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デコ活とは?家庭・地域で取り組む廃棄物削減と再資源化の最新事例

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デコ活とは?家庭・地域で取り組む廃棄物削減と再資源化の最新事例

デコ活」とは、日常生活において、食品廃棄物や資源廃棄物を減らし、再資源化を推進することで、脱炭素社会の実現と豊かな暮らしを目指す活動です。

環境省が推進する「デコ活」は、地球温暖化対策に資する脱炭素(Decarbonization)と、環境に良いことをするエコ(Eco)を組み合わせた新しいライフスタイルを促しています。この活動は、日々の簡単な行動から地域全体の循環型社会づくりまで幅広くカバーしています。

本記事では、デコ活の定義、目的、具体的な方法、最新の事例、そして参加方法をわかりやすく解説します。

INDEX

デコ活とは?基本概要

「デコ活」の定義と目的

デコ活(Decokatsu)は、正式には「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の愛称です。

この活動の核となる目的は、地球温暖化対策循環型社会の実現です。特に、廃棄物分野においては、ゴミを減らす(リデュース)こと、繰り返し使う(リユース)こと、そして資源として再利用する(リサイクル)という「3R」の取り組みを徹底し、廃棄物処理に伴うCO₂排出量を削減することを目指します。

環境省による取り組みの背景

地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定のもと、日本は2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現を目指しています。

環境省は、この目標達成には政府や企業だけでなく、国民一人ひとりのライフスタイル転換が不可欠であると考え、「デコ活」を推進しています。特に廃棄物削減は、メタンガス排出削減や資源の有効活用に直結するため、重要な柱となっています。

家庭や地域での意義と効果

家庭や地域でデコ活に取り組むことは、以下のような重要な意義と効果をもたらします。

  • 環境負荷の低減: 廃棄物の減量やリサイクルにより、焼却処分時のCO₂排出量を削減します。
  • 資源の有効活用: リサイクルや再利用が進み、貴重な資源を未来へつなぐことができます。
  • 経済的なメリット: 食品ロス削減や節約につながり、家計に優しい活動となります。
  • コミュニティの活性化: 地域での共同回収やイベントを通じて、住民同士の協力や交流が生まれます。

デコ活の主な活動内容

デコ活における廃棄物削減と再資源化の活動は、「3R」を意識した具体的な行動が中心となります。

食品ロス削減の工夫(買い物・保存・調理の工夫)

食品ロスは、日本の廃棄物の中でも大きな割合を占めます。削減のための具体的な工夫は以下の通りです。

  • 買い物:
    • 手前どり(賞味期限や消費期限が近い商品から買う)。
    • 必要な分だけ購入する「かしこい買い物」を実践。
  • 保存:
    • 食材を使いやすい形にカットして冷凍保存するなど、適切な方法で鮮度を保つ
    • 冷蔵庫の奥にしまい込まないよう「見える化」する。
  • 調理:
    • 皮や茎など、食べられる部分を捨てずに使う「使いきりレシピ」を活用。
    • 外食時や宴会では「30・10運動」(開始後30分、終了前10分は席に戻って料理を食べる)を意識する。

資源ごみの分別・再利用の取り組み

資源ごみを正しく分別し、再利用を促すことは、デコ活の基本です。

  • 分別徹底: プラスチック、紙、びん、缶、ペットボトルなどを自治体のルールに従って正しく分別し、リサイクル率を向上させます。
  • リユースの推進: 不要になった衣類や家具などを捨てる前に、フリマアプリやリユースショップ、地域の交換会などを活用して、必要とする人に譲ります。

家庭から始める廃棄物削減の具体例

  • マイバッグ・マイボトルの利用: レジ袋やペットボトルの削減。
  • コンポスト(堆肥化): 生ごみを自家処理し、家庭菜園の肥料として再利用する。
  • 詰め替え商品の選択: シャンプーや洗剤などを詰め替え商品で利用し、プラスチックごみを削減する。

地域・企業でのデコ活事例

デコ活は、家庭内の活動を超え、地域や企業へと広がりを見せています。

地域自治体による回収・再資源化プロジェクト

  • 地域資源回収(集団回収)の強化: 自治体が主導し、古紙や段ボール、廃食用油などを地域住民が協力して集めるシステムを確立。回収量に応じた報奨金をコミュニティ活動に活用する例が増えています。
  • 生ごみ処理機購入補助: 自治体が生ごみ処理機の購入費用を補助し、家庭での生ごみ減量と堆肥化を後押ししています。

企業による食品廃棄物の再活用とCSR活動

  • アップサイクル食品の開発: 規格外の野菜や、製造工程で出る副産物などを活用し、新たな価値を持つ食品(例:ビールかすを使ったクッキー、コーヒーかすを使った衣類染料)に生まれ変わらせる取り組み。
  • フードバンクとの連携: 賞味期限が近い商品や在庫品などを、NPO等を通じて生活困窮者へ提供する活動。
  • 環境教育プログラム: 企業が従業員や地域住民向けに、デコ活や3Rに関するセミナーやワークショップを開催し、意識改革を促す。

学校・コミュニティでの参加型イベント紹介

  • フリーマーケット・交換会: 地域や学校で、不要になった物品を持ち寄り、交換し合うイベントを実施(リユースの促進)。
  • 「もったいない」体験学習: 学校給食での食べ残しチェックや、生ごみの堆肥化体験などを通じて、児童・生徒に食品ロスの現状と削減の重要性を教える。

デコ活で得られる環境効果

CO₂削減・廃棄物減少の数値例

廃棄物の焼却処理には大量のエネルギーが必要であり、CO₂が排出されます。デコ活を通じて廃棄物を削減することは、直接的なCO₂削減につながります。

  • 食品ロス削減による効果: 例えば、生ごみ1kgを削減すると、焼却処分時に排出されるCO₂を約1kg分削減できると概算されます。
  • リサイクルの効果: 紙1トンをリサイクルすることで、焼却処分や新規製造にかかるエネルギーを大幅に削減できます。

循環型社会への貢献

廃棄物削減は、単なる環境保全にとどまらず、資源を「採掘→製造→消費→廃棄」という一方通行の構造から、「資源循環」の構造へと転換させるための土台となります。

家計・経済的メリット

食品ロスを減らすことは、食材の無駄遣いをなくすこと。また、リユースやリサイクルを通じて、新たな製品の購入頻度を減らすことができるため、家計の節約に直結します。デコ活は、生活の質を高めながら経済的なメリットも享受できる活動です。


デコ活への参加方法

家庭でできる簡単アクション

  1. 「3R」の意識: 買い物前に在庫をチェックし、リデュース(ごみ減量)を徹底する。
  2. 分別徹底: 資源ごみを正しく分別し、リサイクルを確実にする。
  3. 水回りでの工夫: 不要な水を流しっぱなしにしない、節水型家電を選ぶなどの節水を意識する。
  4. デコ活賛同: 環境省のデコ活公式サイトで、具体的なアクション宣言(例:「食べきりを心がけます」)を行う。

地域イベントやプログラムへの参加手順

お住まいの自治体のウェブサイトや広報誌を確認し、以下のようなプログラムに積極的に参加しましょう。

  • 集団回収: 地域の町内会やPTAが行う資源ごみの集団回収に参加する。
  • リユース拠点: 自治体やNPOが運営するリユース拠点に不要品を持ち込む。
  • 環境イベント: 地域のお祭りなどで開催される食品ロス削減キャンペーンに参加する。

企業や学校での取り組み参加のポイント

  • 職場でのペーパーレス化: 印刷物を減らし、紙資源の削減に貢献する。
  • マイボトルの利用促進: 企業内の給水スポットを活用し、社員のマイボトル利用を奨励する。
  • 学校での環境委員会活動: 廃棄物の分別指導や、コンポスト活動などを企画・実行する。

デコ活の今後の展望

持続可能な社会に向けた政策連携

今後は、デコ活の活動を「GX(グリーントランスフォーメーション)」や「地域循環共生圏」といった国の重要政策とさらに連携させ、より大きな社会変革へとつなげることが期待されます。

自治体・企業・市民が連携する取り組みの拡大

廃棄物問題の解決には、自治体のインフラ整備、企業の技術とイノベーション、そして市民の行動が三位一体となる必要があります。デコ活をプラットフォームとして、これらのステークホルダーが連携し、地域特有の課題解決に当たる事例がさらに拡大していくでしょう。

技術活用による効率的な廃棄物削減の可能性

AIやIoTを活用したスマートごみ収集システム、食品ロスを防ぐための需要予測技術、高度な資源回収・選別技術など、テクノロジーによる効率化と高度化が進むことで、デコ活の取り組みがさらに実効性を増す可能性があります。


まとめ:デコ活は日常の小さな行動から始められる環境貢献活動であり、持続可能な社会を実現するための国民運動です

家庭での食品ロス削減、地域での資源の徹底分別、そして企業によるイノベーションを通じて、廃棄物削減と循環型社会の実現は可能です。

私たち一人ひとりの「デコ活」を広げる行動が、未来の地球環境を守り、豊かな暮らしを次世代へつなぐ第一歩となります。

企業における廃棄物管理とASUENEの活用

企業がデコ活の理念を実践し、サプライチェーン全体での脱炭素を推進する上で、廃棄物(ごみ)の排出量、リサイクル率、およびその処理に伴うCO₂排出量(Scope3排出量)の正確な把握は不可欠です。

当社サービスASUENEでは、企業の事業所ごとの廃棄物データ(種類、量、処理方法)を一元的に収集・管理し、そこから排出される温室効果ガス量を自動で算定することが可能です。廃棄物データの「見える化」を通じて、削減目標の設定や、リサイクル率向上のための具体的な施策立案を強力にサポートします。

【参考文献・出典】

  1. 環境省「デコ活の概要」
     https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/common/file/20251105_decokatsu_overview.pdf
  2. 環境省「デコ活推進事業資料」
     https://www.env.go.jp/content/000335889.pdf
  3. 食品ロス削減推進会議「家庭・地域での食品廃棄物削減事例」
     https://www.maff.go.jp/j/food_loss/

日本循環型社会学会「廃棄物削減・再資源化の最新動向」
 https://www.jswrc.org/

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