CO2算定

Scope3 カテゴリ3はどう算定する?算定方法や企業事例

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Scope3 カテゴリ3はどう算定する?算定方法や企業事例

SBT認定を取得するための要件であることから、Scope3を算定する企業が増加しています。この記事ではScope3 カテゴリ3に注目し、算定方法や企業事例などについて法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介します。

Scope3全体の算定における環境省発行の最新情報はこちらから👈(2025年4月更新)

Scope3 カテゴリ3の算定方法を理解し、Scope1と2以外から排出されるエネルギー関連活動のCO2排出量を把握し、削減に努めましょう。

INDEX

Scope3とは

Scopeは1〜3がありますが、それぞれどのように定義されているのでしょうか。ここでは、Scopeの定義とScope3の算定が求められる理由を整理しましょう。

そもそもScopeとは?

Scopeとは、GHGプロトコルで定められているCO2排出量の区分のことです。1〜3まであり、全てを合計することでサプライチェーン排出量を算定することができます。各Scopeは以下のように定義されています。

  • Scope1:燃料の燃焼や工業プロセスなど事業者自らによるCO2の直接排出
  • Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴うCO2の間接排出
  • Scope3:Scope1と2以外の他社からの間接排出

出典:環境省『Scope3 〜算定編〜』(p. 3)

今、Scope3の算定が求められる理由

Scope3の算定が企業に求められる理由として、サプライチェーン排出量の見える化の動きが活発化していることや、SBT認定を取得するための要件になっていることがあげられます。

SBTとは、パリ協定が定める水準に整合するよう企業が中長期的に設定するCO2削減目標のことで、認定を取得する企業が世界で増加しています。2022年3月17日時点の世界におけるSBT認定取得企業数は2,671社で、日本はアメリカ、イギリスに次ぐ世界3位です。

出典:環境省『SBTに参加している国別企業数』(2022/3/17)(p. 41)

Scope3「カテゴリ3」とは?

ここでは、Scope3の15あるカテゴリのうちカテゴリ3に注目します。Scope3 カテゴリ3の定義やScope1と2との違いについてご紹介します。

Scope3 カテゴリ3とは?

Scope3は、企業の活動により15のカテゴリに分類されています。Scope3 カテゴリ3は、Scope1と2に含まれない燃料及びエネルギー活動により排出されるCO2排出量です。具体的な活動例には、調達している燃料の上流工程(採掘・精製)や調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘・精製)があります。

出典:環境省『サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ』

Scope1と2における燃料及びエネルギー活動との違い

Scope1と2における燃料及びエネルギー活動では、化石燃料の燃焼時や使用時に排出されるCO2排出量を算定します。一方、Scope3は化石燃料を採掘し輸送までに排出されるCO2排出量を算定します。

出典:環境省『サプライチェーン 排出量算定の考え方』(p. 16)

Scope3「カテゴリ3」の算定方法

ここでは、Scope3のカテゴリごとの基本的な計算式とカテゴリ3の簡易な計算式についてご紹介します。

Scope3のカテゴリごとの計算式

Scope3は15のカテゴリから成り、カテゴリごとに算定し、合算することでScope3を算定することができます。カテゴリごとの基本的な計算式は、活動量×排出原単位です。活動量とは事業者の活動の規模に関する量のことで、電気の使用量や貨物の輸送量、廃棄物の処理量などが該当します。排出原単位とは活動量あたりのCO2排出量のことです。たとえば電気の使用量の場合は、1kWh使用あたりのCO2排出量が該当します。

出典:環境省『Scope3 〜算定編〜』(p. 4)

Scope3 カテゴリ3の簡易な計算式

Scope3 カテゴリ3は、調達量をもとに算定することができ、簡易な計算式は、燃料及びエネルギー種別の調達量×燃料及びエネルギー種別ごとの調達量あたりの排出原単位です。Scope1・2算定用データからデータを収集することができます。

出典:環境省『サプライチェーン 排出量算定の考え方』(p. 11. 13)

Scope3「カテゴリ3」の企業事例

Scope3 カテゴリ3を算定している企業事例を見ていきましょう。

株式会社大林組・建設業

株式会社大林組は、Scope3をカテゴリごとに算定し、CO2削減に取り組む優先項目を決めるための判断材料などに活用しています。購入した燃料、電力、熱の消費量に電気、蒸気使用量あたりの排出原単位を乗じてScope3 カテゴリ3が全体に占める割合は0.62%であると算定しています。

出典:環境省『大林組』(2020年度)(p. 5)

株式会社タムロン・製造業(精密機器)

株式会社タムロンは2019年1月〜2019年12月までを算定対象期間とし、Scope3をカテゴリごとに算定しデータを公表しています。算定対象期間におけるカテゴリ3が全体に占める割合は1.0%です。カテゴリ3を算定するにあたってエネルギー種類別購入量を活動量とし、カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム基本データベースVer.1.01を排出原単位として計算しています。

出典:環境省『株式会社タムロン』

北越コーポレーション株式会社・製造業(パルプ・紙)

北越コーポレーション株式会社は、Scope3をカテゴリごとに算定し、企業報告書やホームページ上での公開、情報開示の要望への回答などに活用しています。電気と蒸気のエネルギー使用量を活動量とし、カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム基本データベースVer.1.01を乗じることで、Scope3 カテゴリ3は2.3%であると算定しています。

出典:環境省『北越コーポレーション株式会社』(2020年度)(p. 2)

まとめ:エネルギー関連活動のCO2排出量を算定しよう!

この記事ではScope3 カテゴリ3の算定方法や企業事例などについてご紹介しました。カテゴリごとに算定することでCO2排出量の出処が明らかになり、削減に取り組む優先項目を客観的に判断できるようになります。

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