで求める人材像とメッセージ
―― どのような人材を求めていますか?
東:「思いは熱く、理論的に組み立てられる人」ですね。両方のバランスが取れている方がベストですが、どちらかに強みがあっても構いません。どんどん自分で進める攻めのタイプと、現実を見て着実に進めるタイプ、両方が必要です。
ただ、当社で実際に働いているメンバーは真面目でコツコツ仕事ができるタイプが多いです。一つ一つ着実にこなしていける方であれば、十分に活躍できる環境だと思います。
―― 最後に、御社に関心を持つ方へメッセージをお願いします。
東:私たちの仕事は、身近なところから環境課題を解決していくことですひとつひとつは些細なことであっても、その取り組みは最終的に地球温暖化対策に貢献していきます。
自分の仕事が国の方針である脱炭素社会の実現に直接つながっている。そういうやりがいを感じられる仕事だと思っています。働く能力も高められますし、社会貢献と自己成長の両方を実現できる環境があります。
補助金コンサルティングという分野のパイオニアとして、常に新しい挑戦を続けています。既存の枠にとらわれず、ブルーオーシャンを見つけていく。そんな姿勢に共感していただける方と一緒に働けることを楽しみにしています。
【企業概要】
社名:株式会社豊国エコソリューションズ
設立:2010年6月2日
資本金:1,000万円
従業員数:24名(2025年10月現在)
本社所在地:広島県東広島市西条町御薗宇6400番地4
東京事務所:東京都中央区新川一丁目17番25号 KDX東茅場町三洋ビル 8階
事業内容:補助事業活用コンサルティング(新エネ・省エネ・再エネ・ZEB・ものづくり)、ZEBプランニング、排出権取引
グループ概要:ホウコクホールディングスグループ(売上高約300億円、グループ社員数約561名)
企業HP:https://hokoku-eco.co.jp/
【インタビュー協力】
東 真司(ひがし しんじ)氏
代表取締役社長。豊国工業の環境事業部門時代から環境・エネルギー分野に携わり、2010年の豊国エコソリューションズ設立以降、補助事業活用コンサルティングのパイオニアとして業界をリード。「顔が見えるコンサルティング」を信条に、泥臭く現場に入り込みながら中小企業の脱炭素化を支援している。