環境や人権問題など社会が抱える様々な課題への関心が高まる中、旅館やホテル業界においてもSDGsへの取り組みは不可欠なものとなりました。旅館やホテルはSDGsに取り組むことで、企業価値を高めることができます。ここでは、SDGsへの取り組みが評価されている旅館・ホテル業界の事例をご紹介します。
SDGsとは?

SDGsとは2015年9月に国連総会で採択された世界が共通に掲げる17から構成される目標のことで、2030年までに実現することを目標としています。
出典:国際連合広報センター『SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン』
出典:外務省『JAPAN SDGs Action Platform』
旅館・ホテル業界にとってのSDGs
現在、社会は様々な課題を抱えていますが、企業を含む全てのステークホルダーが連携し、課題解決に向け取り組むことが求められています。旅館やホテル業界もSDGsに取り組むことで規の顧客や新しいサービスの開発、社会的イメージの向上などのメリットを期待できます。現在、観光業界においてサステイナブルツーリズムへの関心が高まっています。SDGsへ取り組む旅館やホテルは、旅行会社のホームページなどでサステイナブルな旅館・ホテルとして紹介されることがあります。
旅館・ホテル業界にできるSDGsの取り組み
旅館やホテル業界にできるSDGsへの取り組みには以下のようなものがあります。
- フードロス削減対策
SDGsの目標12番「つくる責任 つかう責任」が該当します。
- エコな素材を原料とするアメニティ
SDGsの目標12番「つくる責任 つかう責任が該当します。
- 調理過程で出る廃油の再利用
SDGsの目標12番「つくる責任 つかう責任」が該当します。
- 館内で使用する電力の脱炭素化や省エネルギーの徹底
SDGsの目標7番「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や13番「気候 変動に具体的な対策を」が該当します。
旅館のSDGsへの取り組み事例
SDGsへの取り組みが評価されている旅館の取り組み事例をご紹介します。
ホテル古湧園遥(HARUKA)
道後温泉にある老舗旅館のホテル古湧園 遥(HARUKA)は、2019年に温室効果ガス排出量の大幅な削減を目指す世界基準の環境対応型ホテルとしてグランドオープンしました。2018年度の「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」の補助金制度を活用し、省エネ率50%以上を目標とし、省エネルギー対策に取り組んでいます。ZEB導入前は18,559GJだった一次エネルギーの年間消費量が、導入後は6,944GJにまで削減される見込みを示しています。この数値は約62%の削減になります。

参考:Alt属性(省エネ効果について)
出典:経済産業省 四国経済産業局『省エネ優良事例集2019 l ホテル古湧園 遥(HARUKA)』
加賀 山代温泉 ゆのくに天祥
従業員とその家族の健康を維持し、増進させることが顧客の満足度を高めるとし、子育てや介護をしながらも働ける環境づくりなど健康経営を行っています。
出典:ゆのくに天祥『SDGsの取り組み』(2021/4/1)
海栄RYOKANS
自然豊かな立地に19の旅館を展開する海栄RYOKANSは、全19館が一丸となってSDGs経営に取り組んでいます。旅館業で課題とされているフードロス削減や近隣地域の清掃活動などを実施しています。
吉祥やまなか
地域社会との共生を目指し、SDGs経営を行っています。調理過程で廃棄される年間2,250リットルもの廃油を地元企業と連携することで飼料に変え、資源の再利用をしたり、地酒の消費を促すなど取り組みを行っています。
伊香保温泉ホテル松本楼
地域の課題や全てのステークホルダーに事業活動を通して向き合うことで、社会に貢献することを目標にSDGsに取り組んでいます。朝食バイキング時に提供していた大皿を中皿に変えることで、フードロス削減に成功しています。
出典:群馬県伊香保温泉ホテル松本楼『SDGs 私たちが目指す温泉宿』
ホテルのSDGsへの取り組み事例
SDGsへの取り組みが評価されているホテル業の取り組み事例についてご紹介します。
SHIROYAMA HOTEL kagoshima
地域密着と社会貢献を理念に掲げ、SDGs経営を行っています。環境問題にも積極的に取り組んでおり、LEDや省エネ設備、EV充電器、生ゴミを削減するための設備などを設置しています。
出典:SHIROYAMA HOTEL kagoshima『SHIROYAMA HOTEL KAGOSHIMA × SDGsが取り組むSDGs』
岡山ビューホテル
岡山の街の魅力を向上させることを目標に、地元の企業などと連携しながらSDGs経営を行っています。ホテルの近くにあるYMCAと連携し、館内レストランで定期的に子ども食堂を開催するなど地域の健康や福祉に貢献しています。
富士屋ホテル
ホテル社内にSDGs推進委員会を設置し、環境問題を改善するためにSDGs経営を行いながら、様々な取り組みを実施しています。節電や省エネルギー、プラスチックゴミやフードロス削減への取り組みの他に、環境に優しいエコな素材のアメニティを使用しています。
まとめ:旅館・ホテル業界の取り組みを知り、SDGsに取り組もう!
2050年までにカーボンニュートラルを実現させるために、日本だけでなく世界各国で脱炭素への取り組みが加速しています。旅館やホテル業界も、SDGsへ取り組まないと生き残ることが難しい時代になりました。SDGsへの理解を深め、旅館やホテルの経営にSDGsを組み入れることで、信頼を高め企業の価値を高めていきましょう。