削減実績量(REP)とは?概要やメリット・デメリットを解説

削減実績量(REP)は、企業や団体が温室効果ガスの排出削減を実施した結果、得られる実績値を示す指標です。これは、温暖化対策の進捗状況を測るために重要であり、特に排出量取引制度やカーボンオフセットなどの枠組みで利用されます。REPの算定には、削減活動の効果を定量化することが求められ、正確なデータに基づく評価が必要です。この記事では、REPの概要とその算定におけるメリット・デメリットについて詳しく解説します。

目次

  1. 削減実績量(REP)とは

  2. 削減実績量(REP)のメリット・デメリット

  3. 削減実績量(REP)の基本原則とポイント

  4. まとめ:削減実績量(REP)は重視される指標!今から理解して持続可能な企業を目指そう

1.削減実績量(REP)とは

まずは、削減実績量(REP)の概要と基本的な考え方について解説します。REPは、温室効果ガスの削減効果を定量的に示す指標のひとつです。CFPや削減貢献量との関係性も説明します。

概要

削減実績量(REP)は、企業が脱炭素投資を通じて生み出した製品単位の温室効果ガス(GHG)排出削減量を示す指標です。この削減実績量は、「製品のGX価値」を構成する要素の一つであり、他には削減貢献量があります。

削減実績量は、企業が自社内で実施した削減施策による排出量削減を反映したものであり、具体的には自社の排出量を直接削減した結果として算定されます。この指標は、脱炭素への取り組みの成果を明確に示す重要な要素のひとつです。

出典:経済産業省「GX 市場創出に向けた官民における取組について (中間整理)産業競争力強化及び排出削減の実現に向けた需要創出に資する GX 製品市場に関する研究会 2024年3月」p5GX 市場創出に向けた官民における取組について (中間整理)」p5(2024/03/26)

(1)基本的な考え方

削減実績量(REP)の基本的な考え方は、企業が脱炭素活動を通じて達成した排出削減量を製品単位で測定し、これを「製品のGX価値」として評価するものです。現在、この考え方はまだ確立されておらず、算定手法や主張方法の整備が求められています。

具体的には、産業界での実証を通じて、削減実績量の定義や算定手順が明確化されることが期待されます。また、GHG排出算定ルールとの整合性を保ちつつ、標準化や国際的な基準との調整が重要となります。

出典:経済産業省「GX 市場創出に向けた官民における取組について (中間整理)」p5(2024/03/26)

(2)GX(グリーントランスフォーメーション)とは

GXとは、化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーやクリーン技術を活用することで、環境負荷を抑えながら経済社会の仕組みを変えていくことを目指します。

具体的には、地球温暖化の主な原因である化石燃料の使用を抑え、太陽光や水素などのクリーンなエネルギーを活用することで温室効果ガスの排出を削減し、その活動を経済成長に繋げながら社会全体の持続可能な発展を促進するものです。

出典:経済産業省「知っておきたい経済の基礎知識~GXって何?」(2023/01/17)

(3)GXと削減貢献量との関係性

GXは、低炭素社会の実現を目指し、再生可能エネルギーやクリーン技術を導入して温室効果ガスの排出削減を推進する活動です。この取り組みでは削減貢献量を活用することで、社会全体の排出削減効果を定量化し、脱炭素化に貢献する製品・サービスの開発や普及を加速します。これにより、供給者はサプライチェーン下流の排出削減にも貢献でき、経済全体で低炭素化が進むことが期待されます。

出典:経済産業省「GX 市場創出に向けた官民における取組について」P6 (2024/03)

(4)CFP・削減貢献量との関係性

削減実績量(REP)、CFP(カーボンフットプリント)、削減貢献量は、いずれも温室効果ガス削減に関する指標ですが、それぞれ異なる役割を持っています。削減実績量(REP)は、企業が実施した脱炭素施策により、製品単位で達成した排出削減量を示します。

一方、CFPは製品やサービス全体のライフサイクルにおける温室効果ガス排出量を測定した指標であり、削減貢献量は、他社や外部施策への貢献として計算される削減分です。

このように、削減実績量は企業内部の削減実績に特化しており、CFPや削減貢献量との違いを把握することで、より包括的な脱炭素効果を測ることが可能になります。

出典:経済産業省「GX 市場創出に向けた官民における取組について (中間整理)p5(2024/03/26)

2.削減実績量(REP)のメリット・デメリット

削減実績量(REP)は、温室効果ガス削減の成果を定量的に示す指標ですが、導入にはメリットとデメリットがあります。ここでは、REPを活用する際のメリット・デメリットを解説します。

(1)削減実績量(REP)のメリット

企業の脱炭素施策による排出削減の実績を定量的に示せる点が大きなメリットです。これにより、削減活動の進捗や成果を具体的に可視化でき、企業の取り組みがどれほど効果的であるかを明確に示すことができます。

さらに、その結果は外部へのアピール材料としても活用できるため、環境意識の高い消費者や取引先に対して企業の責任感や信頼性の証明に役立ちます。

出典:経済産業省「GX市場創出に向けた考え⽅ (案)」p12(2024/03)

(2)削減実績量(REP)のデメリット

排出削減の実績を定量的に示すとはいえ、その考え方や具体的な定義が確立されておらず、企業や業界ごとに算定方法や評価基準にばらつきが生じる可能性があります。定義が不明確な状況では、削減実績量(REP)を用いた比較や評価が難しく、信頼性に欠ける場合もあります。

さらに、算定には専門的な知識やデータが必要となるため、導入に手間やコストがかかることも課題です。

出典:経済産業省「GX市場創出に向けた考え⽅ (案)」p12(2024/03)

3.削減実績量(REP)の基本原則とポイント

削減実績量(REP)の基本原則とポイントについて解説します。具体的な考え方や定義は確立されていないものの、企業の脱炭素活動の成果を定量的に示す指標として重要です。そのため、経済産業省が発表している基本原則を参考にし、算定方法や評価基準を整えることが求められます。REPを正確に活用するためには、標準化された手法に従い、適切なデータの収集と透明性の確保に努める必要があります。

(1)削減実績量(REP)の基本原則

削減実績量(REP)は、企業が自社の排出量を削減するために実施した施策に基づく、製品単位での排出削減量を指します。この削減実績量は独立して価値が流通し、他者の排出量を追加的に削減する効果はありません。

そのため、算定結果を開示・主張する際は、気候変動以外の環境や水資源など社会への影響を検討し、悪影響が予測される場合は適切な対策を講じることが求められます。また、目的に応じて明瞭な開示を行うことが重要です。

出典:経済産業省「GX市場創出に向けた考え⽅ (案)」p13(2024/03)

(2)削減実績量(REP)のポイント

削減実績量(REP)は、削減量の正確な把握とその評価に基づくものです。LCA手法を用いて、インベントリの比較やマスバランス結果に基づいた発行が行われ、シナリオやベースラインに対する削減量の創出が評価されます。また、動的な排出量計測により、リアルタイムで精度の高い削減量を把握することが求められます。

出典:経済産業省「GX市場創出に向けた考え⽅ (案)」p13(2024/03)

4.まとめ:削減実績量(REP)は重視される指標!今から理解して持続可能な企業を目指そう

削減実績量(REP)は、企業の脱炭素活動を示す重要な指標であり、今後ますます重視されることが予想されます。削減実績量(REP)を活用することで、企業は環境への影響を明確に示し、持続可能な社会の実現に貢献できます。

まだ考え方や算定手法に未確定な部分は多いですが、今後の発展により明確化されることが期待されます。まずは、この指標を理解し、実行に移すことで、環境責任を果たすとともに信頼を築きましょう。企業として持続可能な成長を目指し、環境問題に取り組み続けることが未来の企業競争力に繋がります。

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