サステナブル企業紹介

【PR】森林資源の循環が生み出す再生可能エネルギー ― エフオングループが描く、バイオマス発電と脱炭素社会への道筋

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エフオン

1997年、日本総研の社内ベンチャーとして誕生したエフオングループ。日本初となるESCOスキームの商業導入からスタートし、バイオマス発電事業のパイオニアとして20年以上の歴史を重ねてきた。現在では、5基のバイオマス発電所を運営するとともに、林業部門を擁し、森林資源の循環から電力小売まで一気通貫で手がける独自のビジネスモデルを確立している。FIT制度による転機、電力小売事業の再開、そして燃料高騰という課題に直面する中で、同社が見据えるのは「2050年を共に迎えられる顧客」との長期的な関係構築だ。

今回は、電力事業部を統括する常務取締役の藤井康太朗氏に、創業からの歴史、事業の特徴、そして脱炭素社会の実現に向けた展望について詳しく話を伺った。

INDEX

静脈産業のリーディングカンパニーを目指して ― 省エネビジネスからの出発

―― まずは御社の成り立ちについてお聞かせください。

藤井:当社は1997年に、三井住友銀行のシンクタンク部門である日本総研の社内ベンチャーとして設立されました。当初は省エネビジネス、具体的にはESCOスキームというビジネスモデルで省エネルギーの普及を推進する事業からスタートしました。

ESCOスキームとは、省エネ設備の導入によってエネルギー消費量を削減し、その削減分の経費の中から設備投資費用を回収する仕組みです。場合によっては、削減できたメリットを顧客と事業者でシェアするシェアードセービングスの形態も採用しています。

このビジネスモデルを商業会社として導入するのは、日本で初めての取り組みでした。当時は、いわゆる動脈産業に対する静脈産業のリーディングカンパニーになるという理念を掲げて立ち上げた会社です。

―― 省エネビジネスから発電事業への転換はどのような経緯だったのでしょうか。

藤井:省エネビジネスは収益化が難しいというのが業界の定説でした。新しいビジネスモデルでしたが、実際のところ収益性の確保には課題がありました。

そこで2000年頃から、バイオマス発電に注目しました。当時は建設廃材を燃料とする発電事業が始まった時期で、燃料コストを抑えられる発電事業には大きな可能性があると判断しました。

日本政府も「バイオマス・ニッポン」という構想を掲げており、日本の豊富な森林資源を活用したバイオマスエネルギーを全国的に広めていこうという政策の後押しもありました。こうした背景から、バイオマス発電事業への参入を決定しました。

電力自由化への挑戦と撤退 ― 2度目の正直

―― 2006年には電力小売事業にも参入されたと伺いました。

藤井:2006年に1号機、2号機、3号機が同時に稼働を開始しました。この時期、電力自由化が2000年からスタートして6年が経過しており、発電事業で生み出した電力を卸売りするだけではなく、自由化市場に参入して、自社で発電した環境価値の高い電力を直接顧客に販売する戦略を立てました。

しかし、市場の整備が十分でなく、大手電力会社からの切り替えは容易ではありませんでした。また、自社の発電コストも決して安価ではなく、黒字化が困難な状況でした。そのため、2009年頃に撤退を決断し、会社分割による事業売却を実施しました。

―― FIT制度の施行が大きな転機になったとお聞きしています。

藤井:2011年にFIT制度が施行され、翌2012年から同制度を活用した事業展開に転換しました。この制度により、バイオマス発電で生み出した電力を固定価格で長期間売電できるようになり、事業の安定化が図られました。結果として、業績は大きく回復しました。

2016年には3号機、2020年に4号機、2022年に5号機がそれぞれ稼働を開始し、現在は5基体制でバイオマス発電事業を展開しています。

森への恩返し ― 林業部門の立ち上げ

―― 林業部門を立ち上げられた背景を教えていただけますか。

藤井:バイオマス発電の燃料としては、建設廃材、林業用材である間伐材、製材所から発生する端材の3種類を使用しています。

2006年からの事業展開において、間伐材の調達を通じて林業従事者との関係が深まりました。日本の林業は、戦後の植林事業の後、輸入材との価格競争により衰退し、多くの森林が適切な管理を受けられず荒廃している状況にあります。

一方で、当社はバイオマス発電の燃料として木材を必要としています。FIT制度によって得られた収益は、本質的には林業から得た収益であると考えています。したがって、チップの購入による直接的な還元だけでなく、林業そのものを活性化させることが重要だと判断しました。

具体的には、自社で山林を取得し、木材の伐採、伐採後の植林といった一連の林業活動を実施しています。また、林業従事者の多くが日雇いで、天候によって収入が不安定という課題に対して、月給制での雇用という業界では画期的な取り組みを2016年から開始しました。 負担は大きいですが、こうした形で森林資源の循環と林業の活性化に貢献しています。現在、当社の従業員のうち、約30%が林業部門、約55%が発電部門、残りの約15%が本社のコーポレート部門、電力小売部門、省エネ部門に所属しています。

環境価値を届ける ― 電力小売事業の再開

―― 2020年に電力小売事業を再開されましたが、前回との違いは何でしょうか。

藤井:2020年、政府が2050年カーボンニュートラルの方針を打ち出したことを契機に、5基の発電所で生み出される電力を、卸売りだけでなく直接顧客に供給する戦略として、電力小売事業を再開しました。

過去の経験を踏まえ、今回は戦略を大きく転換しました。2006年当初は、価格競争力を前面に出し、大手電力会社より安価であることを訴求していました。環境価値についても言及していましたが、主要な訴求ポイントではありませんでした。

しかし、この戦略では成功しなかったため、2020年の再開時には方針を変更しました。当社は十数年にわたりバイオマス発電でCO2排出ゼロの電力を生産してきた実績があります。その電力を直接顧客に届けることで、環境価値を提供する。ただし、その環境価値の分、価格は高くなります。それでも環境価値を重視する顧客が存在すると考え、そうした顧客を探索する戦略に転換しました。

―― 実際の市場の反応はいかがでしたか。

藤井:率直に申し上げると、当初想定していたほど市場の成熟度は高くありませんでした。価格を重視する顧客が依然として大多数を占めており、環境価値を理解し、それに対価を支払う意思のある顧客を見つけることは容易ではありませんでした。

また、燃料価格の高騰という新たな課題にも直面しました。ウッドショックやロシアのウクライナ侵攻をはじめとする国際情勢の変化により、木材価格が上昇し、燃料費が増加しました。こうした状況を踏まえ、電力小売事業でも一定の収益を確保する必要が生じました。

そのため、当初100%だったバイオマス比率を30%程度まで調整し、環境配慮型でありながら価格競争力も持たせた商品設計に一部シフトしました。この戦略により、契約件数を徐々に増やしてきました。

―― 現在の電力小売事業の戦略を教えてください。

藤井:現在は二つの戦略を並行して展開しています。

一つは、短期的な需要に対応する戦略です。環境価値である非化石証書は市場で調達可能であり、比較的安価に入手できます。そのため、環境価値付きの電力を、大手電力会社と大きく変わらない価格で提供することが可能です。ただし、これは1年契約という短期的な取引となります。他の新電力事業者と同様のアプローチです。

もう一つは、長期的な戦略です。当社は自社で発電所を保有しているという強みがあります。この強みを活かし、2030年、2040年、2050年に向けた長期供給契約を提案しています。

つまり、短期的に環境価値の高い電力を求める顧客と、将来的に本格的な脱炭素化を目指す顧客の両方にアプローチしています。重要なのは、当社の電力がバイオマス発電所から生み出された、トレーサビリティの明確な電力であるという点です。 過度に高い契約目標を設定して、無理に契約を獲得するのではなく、当社の価値を理解し、2050年を共に迎えられる顧客を探索するというスタンスで事業を展開しています。

サステナビリティは事業そのもの

―― 御社のサステナビリティへの取り組みについてお聞かせください。

藤井:当社がサステナビリティに関する体系的な取り組みを開始したのは2021年頃からです。他社と比較すると、やや遅いスタートだったかもしれません。

その理由は、当社の事業そのものがサステナビリティを体現しているため、改めてアピールする必要性を感じていなかったからです。事業内容を理解いただければ、環境貢献を重視する企業であることは自ずと伝わると考えていました。やや保守的な発想だったと言えます。

しかし、多くの企業がサステナビリティへの取り組みを積極的にアピールするようになり、それが市場での評価につながる状況を目の当たりにしました。表面的な取り組みも少なくないと感じていますが、当社の真摯な取り組みが適切に伝わらなければ意味がありません。

そこで、サステナビリティ推進委員会の設置や、広報活動の強化など、体系的な取り組みを開始しました。結果的に、TCFD開示が求められた際も、すでに準備が整っていたため、円滑に対応することができました。

基本的な考え方としては、事業そのものがサステナブルであるという本質を維持しながら、それを適切に伝え、実際のビジネスにつなげていくことに注力しています。

―― 社員の方々の環境意識はいかがでしょうか。

藤井:正直に申し上げると、全社的なサステナビリティへの取り組みが、現場の社員全員に十分に浸透しているとは言い難い状況です。「委員会が開催されていることを知っていますか」と尋ねると、認識していない社員も少なくありません。

ただし、電力事業部門においては、環境価値を顧客に届けるというビジネスモデルそのものに携わっているため、日々の業務を通じて自然と環境意識を持っていると考えています。意識的にサステナビリティを追求するというよりも、業務の遂行が自然と環境貢献につながっているという状況です。

直面する課題 ― 燃料高騰とコスト上昇

―― 現在直面している課題について教えてください。

藤井:大きく二つの課題があります。一つは燃料価格の高騰です。木材価格は世界的な需給バランスや国際情勢の影響を受けて上昇傾向にあり、燃料コストが増加しています。

もう一つは、発電設備の導入コストの上昇です。資材価格や建設コストが高騰しており、新規発電所の建設は従来よりも困難になっています。

FIT制度による売電価格は固定されているため、コスト上昇は直接的に利益を圧迫します。従来のように「発電所を建設すれば安定的に収益が得られる」という状況ではなくなっています。

この課題を打破するためには、電力小売事業での収益確保が重要になります。そして、タイミングとして、2030年に向けて企業の脱炭素化が加速する中で、価格だけでなく環境価値を重視し、再生可能エネルギーの電力を購入する意思のある顧客が増加すると期待しています。

こうした顧客と長期的な関係を構築することが、当社にとっての課題解決であり、同時に社会全体の脱炭素化という大きな課題の解決にもつながると考えています。

―― 価格だけでない価値をどう伝えるかが重要なんですね。

藤井:その通りです。2050年の脱炭素社会の実現に向けて、共に取り組んでいける顧客を探索しています。

付加価値の提示は難しい面があります。「将来的に環境価値の高い電力は入手困難になる可能性があるため、今のうちに長期契約を結びませんか」という提案は、顧客にとっては将来への投資という側面があります。これを適切に評価し、意思決定いただくことは容易ではありません。

実際に営業活動を行うと、現場の担当者レベルでは「2030年から2035年頃には環境価値の高い電力の調達が困難になる」という認識を持っている方は少なくありません。しかし、購買部門の責任者が長期契約を決断するには、社内での説得が必要です。

特に、契約期間が10年、15年と長期にわたる場合、意思決定者自身がその時点で在任しているかどうかも不確実です。こうした不確実性が、長期契約の締結を躊躇させる要因となっています。

自由な発想を具現化できる企業カルチャー

―― 御社で大切にしている価値観やカルチャーについて教えてください。

藤井:当社の特徴の一つは、社員の提案を積極的に受け入れる風土です。新しいソリューションのアイデアがあれば、明確に否定すべき理由がない限り、「チャレンジしてみましょう」という姿勢で支援します。

例えば、以前在籍していた若手社員が、林業部門との連携で「企業の森」というコンセプトを提案しました。企業に一定の資金を拠出いただき、その森林から産出される木材を燃料として発電し、その電力を当該企業に供給するというストーリーです。

この社員は自ら企画を立案し、顧客への提案活動を行いました。結果として、環境意識の高い大手消費財メーカーなどとの契約獲得につながりました。

このように、社員が発想したソリューションを、積極的に実現できる環境があることは、当社の企業文化の一つと言えます。

―― マネージャの方はどのようにサポートされるのでしょうか。

藤井:マネージャの役割は、リスクの洗い出しと、その対応策の検討支援です。「このアイデアには、こういうリスクがあるのではないか」「こうした課題にはどう対応するのか」といった観点から議論を重ね、リスクを最小化した上で、「この内容であれば顧客に提案できる」という段階まで共に検討します。

社員のアイデアを具現化し、実際の営業活動につなげられる体制が整っているということです。

「電気を売る、その次のステップ」を目指す人材を求めて

―― どのような人材を求めていますか。

藤井:最近、大手電力会社の営業部門で長年経験を積まれた方と面談する機会がありました。その方は、「契約獲得を最優先とする営業活動に疲弊している」と率直に語られました。電力という商品の性質上、「現在の料金より安価です」という価格訴求が中心となり、やりがいを感じにくくなっているとのことでした。

その方が当社に関心を持たれた理由は、再生可能エネルギーの価値をどのように訴求し、どのような顧客に届けるか、という戦略的な営業を実践できる環境があると感じられたからです。

当社は発電所を保有しており、上流から下流までの一貫した事業を展開しています。どのような顧客にアプローチすべきか、どのような提案が市場を活性化させるか、といった戦略的思考を求められる環境です。

電力業界で従来型の営業を経験された方にとって、当社は「次のステップ」を踏み出せる場所ではないかと考えています。単に電力を販売するのではなく、脱炭素という社会課題の解決に向けて、ソリューション的なアプローチで顧客との関係を構築していく。そうした営業手法を共に開発していける人材を求めています。

もちろん、ある程度の営業経験を積んだ上での話にはなります。しかし当社では、従来型の営業経験と、戦略的・ソリューション的な営業の両方を経験できる環境があります。これは他社にはない強みだと考えています。

―― 御社で働く魅力について教えてください。

藤井:当社は設立当初から、環境価値の高い電力を生産し、顧客に届けるという理念を掲げてきました。そうした理念に共感して入社してくる社員が多いと考えています。 特に電力事業部門では、脱炭素社会の実現に向けて何をすべきかを常に考え、顧客向けの提案資料の作成なども行っています。こうした業務を通じて、自然と環境意識が醸成され、使命感を持って取り組んでいる社員が多いと認識しています。

2050年を共に目指すパートナーを探して

―― 最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

藤井:脱炭素という言葉が使われるようになって久しいですが、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギーの電源を保有していることの重要性は、今後ますます高まっていくと考えています。

当社はバイオマス発電のパイオニアとして、20年以上の実績を有しています。この電力を、その価値を理解いただける顧客に供給し、共に2050年の脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。

過度に高い目標を設定して、無理な営業活動を行うのではなく、当社の価値を理解し、長期的な視点で共に歩んでいける顧客を探索する。そうした活動を共に推進していただける営業人材を求めています。

単なる商品の販売ではなく、社会課題の解決に貢献するという使命感を持ち、戦略的な思考で顧客との関係を構築していく。そうした営業活動に興味のある方は、ぜひ当社の門を叩いていただきたいと思います。


【企業情報】

社名:株式会社エフオン
 設立:1997年
 事業内容:バイオマス発電事業、電力小売事業、林業事業、省エネルギーサービス
 
 発電所:5基のバイオマス発電所を運営
 所在地:東京都千代田区(東京駅直結)

特徴:

  • 日本初のESCOスキーム商業導入企業
  • バイオマス発電事業のパイオニアとして20年以上の実績
  • 建設廃材、林業用材(間伐材)、製材所端材を燃料として使用
  • 2016年に林業部門を立ち上げ、月給制での林業従事者雇用という業界革新的な取り組みを実施
  • 森林資源の循環から発電、電力小売まで一気通貫のビジネスモデル

【インタビュー協力】

藤井康太朗氏
 常務取締役 電力事業部 部長

同社の電力事業部を統括し、バイオマス発電事業と電力小売事業の戦略立案・推進を担当。環境価値を理解する顧客との長期的な関係構築を重視し、「2050年を共に迎えられるパートナー探し」を事業戦略の核に据える。社員の自由な発想を具現化できる企業文化のもと、新しい営業手法の開発にも積極的に取り組んでいる。

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