サステナブル企業紹介

三歩先の未来を見据えて「心豊かな社会」を創造する ~一般社団法人サステナブル経営推進機構が描く、バックキャスト思考による持続可能な経営支援~

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三歩先の未来を見据えて「心豊かな社会」を創造する ~一般社団法人サステナブル経営推進機構が描く、バックキャスト思考による持続可能な経営支援~

はじめに

2050年カーボンニュートラルの実現、サーキュラーエコノミーの推進、ネイチャーポジティブへの対応――。企業を取り巻く環境は急速に変化し、サステナビリティへの取り組みは経営の根幹に関わる重要な課題となっています。

そんな中、「三歩先」を見据えた独自のアプローチで、企業のサステナブル経営を支援する組織があります。一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO:さんぽ)です。今回は、同機構で本部長を務める鶴田氏に、組織の理念から具体的な事業内容、そして目指すべき未来像まで、詳しくお話を伺いました。

INDEX

企業紹介:「三歩先」を見据えた持続可能な社会づくり

――まず、SuMPOの概要について教えてください。

SuMPOは2019年6月に設立された一般社団法人で、正式名称は「サステナブル経営推進機構」といいます。英語名のSustainable Management Promotion Organizationの頭文字を取って「SuMPO(さんぽ)」と呼んでいます。

現在は本社(神田)と小川町オフィス、そして名古屋と岡山に地方拠点を構える四拠点体制で活動しており、関連会社を含めて約70名のグループ組織として運営しています。特に2024年4月からは、LCAに特化した「LCAエキスパートセンター」と、再生プラスチックに関わる「一般社団法人SusPla」という二つの関連会社をスピンオフし、より専門性を高めた事業展開を進めています。

私たちの基本理念は「心豊かな未来をSuMPOの技で創ります」です。持続可能性と競争力の研鑽を持って、中立・公正かつ公平な立場で社会の間をつなぎ、新たな価値創造を目指しています。

鶴田本部長の役割と背景

――鶴田さんの現在の役割について教えてください。

私は現在、本部長として四つの事業部(SD実装事業部、SX戦略事業部、EPD事業部、企画開発部)の統括を行っています。また、経営企画部も含めた全体の事業部運営を担当しています。

私の出身は秋田県横手市という雪深い地域です。実は、地球温暖化の影響を身近に感じられる環境で育ったことが、この分野への関心の原点になっています。日本海の海水温度上昇により、大雪が降る年と雪が全く降らない年が極端に分かれてきており、気候変動を実感する機会が多かったんです。興味深いことに、2020年に当時の菅首相(私の高校の大先輩でもあります)が所信表明でカーボンニュートラル宣言をされたタイミングで、この分野が一気に加速化しました。まさに「縁」を感じながら、この仕事に取り組んでいます。

コア技術「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の重要性

――SuMPOの中核となる技術について詳しく教えてください。

私たちのコア技術は「ライフサイクルアセスメント(LCA)」です。これは製品やサービスのライフサイクル全体を通して環境影響を定量的に評価する手法で、ISO14040・14044という国際規格に基づいています。

例えば電気自動車を評価する場合、走行時の電力消費だけでなく、車両製造に使われる部品の生産、その部品を構成する素材の採掘、さらには使用する電力の発電に係る時の燃料採掘まで、すべてのプロセスを考慮します。

このライフサイクル志向が重要なのは、どこかだけを良くして、別の場所にしわ寄せを移すことを防ぐためです。真の環境改善を実現するには、全体最適の視点が不可欠なんです。

LCAは地球温暖化だけでなく、酸性化、オゾン層破壊、資源消費など、あらゆる環境影響を定量化できる手法です。最近よく耳にするカーボンフットプリント(CFP)は、実はLCA結果の一部、つまり気候変動の部分だけを抜き出したものなんです。

バックキャスト思考:未来から逆算する戦略立案

――組織運営における「バックキャスト思考」について詳しく教えてください。

バックキャスト思考は、私たちの組織運営の根幹となる考え方です。理事長の石田秀樹(元INAXの取締役CTO、現在は地球村研究室代表、東北大学名誉教授、エコシステム社会機構 OPaRL研究代表、酔庵塾塾長 等)の思想が強く影響しています。

従来のフォアキャスト的な考え方では、現在の制約に縛られた延長線上の未来しか描けません。しかし、カーボンニュートラルのような抜本的な変革を実現するには、まず理想的な未来像を設定し、そこから逆算してアクションプランを立てる必要があります。

私たちは「心豊かな未来」という理想を設定しています。ここで重要なのは「地球は一個しかない」という制約です。無限にモノがある世界ではなく、限られた資源の中で本当の幸せとは何かを問い直す。物質的豊かさだけでない、心の豊かさを実感できる社会を目指しています。

この思考法により、私たちは社員全員でグループディスカッションを行い、未来の課題を抽出し、それに対する解決策を戦略として構築しています。

SX戦略:サステナビリティ・トランスフォーメーション

――2024年12月に策定されたSX戦略について教えてください。

SX戦略は、前身の「カーボンニュートラル・イニシアティブ」を発展させた新しい戦略です。2030年の社会は現在の延長線上では考えられない未踏の領域になると予想される中で、全社員で議論を重ねて策定しました。

地球環境問題、特に気候変動は予想以上に深刻化しており、地政学リスク、少子高齢化、大企業と中小企業の格差拡大など、様々な課題が複合的に存在しています。こうした状況では抜本的な社会の再設計が必要です。

SX戦略では、8つの視点から課題を分析し、SuMPO自らの取り組みを含めた7つの重点アクションテーマを設定しました:

  1. サステナブル経営支援サービス本格展開
  2. サステナブルデザイン手法の開発
  3. EPDプログラムのグローバル戦略
  4. サーキュラーエコノミー型エコシステムの実現
  5. サステナビリティ人材の育成
  6. 自律型地域経済・持続可能な暮らしの実現
  7. SuMPO自らの取り組み

これらを17の具体的なアクションプランに落とし込み、現在推進中です。おそらく、これらのアクションが私たちの未来の新しい事業になっていくでしょう。

組織体制:機動性を重視した事業部制

――現在の組織体制について教えてください。

2025年度は5事業部体制で運営しています。経営企画部、企画開発部、SX戦略事業部、SD実装事業部、EPD事業部です。

特徴的なのは、固定的な組織にこだわらず、毎年事業部構成を見直していることです。経営者の強い思いもありますが、時代に合わせて新しい事業部も含めてをどんどん構成を変えていくという考え方で、組織が変化し続けています。

特に2025年度は各事業部には統括室を設置し、マネジメント機能を強化しています。また、地域オフィス(名古屋・岡山)では、地域の特性に応じたサステナブル経営推進の最前線として機能しています。

私が統括する本部長制により、事業部間の連携を図りながら、全体最適を追求しています。

各事業部の具体的な事業内容

経営企画部

経営企画部は、組織運営の基盤となる機能を担っています。会務運営(総会・理事会)、規程類の整備、人事・労務管理、福利厚生・安全衛生業務などを所管しています。特に2025年度は正規・契約合わせて10名の増員を予定しており、組織拡大に対応した体制強化を図っています。

また、地域オフィス整備も重要な業務の一つです。現在の名古屋・岡山オフィスに加え、関西(大阪・京都)での拠点設立も検討中です。DX室では新基幹システムの構築とAIサービスの導入により、業務効率化とイノベーション促進を推進しています。

企画開発部

2025年度に新設された企画開発部は、将来の事業開発を担う戦略的部門です。これからの主力事業として「サステナブルデザイン経営支援コンサルティング」の開発と事業化を進めています。脱炭素・資源循環・自然再興の統合的対応など、拡大する顧客ニーズの「三歩先」を見据えたグループ横断的な新規事業企画を展開しています。

統括室ではCRM(Customer Relationship Management)の観点から効果的なアプローチを実行し、企画開発室では新規コンサルティング領域での事業企画と実装、統合型マーケティングアプローチを推進しています。

SX戦略事業部

SX戦略事業部は、資源循環・サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルを軸とした持続型の地域経済社会づくりを担当しています。3室体制(統括室、事業開発室、パブリックセクター事業室)で運営されています。

事業開発室では、SPC認証プログラム(2025年5月本格運用開始)の運営・普及展開を主要業務として、サーキュラーエコノミーや地域再生に関する新規事業開発・事業化を行っています。

パブリックセクター事業室では、脱炭素やサーキュラーエコノミーに係る各種調査事業、制度構築事業、社会実装事業等を中心として、経済産業省、環境省、国土交通省、農林水産省などの、幅広い国家プロジェクトや、栃木県、埼玉県、川崎市などの自治体のプロジェクトを担当しています。

SD実装事業部

SD実装事業部は、LCAコンサルティングを中心とした事業を展開しています。LCA事業室では、各種LCAコンサルティングサービスとソフトウェア(MiLCA)のプロモート、CFP包括算定システム認証&I-PCR承認制度の運用、LCA・CFP算定用データベース:CORDの開発・販売を行っています。

事業開発室では、サステナブルデザインの社会実装に向けた市場調査・分析、新企業共創事業の開発・事業化を推進しています。また、LCA人材育成のために「LCAエキスパート養成塾」(年3期開催)、オンラインLCA講座、企業向けLCA研修を実施しています。

EPD事業部

EPD事業部は、20年以上にわたるISOに基づいたEPD(環境製品宣言)プログラムの運営実績を基盤として事業を展開しています。統括室では、EPD登録件数拡大やデータ流通を視野に入れた体制管理・システム開発、各種委員会運営、普及セミナー・SNS等による広報活動を行っています。

基準開発事業室では、グローバル活用に対応したGPI(プログラム規程)及びCore-PCRの策定・改訂、新製品分野でのPCR開発を担当しています。プロジェクト推進室では、海外環境規制への対応支援、欧米現地の関連事業者・公的機関等との業務連携を通じたグローバルハーモナイゼーション推進を行っています。

代表的な働き方とアプローチ

――具体的にはどのような働き方をされているのですか。

私たちの働き方の特徴は、決まったプログラムを提供するのではなく、クライアントの課題に合わせて新しいソリューションを構築することです。

企業や行政が抱えるサステナブル経営に関する長期的な課題をヒアリングし、未来のあるべき姿を念頭にカーボンニュートラルやネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーなどの観点から解決策を検討します。その課題に応じて、新しい事業として構築し、将来的には大きな事業に発展させることを目指しています。

国等に対しても、こうした課題解決のため、私たちから政策提案を積極的に行っています。継続的な提案活動により、新たな事業機会につながるよう努力しています。重要なのは、様々なステークホルダーの「間」に入って、同様の課題を持つ他の組織にも展開できる仕組み化を共感・共創のもと行うことです。これにより、社会全体への波及効果を狙っています。

求める人材:多様なバックグラウンドと志

――どのような人材を求められていますか。

実は、LCAの専門知識を持った人材ばかりを採用しているわけではありません。理系・文系を問わず、様々なバックグラウンドを持つ人材を採用しています。

LCAのスキルは社内教育で身につけることができます。それよりも重要なのは「ライフサイクルシンキング」の素養です。全員にこの考え方を持ってもらうため、継続的な社員教育を実施しています。

最も重視するのは「こういう社会になったら面白いよね」という議論ができる方です。新しい未来を楽しみながら考え、それを仕事にしていくという思いが不可欠です。課題解決には情熱が必要ですから、そうした志を持つ方を求めています。

働く魅力:業界を超えた価値創造

――SuMPOで働く魅力は何でしょうか。

最大の魅力は、LCAという技術の適用もそうですが、幅広い業界とのお付き合いかと思います。特定の業界に縛られず、様々な企業や組織と中立・公正な立場で協働できます。

新しい課題解決に向けて、業種・業界を問わずアプローチできる環境は刺激的です。また、本当に必要だと思うことを仕事にできる点も大きな魅力です。

心の赴くままに、正直に仕事ができる環境だと思います。

未来ビジョン:リジェネラティブエコノミーの実現

――将来的にはどのような社会を目指されていますか。

私どもの経営者が強く発信していることでもありますが、一つの地球で心豊かに暮らすこと、すなわちサステナビリティ社会はもとより、私たちが目指すのは「リジェネラティブエコノミー(再生型経済)」の実現です。従来の環境負荷最小化から一歩進んで、環境再生と人間社会の共創まで考えています。

2030年の社会は、もはや現在の延長線上では考えられません。地球環境問題は予想以上に深刻化し、社会構造の抜本的再設計が必要な時代が来ています。

効率性追求から持続可能性への転換、企業と生活者双方の視点での課題解決が求められます。対策や抑制ではなく、新しく生み出し、再生していく社会の実現が重要です。

私たちは社会と経済の変革を外から支援するのではなく、変革を本当に動かしていく当事者になりたい。国内外の企業の伴走支援者であり、再生型経済の設計者として、また政府機関や政策制度の翻訳者として、次世代に価値をつないでいく役割を担っていきます。

読者へのメッセージ:志を同じくする仲間を求めて

――最後に、この記事を読まれている方々へメッセージをお願いします。

私たちが描く「心豊かな未来」の実現に向けて、サステナビリティという分野で、思っていることを仕事にすることができる環境があります。

重要なのは「志」です。こうした社会を作るために何ができるかを、一緒に考え、実行していただける方を探しています。

個人の方だけでなく、企業の方々とも、様々な対話を重ねながら、実際にアクションで示して進めていければと切に願っています。

私たちと志を同じくしていただける方は、ぜひ一度お声がけください。一緒に心豊かな未来を創造していきましょう。


一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)は、ライフサイクルアセスメント技術を核として、企業や自治体のサステナブル経営を支援している。バックキャスト思考による戦略立案、中立・公正な立場での価値創造、そして「三歩先」を見据えた革新的なアプローチで、持続可能な社会の実現に向けて歩み続けている。

企業情報

企業名: 一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)
設立: 2019年6月
所在地: 東京都千代田区内神田1-14-8 KANDA SQUARE GATE 4階
事業内容: サステナブル経営支援、LCAコンサルティング、EPDプログラム運営、政策支援等
従業員数: 約70名(グループ全体)
Webサイト: https://sumpo.or.jp/

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