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COP30ジャパン・パビリオンのバーチャル展示とは?日本の脱炭素技術・気候変動対策を世界へ発信

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COP30ジャパン・パビリオンのバーチャル展示とは?日本の脱炭素技術・気候変動対策を世界へ発信

地球温暖化対策の国際的な枠組みである国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)は、2025年に開催される予定であり、世界各国がパリ協定の長期目標達成に向けた具体的な行動を加速させる重要な節目となります。

この国際的な舞台において、日本が誇る最新の脱炭素技術革新的な政策、そして地域社会からのイノベーションを世界に発信する拠点となるのが、日本政府公式の展示施設「ジャパン・パビリオン」です。

近年、このジャパン・パビリオンは、開催地でのリアル展示に加え、オンライン上で国内外どこからでもアクセス可能な「バーチャル展示」を並行して展開し、その発信力を飛躍的に高めています。特に、バーチャル展示は、会期や地理的な制約を超えて、より多くの人々、企業、研究機関、そして途上国の政策担当者に日本の取り組みを届けるための鍵となります。

本記事では、「脱炭素社会の実現」と「気候変動対策の国際貢献」をテーマに、COP30ジャパン・パビリオンのバーチャル展示概要主要なテーマ具体的な見どころ、そして日本企業や自治体がこれを活用する意義について、徹底的に解説します。デジタル技術を活用した新たな国際発信の形に注目していきましょう。


INDEX

COP30とは

ジャパン・パビリオンの意義を理解するためには、まずCOP30が国際社会においてどのような位置づけを持つ会議であるかを把握しておく必要があります。

国連気候変動枠組条約締約国会議(Conference of the Parties)とは何か

COP(Conference of the Parties)とは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に加盟する締約国が一堂に会し、気候変動問題に関する国際的な取り決めや行動計画を議論し、意思決定を行う最高機関の会議です。

COPは、1995年に第1回が開催されて以来、ほぼ毎年開催されており、京都議定書(COP3)やパリ協定(COP21)といった歴史的な国際枠組みが採択されてきました。世界の気候変動対策の方向性を決定づける、最も重要な国際会議です。

COP30の開催地、開催時期、主要テーマ

COP30は、2025年にブラジルベレンで開催されることが予定されています。開催時期は例年通り、11月末から12月初旬にかけての約2週間となる見込みです。

主要テーマは、パリ協定の長期目標(世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする)達成に向けた、「行動の加速(Acceleration of Action)」が中心となります。特に以下の点が焦点となると予想されます。

  • NDC(国別削減目標)の強化: 各国が提出する次期NDC(2035年目標など)に向けた議論。
  • 気候資金(Climate Finance)の動員: 途上国が気候変動対策を実行するための資金支援のあり方。
  • 適応策(Adaptation)の推進: 気候変動の悪影響に対する適応策の強化と国際協力。

パリ協定目標に向けた国際的議論の場としての位置づけ

COP30は、2023年のCOP28で実施された「グローバル・ストックテイク(GST)」の結果を受けての、具体的な行動計画を策定する段階に入ります。GSTでは、パリ協定目標達成に向けた世界の進捗が不十分であることが確認されており、COP30は、すべての国が野心的な目標を掲げ、具体的な脱炭素移行計画(Transition Plan)を示すことが強く求められる場となります。

日本にとっても、G7の一員として、また先進的な技術を持つ国として、国際的なリーダーシップと具体的な貢献を示す責任を果たす重要な機会となります。


ジャパン・パビリオンの概要

COP30の開催地で設置されるジャパン・パビリオンは、日本の気候変動対策に関する取り組みを総合的に発信する、日本政府公式の展示施設です。

環境省が主導する日本公式展示の目的

ジャパン・パビリオンは、主に環境省が主導し、経済産業省や外務省など関係省庁、そして多くの民間企業や研究機関と連携して運営されます。その最大の目的は、以下の三点です。

  1. 国際貢献の発信: 日本の技術やノウハウが、世界、特に途上国の脱炭素化と気候変動対策にどのように貢献できるかを具体的に示す。
  2. 国際連携の促進: パートナー国政府、国際機関、海外企業との対話や連携の場を提供し、具体的な共同プロジェクトの形成を促進する。
  3. 国内企業・自治体の支援: 日本の優れた取り組みを世界に紹介し、国内企業や自治体の国際的なプレゼンス向上と、ビジネス機会の創出を支援する。

「行動する日本(Japan in Action)」をテーマにした発信内容

ジャパン・パビリオンでは、毎回、その年のCOPの主要テーマと連動した統一テーマが設定されます。COP30では、「行動する日本(Japan in Action)」やこれに類する、日本の具体的な実行力を強調するテーマが設定されることが予想されます。

発信される内容は、単なる未来の技術紹介に留まらず、すでに社会実装が進んでいる、あるいは国際連携を通じて導入が可能な、以下の分野にわたります。

  • エネルギー分野のトランジション(移行)技術(水素、アンモニア、CCUS)
  • 産業部門や都市における省エネルギー・高効率化
  • 自然資本や生物多様性と統合した適応策
  • 地方自治体主導による地域脱炭素モデル(地域共生型再エネなど)

リアル会場とオンライン(バーチャル展示)の両軸展開

COP30ジャパン・パビリオンは、以下の二つの形態で展開されます。

  1. リアル会場(ブラジル・ベレン): 開催地において実際に建設される物理的なブース。セミナーやハイレベルイベント、二国間対話の中心となる場です。
  2. オンライン(バーチャル展示): COP会期中だけでなく、その前後を含めた長期間、インターネット上で展開されるデジタル空間。これにより、地理的な制約やCOVID-19のような予期せぬ事態にも左右されず、情報へのアクセスを最大限に保証します。

バーチャル展示の役割は、リアル会場で実施されたセッションのアーカイブ公開や、リアル展示では収まりきらない詳細な技術情報の提供など、パビリオン全体の情報発信力を補完・強化することにあります。


バーチャル展示とは

バーチャル展示は、デジタル技術を駆使して構築されたオンライン上の展示空間であり、日本の環境技術や政策を世界に届けるための、現代的なソリューションです。

オンライン上で体験できる日本の環境技術・政策紹介

ジャパン・パビリオンのバーチャル展示は、ウェブブラウザを通じてアクセスできる3D仮想空間を主なプラットフォームとします。ユーザーは、まるで実際の展示会場を歩いているかのように、デジタル空間内を自由に移動し、様々な展示ブースやシアターにアクセスすることができます。

  • 展示の再現性: リアル会場の建築デザインやブース配置を、デジタルツインのようにオンライン上に再現することで、臨場感のある体験を提供します。
  • 情報の深さ: リアル会場では時間的制約から伝えきれなかった、技術的な詳細データ、導入事例の動画、政策に関するレポートなどの詳細情報を、データ形式で常時提供します。

国内外どこからでもアクセス可能な展示構成

バーチャル展示の最大の強みは、そのアクセスの容易性地理的制約の克服です。

  • グローバルアクセス: インターネット環境さえあれば、ブラジルの開催地はもちろん、日本国内世界中の国々から、時間や場所を問わずアクセス可能です。これは、特に渡航が難しい途上国の政策担当者や、遠方の大学・研究機関の関係者にとって、日本の技術に触れる貴重な機会を提供します。
  • 期間の拡張: リアル展示の会期が約2週間であるのに対し、バーチャル展示は会期前後の長期間(数ヶ月間)にわたって公開されることが多く、情報発信の期間を大幅に延長することができます。

映像・3D展示・インタビューなど多様なコンテンツ形式

バーチャル展示は、デジタルならではの多様なコンテンツ形式を活用し、ユーザーの理解度を高めます。

  • 3Dモデル・シミュレーション: 水素製造装置や次世代原発、CO₂回収装置など、実物を持ち込めない大型の技術やインフラを3Dモデルで詳細に展示。ユーザーは、技術の内部構造や稼働原理をインタラクティブに操作しながら学ぶことができます。
  • オンデマンド映像: 最新技術の導入事例、専門家による解説、ハイレベルセッションのアーカイブ映像などを、ユーザーの好きなタイミングで視聴できるオンデマンド形式で提供。
  • バーチャル対話(アバター/AI): 企業や団体の担当者のアバターを配置したり、AIを活用したチャットボットを導入したりすることで、ユーザーからの質問に対して即座に情報提供や対話を行う機能も実装されます。

バーチャル展示の主なテーマ

COP30ジャパン・パビリオンのバーチャル展示は、日本の気候変動対策を多角的に紹介するため、複数のテーマエリアで構成されます。

脱炭素社会実現に向けた技術・制度の紹介

日本の「グリーン成長戦略」に基づき、GHG排出量を劇的に削減するための革新的な技術と、それを支える制度設計が中心となります。

  • 次世代エネルギー: 水素・アンモニア燃焼技術、CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)技術、カーボンリサイクル技術など、脱炭素化の鍵となる技術の実証・社会実装状況。
  • 産業のトランジション: 鉄鋼、化学、セメントなど、排出削減が困難な産業(Hard-to-Abate Sectors)における、エネルギー転換やプロセス転換の取り組み。
  • 低炭素インフラ: スマートグリッド、デジタル技術を活用したエネルギーマネジメントシステム(EMS)、VPP(バーチャルパワープラント)など、次世代の電力・インフラシステムの構築。

気候変動適応策・自然共生の取り組み

気候変動の影響が避けられない中、その被害を軽減し、自然と共生していくための適応策(Adaptation)も重要なテーマです。

  • 防災・減災技術: 洪水予測システム、異常気象に対応したインフラ設計技術、早期警戒システムなど、気候変動による災害リスクを軽減する技術。
  • 自然を基盤とした解決策(NbS): 森林や沿岸湿地などの自然の力を活用した防災・減災策、都市緑化、生物多様性の保全と気候変動対策の統合事例。
  • 農業・水資源の適応: 気候変動に対応した耐性作物の開発、渇水・洪水に対応したスマートな水管理技術。

地域からのイノベーション事例

日本の脱炭素化は、首都圏だけでなく、地方自治体が主導する独自の取り組みによって推進されています。

  • 地域共生型再エネ: 住民合意形成のもとで実施される地熱、小水力、バイオマスなどの地域再エネ事業モデル。
  • ゼロカーボンシティの挑戦: 自治体が掲げる2050年ゼロカーボン目標達成に向けた、具体的な実行計画と進捗状況。
  • 地域金融との連携: グリーンファイナンスや地域ファンドを活用した、地域内での脱炭素資金循環の仕組み。

企業・自治体・研究機関の連携プロジェクト紹介

日本政府が推進する国際連携プロジェクト(JCM:二国間クレジット制度など)の成功事例や、産学官連携による技術開発プロジェクトが紹介されます。

  • JCMプロジェクト: 途上国で日本の低炭素技術を導入し、GHG削減と途上国の持続可能な開発に貢献している具体的な事例とその成果。
  • 産学官連携の枠組み: 大学・研究機関が持つ基礎研究の成果を、企業が社会実装するまでのロードマップや、そのための政府支援策。

出展団体・企業の特徴

ジャパン・パビリオンのバーチャル展示は、多様な主体の参画によって、日本の気候変動対策の総合力を世界に示します。

環境省・経済産業省・民間企業・研究機関などが参加

出展主体は、政府機関、民間企業、学術機関と多岐にわたります。

  • 政府機関(環境省、経産省など): 国の政策や目標、国際的な資金援助の枠組み、JCMなどの国際協力事業を紹介。
  • 大手民間企業: エネルギー、製造、建設、自動車、金融といった主要産業を担う企業が、自社の脱炭素移行戦略や、実用化段階にある最新の脱炭素技術を出展。
  • 研究機関・大学: 地球システムモデリング、次世代電池、革新的素材開発など、未来の脱炭素社会の基盤となる基礎研究の成果を発表。

再エネ・水素・カーボンリサイクル・自然共生などの多分野展示

展示される技術分野は、特定の領域に偏ることなく、日本の強みである「幅広い技術ポートフォリオ」を世界に示す構成となります。

主要な展示分野貢献する脱炭素・適応の要素
再生可能エネルギー(次世代型)浮体式洋上風力、地熱発電、太陽光発電の高効率化
水素・燃料アンモニア供給網構築、燃焼技術、産業利用への転換
カーボンリサイクル・CCUS排出されたCO₂の分離回収、メタネーションなどによる再利用
高効率省エネ・EMSAIを活用したエネルギー最適化、高効率ヒートポンプ
適応策・NbS豪雨予測、水管理、都市の緑化インフラ

スタートアップや地方自治体の事例も紹介

大企業や政府機関だけでなく、日本のイノベーションの源泉である主体も積極的に紹介されます。

  • スタートアップ企業: 環境分野における独自のビジネスモデルや、破壊的イノベーションの可能性を秘めた新技術(例:バイオ燃料、素材技術、環境モニタリングサービス)を持つ企業が出展。
  • 地方自治体: 「ゼロカーボンシティ」を宣言した自治体の中から、地域の資源(温泉熱、未利用材など)を活かした具体的な脱炭素化計画や、住民参加を促す成功事例を紹介。これにより、「脱炭素は都市部だけの課題ではない」というメッセージを世界に発信します。

バーチャル展示の見どころ

バーチャル展示は、従来のウェブサイトやPDF資料では得られない、独自のユーザー体験を提供します。

最新技術を3D・映像で体感できる展示空間

バーチャル展示の最大の魅力は、体験型コンテンツです。

  • インタラクティブな3Dモデル: ユーザーは、カーソル操作やVRデバイス(オプション)を通じて、展示されている水素タービンやCCUSプラントの3Dモデルに近づき、主要コンポーネントを分解したり、稼働時のCO₂の流れをシミュレーション映像で確認したりすることができます。
  • 環境データの可視化: 日本の気候変動対策の効果や、特定の地域での排出削減目標達成への進捗状況を、リアルタイムに近いデータ美しいインフォグラフィックスで可視化。

インタラクティブなユーザー体験(対話・資料閲覧など)

ユーザーが能動的に情報にアクセスし、関係者と繋がれる仕組みが組み込まれています。

  • 資料・動画のダウンロード: 各ブースに設置された資料コーナーから、企業パンフレット、技術レポート、投資家向け情報などをワンクリックでダウンロード可能。
  • バーチャル名刺交換: 関心を持った出展企業の担当者アバターに対し、オンライン上で連絡先情報(名刺データ)を交換する機能。
  • Q&Aセッション: リアル会場でのセッションの質疑応答部分や、バーチャル展示限定の専門家とのライブQ&Aセッションにチャットで参加し、疑問点を解消する機会。

展示アーカイブで会期後も閲覧可能

リアルなCOP会期が終わった後も、バーチャル展示はアーカイブとして長期間(例:数ヶ月〜1年間)公開されます。

  • 情報の継続性: 会期中にアクセスできなかったユーザーや、後から詳細を確認したいユーザーが、いつでも情報にアクセスできるため、情報発信の持続性が確保されます。
  • 教育・研修利用: 大学や企業内の環境部門などが、日本の最新技術や政策を学ぶための教材として、バーチャル展示のアーカイブを継続的に利用できます。

視聴・参加方法

バーチャル展示への参加は、非常にシンプルで敷居が低いのが特徴です。

COP30公式サイトおよびジャパン・パビリオン特設ページからアクセス

バーチャル展示は、以下の公式サイトや特設ページを通じてアクセスが可能となります。

  1. 環境省COP Japan公式サイト: COP関連情報が集約される公式ポータルから、バーチャル展示特設サイトへのリンクが案内されます。
  2. 特設バーチャル展示プラットフォーム: 専用のURLにアクセスするだけで、特別なソフトウェアのインストールを必要とせず、ウェブブラウザ(PC、スマートフォン、タブレット)から展示空間に入ることができます。

期間中の配信イベントやライブセッションの情報

バーチャル展示期間中、リアル会場のハイレベルセッションの中継だけでなく、バーチャル展示専用のイベントが多数企画されます。

  • ライブ配信: 日本時間の早朝や夕方など、時差を考慮した時間帯に、技術者や政策担当者によるライブプレゼンテーション国際的な専門家とのパネルディスカッションが配信されます。
  • イベントスケジュール: 特設サイト上に、開催期間中のライブイベント、セミナー、対話セッションのスケジュールがカレンダー形式で公開され、参加登録が可能となります。

一般閲覧者・専門家双方に向けた参加手順

バーチャル展示は、幅広い層をターゲットとしています。

  • 一般閲覧者: 氏名や所属などの簡単な登録(またはゲストアクセス)だけで、展示空間を自由に閲覧し、映像コンテンツを視聴することができます。
  • 専門家・ビジネスユーザー: 事前の詳細なユーザー登録を行うことで、展示担当者との個別対話予約機能や、限定資料のダウンロード、特定の専門家向けセッションへの参加などが可能となります。専門家向けには、登録時に興味分野を尋ね、関連する情報やイベントをプッシュ通知する機能も実装されます。

日本の脱炭素・気候変動対策の発信意義

バーチャル展示を通じて日本の取り組みを世界に発信することは、国際社会における日本の地位確立と、経済的な利益に直結します。

技術と政策を両輪で世界に発信する狙い

日本は、世界的に見てもエネルギー効率が高く、技術開発力に優れています。しかし、その技術が国際市場で適切に評価されていないという課題がありました。

  • 技術の実証: バーチャル展示は、日本の技術が単なる研究段階ではなく、社会実装が可能であることを具体的なデータや事例で示し、技術の信頼性を高めます。
  • 政策の透明性: 日本の「GX推進戦略」「長期的な排出削減パス」といった政策を透明性高く発信することで、海外の投資家や企業に対し、日本市場の予測可能性ビジネスチャンスをアピールできます。

途上国支援・国際連携への波及効果

日本の技術とノウハウは、特にインフラ整備が急務な途上国の脱炭素移行にとって非常に重要です。

  • マッチングの機会: バーチャル展示のインタラクティブな機能は、日本の技術企業と、技術導入を検討している途上国政府・企業とのバーチャルなマッチングの場を提供します。
  • JCMの加速: JCM(二国間クレジット制度)プロジェクトの成功事例を映像やデータで分かりやすく示すことで、新たなJCMプロジェクトへの参画希望者パートナー国を増やし、国際的なCO₂削減貢献を加速させます。

企業・自治体の国際的プレゼンス向上

バーチャル展示は、参加する日本企業や自治体にとって、費用対効果の高い国際プロモーションの機会となります。

  • ブランド構築: 世界の政策決定者や投資家に向けて、自社の技術や取り組みを直接アピールすることで、サステナブルな企業・自治体としてのブランドイメージを確立。
  • 人材獲得: 環境問題に関心を持つ優秀な国内外の人材に対し、企業の先進的な取り組みを示すことで、グローバルな人材獲得に繋げることも期待できます。

過去のCOPでのジャパン・パビリオン実績

バーチャル展示は、近年のCOPにおいて急速にその重要性を増しており、過去の実績はその効果を証明しています。

COP27・COP28での展示テーマと反響

  • COP27(シャルム・エル・シェイク、エジプト): 「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想や、アフリカ・中東地域への適応策支援などがテーマの中心となり、バーチャル展示も併用されました。
  • COP28(ドバイ、UAE): GX(グリーントランスフォーメーション)推進に向けた日本の政策と技術(特に水素、アンモニア、CCUS)を強力に発信。バーチャル展示のアクセス数は数十万件にのぼり、リアル会場に来場できなかった層への情報リーチに大きく貢献しました。

これまでの国際的評価・来場者数の推移

バーチャル展示の導入以降、COP期間中および期間後の情報発信力は飛躍的に向上しました。

  • 国際的評価: 3Dや映像を活用した日本のバーチャル展示は、その高いクオリティと情報量で、国際的な評価が高まっています。特に、途上国の関係者からは、渡航費をかけることなく日本の技術を詳細に学べる点が高く評価されています。
  • 来場者数: リアル会場の来場者数は物理的な制限を受けますが、バーチャル展示ではCOP28で約2週間の会期中だけで10万人以上がアクセスし、その後のアーカイブ公開期間を含めると、数十万人に日本の情報が届いていると推移されています。

COP30での新たな展開ポイント

COP30では、バーチャル展示はさらに進化すると予想されます。

  • 南米地域への特化: COP30の開催地が南米であることから、南米地域のパートナー国が抱える課題(例:森林保護、バイオマス利用、都市交通)に特化した日本のソリューションを重点的に紹介するコンテンツが強化される見込みです。
  • 商談機能の強化: 企業間のバーチャル商談機能や、専門家同士がアバターを介してリアルタイムで技術的なディスカッションができる「バーチャル・ワークショップ」機能など、ビジネス連携に直結する機能がさらに拡充されると予想されます。

今後の展望

COP30以降も、バーチャル展示の活用は、日本の気候変動対策の発信において重要な役割を担い続けるでしょう。

バーチャル展示の常設化・継続発信の可能性

COP会期中の一時的な展示に留まらず、バーチャル展示を「ジャパン・パビリオンの常設ポータル」として運営し、年間を通じて日本の最新の脱炭素技術や政策を更新し続ける可能性が高まっています。

  • 情報ハブ機能: 日本の環境技術に関する世界的な情報ハブとして機能し、日本の研究成果や企業のプレスリリース、政策決定などの情報を一元的に発信するプラットフォームとなることが期待されます。

次世代技術(AI・デジタルツイン等)の活用拡大

今後、バーチャル展示の体験は、よりリアルかつパーソナライズされたものへと進化します。

  • AIコンシェルジュ: ユーザーの所属や関心分野に応じて、最適な技術展示や政策資料を推奨するAIコンシェルジュ機能の導入。
  • デジタルツイン: 実際の発電所や工場をデジタルツインで再現し、ユーザーが遠隔でその設備のエネルギー効率改善シミュレーションを体験できる機能。

市民・企業・行政の協働による脱炭素社会実現への加速

バーチャル展示は、専門家や政策担当者だけでなく、一般市民に対しても日本の脱炭素化の取り組みをわかりやすく伝える重要なツールです。

  • 意識改革: 家庭や個人が日常でできる脱炭素行動や、地域コミュニティでの取り組みを視覚的に訴求することで、国民全体の気候変動対策への意識と行動を促す効果が期待されます。
  • 国際世論の喚起: 日本の取り組みを世界に広く発信することで、国際的な世論を味方につけ、グローバルな脱炭素化のムーヴメントを加速させることに貢献します。

まとめ:デジタル技術と国際連携を踏まえた日本の行動発信が重要

2025年開催の国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)におけるジャパン・パビリオンのバーチャル展示は、単なるオンラインブースではありません。

これは、日本の技術力政策の実行力を、地理的・時間的な制約を超えて世界中に届け、国際的な脱炭素移行を先導するためのデジタル外交の最前線です。

バーチャル展示の最大の価値は、日本の革新的な技術や、地域からの具体的な成功事例を、費用対効果が高く、継続的かつ詳細に発信できる点にあります。これにより、途上国との連携や、海外投資の誘致といった実利に繋げることが可能となります。

今後、日本の企業や自治体が、このバーチャル展示の機会を最大限に活用し、「デジタル技術と国際連携を踏まえた日本の行動発信」を徹底することが、グローバルな気候変動対策と、日本の持続的な経済成長を両立させるための最重要課題となります。


【参考文献・出典】

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