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企業がCO2排出削減へ取り組むメリットと国の補助金制度について

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企業がCO2排出削減へ取り組むメリットと国の補助金制度について

現在、全世界でSDGsへの取り組みが叫ばれています。特に注目されているのは「目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「目標13:気象変動に具体的な対策を」という環境問題についての項目です。そして企業の環境問題として1番にあげられるのは「CO2排出の削減」でしょう。

このCO2 の削減は企業にとって負担と思われるかもしれませんが、CO2排出削減にはメリットもあり、さらに国からの補助金の制度も存在しています。ここでは、企業がCO2排出削減へ取り組むべきメリットと国からの補助金制度について解説します。SDGsの取り組むべき内容が理解できると思います。

INDEX

企業がCO2排出削減に取り組むべき必要性

そもそもSDGsとは、今後考えられる世界の様々な問題に対して、全世界のすべての国々が取り組むべき項目を、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」として2030年までに達成しようという目標です。これは2015年の国連サミットで採択され、各国での取り組みが加速しています。

企業としても、より良い社会を目指す上での経営指針となる内容となっており、今後すべての企業が参加することになるでしょう。毎年、世界経済フォーラムが発表している「グローバルリスク」というものがあります。これは世界のグローバルリーダーを対象に行われるアンケートで、「今後10年以内に発生の可能性の高いリスク」を集計しているのですが、2021年度版の結果は、

  • 異常気象
  • 気象変動対策の失敗
  • 感染症
  • 生物多様性の喪失
  • 人為的な環境災害

と、トップ5すべてが環境問題についての内容となりました。消費者が企業を判断するうえでこの環境問題への取り組みが基準のひとつとなることは間違いありません。

特に企業の環境問題として、「エネルギー問題」があげられます。企業が運営を続けていくためにエネルギーの消費は避けられません。先ず「CO2の排出削減」に向けた対策が必要となるでしょう。

企業による CO2の排出削減のメリット

現状の経営から、「CO2 排出削減」と考えると、負担的要素というイメージが生まれますが、取り組むべきメリットも存在します。それは、大きく分けて

  • 企業イメージのアップ
  • 投資家評価の向上
  • 化石燃料の高騰への対処
  • Jクレジットによる収益化

の4点があげられます。ひとつずつ解説していきます。

企業のイメージアップ

一般消費者に近い企業ほどCO2排出削減への取り組みによる企業のイメージアップにつながるでしょう。現在では、「RE100(Renewable Energy 100%再生可能エネルギー100%)」という、事業運営で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達する取り組みに参加している企業が、日本でも約40社存在しています。今後この動きは拡がっていくと思われ、同業間での差別化のひとつの基準となると考えられます。

投資家評価の向上

投資家が企業を選ぶ上での判断材料となります。現在は「ESG投資」が活発となっています。これは、環境問題の積極的に取り組んでいる企業の価値を重要視して行う投資のことです。これからの投資家は目先の成長ではなく、長期的な視点で企業を選んでいくということです。投資家からの評価の向上は、企業の成長に欠かせない資本力の強化にとって重要な要素となります。

化石燃料の高騰への対処

現在でも燃料費の高騰が問題となっていますが、資源の枯渇により今後の化石燃料の原価高騰が危惧されています。再生エネルギーへの取り組みは、遅かれ早かれ必ず必要になるはずです。

出典:経済産業省『長期エネルギー需給見通し』

Jクレジットによる収益化

「Jクレジット」とは、再生エネルギーの活用などにより、削減したCO2排出削減量をクレジット化し、他の削減目標を掲げている企業に販売できる国がおこなっている制度です。この制度は2015年以降、償却量は増え続けており、企業の収益のひとつとして認識されていくことが予想されます。

出典:J-クレジット『制度事務局データ集』

以上のようにCO2の削減に取り組むことは、企業のメリットとなり、逆にCO2削減に取り組まない企業は、消費者や投資家離れが進む恐れがあるということです。

では、国としては企業のCO2排出削減に対して、どのような対応をおこなっているのでしょうか。

国のCO2排出削減への取り組み

経済産業省令和2年第三次補正予算の概要から

経済産業省による、令和2年度の第三次補正予算の概要を見ていくと、

「新たな日常の先取りによる成長戦略」

として、4.7兆円の補正予算が組まれています。この内容は、

  • デジタル革命
  • グリーン社会の実現
  • 中小企業・地域
  • レジリエンス

の4点があげられています。

国としてもCO2排出削減を含めたグリーン社会への取り組みとして、補正予算内最大の2兆円規模の予算をくみ、対応しているのです。

個人向けの対策としても行われている

「クリーンエネルギー⾃動⾞導⼊事業費補助⾦(サポカー補助金)」

については、現状40万円を最大80万円まで引き上げとなっています。

そして、企業の脱炭素に向けた社会事業への施策としては

「グリーンイノベーション基⾦事業」

という内容により、企業への補助金のサポートがおこなわれています。

ではこの内容について解説していきます。

CO2排出削減に伴う補助金制度について

グリーンイノベーション基⾦事業

この基金事業としてあげられているのは「カーボンニュートラル社会の促進」が目標として掲げられています。カーボンニュートラルとは、環境化学用語のひとつで、企業が生産や活動した際に排出されるCO2と、吸収されるCO2の量を同じにするという概念になります。実現のためにはCO2排出量の削減が必須となり、ここでのポイントを政府は3項目を提示しています。

電化と電力のグリーン化

グリーンな電力とは、太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱など、自然を利用した「再生可能エネルギー」となります。また、次世代蓄電池などの開発に向けた支援なども行われています。

水素社会の実現

水素(H2 )は、水(H2O)に電圧をかけて発生するCO2を生まないエネルギーです。酸素と組み合わせ、燃焼させることにより、2次エネルギーとして熱や電気として利用が可能となります。

CO2固定・再利用

発生してしまったCO2を素材の原料や燃料として再利用する技術も研究されています。

以上の3点において政府はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に基金をおいて、今後10年間の継続支援を行うとしています。

先端低炭素設備導⼊促進補償制度推進事業

政府は、2050年までのカーボンニュートラル社会の実現を目指し、設備投資誘発効果が⼤きいオペレーティングリースによる先端低炭素設備への投資を⽀援するとしています。「オペレーティング リース」とは企業が設備、装置、自動車などにおいて長期的にリースを行う仕組みのことで、CO2排出削減のための設備についてのリース事業を促進させ、企業への補助金で支援するという内容です。企業にとっては初期投資も抑えられ、補助金支援もありますので非常にメリットがあると思います。

まとめ

  • SDGsにより、企業の環境問題への取り組みが注目されている。
  • 2020年版「グローバルリスク」の上位5位すべてが環境問題となった。
  • CO2排出削減によるメリットとして、「企業のイメージアップ」・「投資家評価の向上」・「化石燃料高騰への対処」・「Jクレジットによる収益化」があげられる。
  • 経済産業省の第三次補正予算で、「グリーン社会の実現」へむけて2兆円の予算があげられており、企業に対する支援もおこなわれる。
  • カーボンニュートラル実現に向けて、「電力と電化のグリーン化」・「水素社会の実現」・「CO2固定・再利用」のCO2排出削減が必要となる。

以上が経済産業省の令和2年第三次補正予算での補助金についての内容をもとにした解説となっていますが、CO2排出削減については他にも多くの補助金制度があります。

これからの企業経営は環境問題への対応は避けては通れないでしょう。

今後の企業の成長・発展に大きく関わってくる問題ですので、しっかり内容を理解しておくことが重要となるでしょう。

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