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【初期投資ゼロ!?】オンサイトPPAモデルを基礎から徹底解説

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【初期投資ゼロ!?】オンサイトPPAモデルを基礎から徹底解説

オンサイトPPAはコーポレートPPAの契約形態の一つですが、企業にとって負担が他のコーポレートPPAよりもはるかに少ないため、経済的にあまり余裕のない企業やリスクを最小限にしたい企業にはとても利用しやすいPPAの形態です。

日本ではイオン株式会社がオンサイトPPAを活用している他、企業だけではなく、小中学校がオンサイトPPAを利用して電力を購入しているケースもあります。

ではなぜオンサイトPPAは企業にとって負担が少ないのか、またオンサイトPPAには他のPPAと比べてどういった利点があるのかについて詳しく紹介していきます。

INDEX

オンサイトPPAとは?

企業や自治体などの法人が発電事業者から自然エネルギーの電力を長期的に購入する契約のことを、コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement)と言います。

オンサイトPPAはコーポレートPPAの契約形態の一つで、発電事業者が需要家(企業)の敷地内に太陽光発電設備を設置し、その設置費用や所有、管理を発電事業者が担当し、発電された電力を需要家が受け取るという仕組みのことを言い、「第三者所有モデル」とも呼ばれています。

なぜPPAを利用するべきなのか

企業がPPAを利用するべき理由は再エネ活用による脱炭素活動にあります。2019年6月に国連に提出された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」は脱炭素社会の実現を最終到達点として設定し、日本でも2050年までの脱炭素社会の実現を目標とした所信表明がなされました。脱炭素社会に向けた活動に対して社会的信頼が得られるため、PPAは利用するべきだと言えます。

それだけではなく託送料金削減、発電設備費や維持費の抑制も理由としてあげられます。通常、電力の購入の際に企業は発電事業者と契約した固定価格に加え、送配電ネットワークを運営している事業者に対しネットワークの託送料金を支払う必要があります。PPA(オンサイト)の利用によってこれらのコストを大幅に抑える事ができます。

出典:外務省『気候変動』(2020年4月2日更新)

オンサイトPPAと他のPPAの違い

オンサイトPPAはコーポレートPPAの契約形態の一つだと述べましたが、コーポレートPPAの契約形態には大きく分けて二つの形態があります。それがフィジカルPPAとバーチャルPPAです。

フィジカルPPAとバーチャルPPA

フィジカルPPAは発電事業者が企業に対して自然エネルギーの電力と環境価値CO2を排出しないなどの環境的効果を記した証書をセットで供給する仕組みです。

バーチャルPPAは発電事業者が卸電力市場に電力を売却して、環境価値(証書)だけを企業に提供します。電力に関しては仮想の取引になり、企業は通常の電力契約を地域の小売電気事業者と結ぶことになります。

国土の広いアメリカでは電力の小売りができない遠隔地にバーチャルPPAを通じて電力を供給する方法がありますが、日本でよくみられるのはフィジカルPPAです。このフィジカルPPAにはオンサイトPPAとオフサイトPPAの2種類に分類する事ができます。

出典:自然エネルギー財団「企業が結ぶ自然エネルギーの電力購入契約 コーポレートPPA 実践ガイドブック」2020年9月p.12

オンサイトPPAとオフサイトPPA

オンサイトPPAとは発電事業者が需要家(企業)の敷地内に太陽光発電設備を設置し、発電された電力を需要家が受け取るという仕組みのことでしたが、一方オフサイトPPAは、​​事業拠点から離れた場所にある発電設備から送配電ネットワークを経由して電力の供給を受けます。オンサイトPPAとは違って送配電ネットワーク料金を支払わなければなりません。

出典:資源エネルギー庁「再エネ導入拡大に向けた事業環境整備について」2021年3月p.4

オンサイトPPAのメリット

導入コストの安さ

オンサイトPPAは発電事業者が発電所の設置費用を負担します。太陽光発電設備を敷地に設置するのにかかる初期費用が一切かかりません。また発電設備を企業の敷地内などに設置する事ができるため、PPAを利用するときにかかる送配電の料金がかからないこともコストの抑制に繋がるため、全体的に投資が抑えられます。

維持管理のしやすさ

オンサイトPPAは発電事業者が建設、運転、保守に責任を持ちます。太陽光発電は運転のメンテナンスが慎重に行われなければならず、万が一不具合が発生すれば復旧に時間がかかります。発電事業者にこれらを委託することで企業側のリスクを抑える事ができます。

契約期間終了後の作業がスムーズ

オンサイト PPA の契約期間後、初期投資の回収が済んでいる発電事業者は企業に無償で設備を譲渡する場合が多いです。企業は自社で運転と保守を行うことや、同じ発電事業者と運転と保守の契約を継続することもできます。そのほかには他の事業者に委託する手段もあり、自由度が高いのも特徴です。

オンサイトPPAのデメリット

自由に交換・処分ができない

オンサイトPPAは発電事業者に運転、保守の責任があります。契約期間中に太陽光発電設備の設置場所の変更やパネル交換などが企業の意思で行えないというデメリットがあります。

長期契約でなければならない

通常PPAの契約期間は10年から25年間です。その間は契約期間を通じて一定の価格で電力を購入する義務が発生するため、価格、費用を見直したいと思っても途中で契約スキームを変更する事ができません。

オンサイトPPAを利用している日本企業

イオン株式会社

例としては、中部電力・Looopとイオンモール津南でオンサイトPPAが結ばれており、イオン株式会社では将来的に、全国各地の200店舗でオンサイト PPAモデルによる太陽光発電設備の導入を検討しています。

出典:環境省「初期費用0での自家消費型太陽光発電設備の導入について」

THKリズム株式会社

THKリズム株式会社は自動車の部品の開発、販売、製造を行う会社です。2021年6月、テス・エンジニアリング株式会社からの太陽光発電の電力供給についてオンサイトPPAを締結したことを発表しました。

出典:​​​​テス・エンジニアリング「オンサイトPPAモデルを活用した自家消費型太陽光発電システムによる再生可能エネルギー電気の供給開始についてのお知らせ」2021年6月更新

PPAが企業に与える影響

気候変動や自然災害に対策した事業を行う企業は社会的に高い評価を受けやすく、PPAは企業イメージを作るきっかけになります。国際イニシアティブ「RE100」へ活用できる他、ESG投資(環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資)を呼び込む効果もあります。

出典:環境省「初期費用0での自家消費型太陽光発電設備の導入について」

まとめ:投資を抑えたい企業はオンサイト PPAを活用しよう!

オンサイトPPAの特徴、そしてそのメリットやデメリットについて徹底解説していきました。やはりオンサイトPPAの最大の利点は費用対効果です。リスクと初期投資を同時に抑える事ができるので、電力購入にかかるコストを抑えたい企業はぜひ利用するべきです。

またPPAは長期契約でもあり、発電事業者とは長い付き合いになります。そのため、契約段階からスキームの確認を徹底して行うことが大事になってきます。

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