風力発電のアチハ株式会社ー地球の未来のために、風車を一本でも多くー

―― 100年企業が挑む、風力発電への大いなる挑戦

1923年、大阪で馬による木材や大型建設資材などの運搬を行う「馬力屋」として創業したアチハ。創業から100年の時を経て、現在は風力発電事業を軸に、再生可能エネルギーの普及に取り組んでいる。売上の90%を風力発電事業が占め、2027年以降の市場拡大期を見据えて着実に歩みを進める同社。その原動力となっているのは「損得ではなく、善悪で判断する」という経営哲学と、100年かけて培われた技術力だ。

今回は、汐留オフィスマネージャーの阿知波秀和常務取締役と人事総務担当の岩田みどり氏に、同社の歴史と未来像について話を伺った。

馬力屋から風力発電のリーディングカンパニーへ

―― まずは御社の歴史についてお聞かせください。

阿知波常務:我々は1923年に、大阪で木材や大型

建設資材などを運ぶ「馬力屋」として創業しました。当時は馬車で木材を大阪から和歌山まで運んでいたんです。その後、戦後になると木材が鉄に変わっていき、それに伴って馬車からトラクターへ、さらにトレーラーへと変化していきました。

バブル期には火力発電所のタービン、橋梁や大型産業機械など、インフラ関連の重量物輸送を手がけるようになりました。しかし、バブル崩壊後の平成後期に入ると、電力需要の低下とインフラ工事の減少により、新たな事業領域を模索することになったんです。

―― 風力発電事業に参入されたきっかけを教えていただけますでしょうか。

阿知波常務:2010年頃に風力発電分野への参入を決断したんですが、最初は本当に偶然の出会いでした。風車の部品を運ぶ、輸送の3次請けくらいの仕事からのスタートでした。

転機となったのは、ある工事での出来事です。元請け会社の手配ミスでプロジェクトが大幅に遅延し、多くの業者が手を引いてしまった。その時、我々は「お客様が困っているのだから、最後まで一緒にやり遂げよう」という思いで取り組みました。

この判断が功を奏し、その後、風力発電関連の仕事が徐々に広がっていきました。輸送だけでなく、据付、メンテナンス、解体工事、さらには事業開発まで。我々は「ゆりかごから墓場まで」と呼んでいますが、風車のライフサイクル全体をカバーする事業へと発展していったんです。