ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)で達成する持続可能性
- 2024年12月25日
- CO2削減
ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)とはどのようなものなのか、取得することで企業の持続可能性を本当に強化できるのか、と疑問をお持ちではありませんか。この記事では、ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)の基本から、その取得プロセス、そして企業にもたらす具体的なメリットまで、徹底解説します。
この記事を読むことで、あなたの企業が持続可能なビジネスモデルへ転換し、未来に向けた強固な基盤を築くための第一歩を踏み出すことができるでしょう。
目次
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ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)の基本と概要
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ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)の取得プロセスとメリット
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ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)が重要な理由
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まとめ:ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)を取り入れて持続可能なビジネスモデルへの転換へ取り組みましょう!
1. ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)の基本と概要
ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)は、すべての原料と市場を対象とし、持続可能な資源管理と温室効果ガス削減を推進するために設けられた国際的な持続可能性認証制度です。これにより、持続可能な材料を供給したい市場に応じて、持続可能な方法が実践されていることが確認されます。
ISCC PLUS/ISCC EU/ISCC CORSIA 認証とは
ISCCには3つの種類があり、それぞれ異なる分野での持続可能性を証明するためのものです。
(1)ISCC PLUS
再生可能エネルギー源を使用したプロセスから得られる食品、飼料、化学製品など幅広い産業に対応し、再生可能原料のバイオエコノミーと循環型経済に適用される自主的な制度です。EUの再生可能エネルギー指令(RED II)の枠組み外の循環型及びバイオベース製品、再生可能エネルギー、食品、飼料、バイオ燃料に適用されます。
(2)ISCC EU
RED II(Renewable Energy Directive II:2020年までにEU全体での最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギー比率を20%とする指令)に基づく規制をクリアする必要があり、2011年以来、欧州委員会によって完全に承認されている制度です。持続可能な燃料および バイオマスからの電力、暖房、冷房の生産に関する持続可能性と 温室効果ガス (GHG) 排出削減基準の法的要件への準拠を検証できます。
(3)ISCC CORSIA
国際航空のカーボン・オフセットおよび削減制度(CORSIA)に対応するもので、航空業界のCO2排出量増加に対処するために開発された制度です。約104カ国がCORSIAに参加し、多くの航空会社がその影響を受けています。農林業の原材料、 廃棄物、残渣、副産物など、幅広い範囲をカバーしています。
ICAO(国際民間航空機関:国際連合の専門機関の一つで、国際的な民間航空の安全性、効率性、持続可能性を促進することを目的する機関)が導入したCORSIAは、国際航空の温室効果ガス排出を削減するためのグローバル市場ベースの制度で、2020年以降のカーボンニュートラル成長や2050年までの排出量50%削減を目指しています。
これらの認証は、それぞれ異なる目的と基準を持ちながらも、持続可能な生産と資源のトレーサビリティを確保する共通の目標を持っています。
また、市場に応じて特定の認証システムを選択する必要がありますが、3つある認証システムはほぼ統一されていますので、1回監査を受けることですべての市場に供給するための 3つの証明書を発行できます。
出典元:ICAO「戦略目標」
SCC PLUS/ISCC EU/ISCC CORSIA 認証の違い
これらの認証の主な違いは、適用される地域や市場・材料の範囲です。以下の表で、その違いを比較します。
認証名 |
適用地域 |
適用範囲/市場 |
対象材料 |
ISCC PLUS |
世界中 |
REDII の枠組み外の循環型およびバイオベースの製品、再生可能エネルギー、食品、飼料、バイオ燃料 |
あらゆる種類の農林業原料、バイオ廃棄物・残渣、再生可能原料、化石原料 |
ISCC EU |
EU圏内 |
欧州連合における 輸送、電力、暖房、冷房、およびバイオマスからの電力、暖房、冷房の生産に使用される持続可能な燃料 |
あらゆる種類の農業バイオマス、森林バイオマス、生物由来の廃棄物や残渣、非生物由来の再生可能エネルギー、リサイクル炭素系材料。 |
ISCC CORSIA |
世界中(航空業界) |
ICAO CORSIA スキームの対象となる持続可能な航空燃料 (SAF) |
幅広い農林業原料、廃棄物、残渣、副産物。 |
このように、各認証は異なる産業や規制に対応しています。
ISCCの原則
ISCC原則は、バイオマスの農業生産が持続可能な方法で行われることを求めています。これは、環境への悪影響を減らし、資源の効率的な使用を促進し、気候変動への対応能力を向上させるためです。バイオマスは、環境、社会、経済のベストプラクティスに従って生産される必要があり、特に生物多様性が豊かな地域や絶滅危惧種の保護に重要な地域は、破壊や劣化から守るべきとされています。
ISCCの原則1は、欧州委員会の再生可能エネルギー指令(RED II)の法的持続可能性要件に基づいており、これに違反する農場は認証を取得できません。原則2〜6は、法律を超えた基準で、これに違反しても修正が可能な場合があります。ISCC認証は、この原則に基づき、農場や農園の環境、社会、経済のパフォーマンスを向上させる役割を果たします。
2. ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)の取得プロセスとメリット
ISCC認証を取得するプロセスは、持続可能な資源利用を保証するための厳格な手順が求められます。特に、ISCC PLUSの認証プロセスでは、企業が持続可能な生産方法を導入しているかを第三者機関が確認し、その結果に基づいて認証が発行されます。この認証は、持続可能性の証明だけでなく、国際的なビジネス競争力を高める大きなメリットがあります。
ISCC PLUSの登録および認証プロセス
ISCC PLUSの認証を取得するためには、いくつかの段階を経る必要があります。認証の選択:自らの市場でISCC認証がどのように機能するかを理解したうえで、必要な認証を選択します。認証機関の選択:必要な認証を行っている認証機関を協力認証機関から選択し、契約を締結します。
ISCCクライアントセクションとISCC HUBへの登録:
企業はISCC HUBで登録を行い、認証取得に向けた準備を開始します。この段階では、企業の活動内容や生産方法についての情報が求められます。
監査の実施:
認証機関が各認証に規定されている要件について監査を行います。必要に応じて是正措置を企業側が実行します。
認証の発行:
監査結果が問題なければ、ISCCから正式な認証が発行されます。認証を受けることで、ISCC認証を受けた持続可能な素材を購入および販売できるほか、ISCCのロゴを使用できるようになります。
出典元:ISCC System「ISCC 認定取得までの 6 つのステップ」
ISCC認証を取得するメリット
(1)信頼性の向上: ブランドオーナーがISCC認証を活用することで、持続可能な素材を調達していることを示し、最終消費者からの信頼を得やすくなります。
(2)透明性の向上: サプライチェーン全体での透明性を高め、企業活動の持続可能性に対する取り組みを明確に示すことができます。
(3)付加価値の創出: 持続可能性を重視する企業にとって、ISCC認証を活用することがブランドの価値を高め、競争力を強化します。
ISCC認証は、企業が持続可能な生産活動を行っていることを国際的に証明する重要な手段です。認証を取得するプロセスは複数の段階を経ますが、その結果として企業は持続可能性の証明と共に、温室効果ガス削減や国際市場へのアクセス向上など、多くのメリットを享受することができます。
3. ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)が企業にとって重要な理由
ISCC認証は、企業が持続可能な経営を行い、環境への配慮を徹底していることを証明するための重要な手段です。これにより、企業は社会的責任を果たしながら、持続可能なビジネスモデルへの移行を推進することができます。ISCC認証が重要視される理由は、主に持続可能性の確保、温室効果ガスの削減、国際市場での競争力向上、そしてブランド価値の強化にあります。
持続可能性の確保
ISCC認証は、森林破壊の防止や循環型経済の促進を目指し、生物多様性や炭素排出量の多い土地の保護、持続可能な農業の推進に貢献します。国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも対応しており、社会的な信頼を得るための有効な手段となっています。
温室効果ガスの削減
温室効果ガスの削減は、気候変動対策の中で最も重要な要素の一つです。徹底した監査や温室効果ガス(GHG)計算を通じ、排出量削減に向けた取り組みを支援し、カーボンニュートラルな世界への移行を加速します。
出典元:ISCC System「概要・持続可能性・温室効果ガス排出量の計算」
市場アクセスの拡大
ISCC認証は国際的に認知されているため、持続可能な製品を求める市場や規制が厳しい地域への参入が容易になります。特に、環境や労働基準に厳しい欧米市場での競争力が高まります。ISCC EU認証は、EU市場でのバイオ燃料の販売に必須であり、またISCC CORSIAは航空業界での持続可能な燃料の供給を可能にします。これにより、持続可能な製品を重視する企業のサプライチェーンに組み込まれやすくなり、新たなビジネス機会が広がります。
出典元:ISCC System「概要・持続可能性・認証が重要な理由」
ブランド価値の向上
ISCC認証を取得することで、企業のブランド価値が大きく向上します。環境問題に対する消費者の意識が高まる中、持続可能な取り組みを実施している企業は、消費者から高い評価を受けやすくなっています。特に環境意識が高い欧米の市場では、持続可能性に取り組む企業の製品やサービスが選ばれる傾向があります。ISCC認証は、そうした消費者ニーズに応えるだけでなく、企業の社会的責任を示す強力なツールとして機能します。
出典元:ISCC System「概要・持続可能性・認証が重要な理由」
出典元:ISCC System「ISCC インパクトレポート 2022」(2022/6/29)(p.32)
ISCC 審査員による ISCC 認証による経済的便益の評価 トレーサビリティと Chain of Custody の完全性と品質 2021 年の ISCC 認証の経済的影響(審査員による) 審査員の調査に対する回答(上図を参照)は、認証事業体にとって ISCC 認証に起因する様々な分野でのプラスの影響が明らかであることを示しています。
回答結果によると、審査員全体の85%が、ISCC認証を受けた事業体は、例えばEUの規制バイオ燃料市場のように公認認証制度が必要とされる市場で、より良い市場アクセスを得るとしています。また、約60%の監査員が、ISCC認証事業体は持続可能な認証を受けた製品に対して価格的なメリットを享受していると回答しています。さらに、気候変動対策を優先し、2050年までに正味排出量ゼロを目指す企業が増加する中、持続可能な製品の需要はブランドオーナーや消費者からの圧力により急激に伸びています。全審査員の40%は、ISCC認証が新しい持続可能な技術や革新的な慣行を促進し、それが市場アクセスの改善や価格プレミアムにつながると確信しています。
ISCC認証は、企業が持続可能な生産方法を採用し、環境に優しい経営を行っていることを証明する重要な認証です。持続可能性の確保や温室効果ガスの削減だけでなく、国際市場での競争力の向上やブランド価値の強化といった多くのメリットがあります。ISCC認証を取得することで、企業はより持続可能で競争力のあるビジネスモデルを築くことができるのです。
4. まとめ:ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証)を取り入れて持続可能なビジネスモデルへの転換へ取り組みましょう!
ISCC認証は、企業が持続可能な資源の利用や環境保護に取り組む姿勢を示す、国際的に認められた認証です。この認証を取得することで、企業は社会的責任を果たしながら、持続可能なビジネスモデルを構築し、環境への負荷を減らすことができます。また、温室効果ガスの削減に貢献し、持続可能な資源管理を推進することが、長期的な企業成長の基盤を築くことにもつながります。