堺アルミ株式会社
製造業・メーカー
営業部 板製品グループ リーダー田中さま、生産技術部 生産技術グループ リーダー藤木さま
公開日: 2025年10月27日
・環境負荷低減への貢献度を定量化してPRし、拡販を強化したい
・新製品のCFPを算定したいがノウハウがない
・CFP算定の初期段階として、信頼性のあるパートナーを探していた
・CFP算定支援コンサルティング
・従来の製法と比較して、新製品のCO2排出量は約6割減となることがわかった

堺アルミ株式会社は、1933年に株式会社高田アルミニューム器具製作所の堺工場として事業を開始して以来、90年以上にわたり、アルミニウムを用いた圧延品の一貫生産を軸に成長を続けてきました。現在は、飲料向けアルミ缶事業とアルミ圧延、箔、押出事業を統合した総合アルミニウムグループであるアルテミラグループの一員として、高純度アルミニウム箔やアルミニウム板製品の開発・設計・製造・販売を手がけ、アルミニウムの可能性を追求し続けています。 当社のメイン事業は、アルミニウム電解コンデンサに使用される高純度アルミニウム箔の製造と販売です。電解コンデンサとは、パソコンやエアコン、自動車などの身近なものから、太陽光発電機器まで、ほぼ全ての電子製品に搭載されている電子部品です。 製造における強みは、国内で唯一、高純度アルミニウムの精製から製品化までを一拠点で完結できる、独自技術を活用した一貫製造体制を有している点です。当社では、99.9%の高純度アルミニウムの地金を海外から輸入し、さらにそれを99.99%まで高純度化し、高純度アルミニウム箔の原料としています。当社のアルミニウム電解コンデンサ用箔は、優れた特性を持つことから、世界トップレベルのシェアを誇り、国内においても約7割の市場シェアを有しています。 高純度アルミニウムを精製する過程で分離される残渣は、純アルミニウムとして板製品などに使用するには十分な純度を持っています。そこで、この残渣を原料に活用し、製造した純アルミ系板製品に「LoopAL(ルーパル)」と名付け、販売を開始しました。 「LoopAL」の拡販戦略の一環として、環境負荷低減への貢献度を定量的に示し、それをPR活動に活用することを検討しました。まずは、「LoopAL」のCFP(カーボンフットプリント)を算定し、新地金を使用した純アルミ系板製品と比較し、CO2排出量の削減効果を見える化することを目指しました。 当社には、これまでCFP算定の専任の担当者がいませんでした。そこで初めに、自社でCFP算定のルールを策定するため、ガイドラインなどの関連情報を収集しました。しかし、算定まで実施するには不明点が多く、現実的ではないと判断しました。そこで外部の企業や専門サービスの支援を受けながら算定できる方法を模索することにしました。

▲LoopAL (ルーパル) 純アルミニウム板
初めてのCFP算定に挑戦するため、「CFPとは何か?」という基本から、算定の細かな疑問点までを伴走支援してくれるサービスを探していました。具体的には、CFP算定の範囲はどのように線引きしたらいいのか、排出係数はどう設定するべきか、などの支援を受けたいと考えていました。 まずは、「LoopAL」1製品のCFPを算定することを目指して、コンサルティング会社やCFP算定に特化した会社に問い合わせ、合計3社から話を伺いました。会社選びでは、CFPの算定結果について、開示するに足る信頼性があるかという点が一番譲れないポイントでした。その中で「アスエネ」は導入実績が多く、安心感があり、コストとサービス内容のバランスが一番良かったため、CFP算定支援コンサルティングを依頼することに決めました。 「アスエネ」のコンサルティングでは、面談やメールによるフォローを通じて、当社の疑問点に一つひとつ丁寧に答えてもらえました。その結果、取り組み当初と比べてCFP算定への理解が深まり、社内にノウハウを着実に蓄積することができました。私たちも学びながら、「LoopAL」のCFPを算定でき、大変有意義な経験となりました。 その後、当社のお客さまからは、CBAM(炭素国境調整措置)の数値を出してほしいという要請もあり、「LoopAL」のCFP算定とCBAMへの対応を「アスエネ」にサポートしていただきました。
アスエネのCFP算定支援コンサルティングを活用し、従来のアルミニウム新地金からアルミニウム板製品を製造した場合と比較して、「LoopAL」のCO2排出量は約6割減となることがわかりました。「LoopAL」は、これまでもその製造方法から環境に優しいことはわかっていましたが、これからはCO2排出量削減への貢献度を定量的に示すことができるようになりました。 「LoopAL」は精製残渣と同じくCO2排出量ゼロの社内回転スクラップを合わせるとリサイクル材の配合比率を最大75%に高めることができます。さらに購入スクラップなどを加えることで純アルミでありながら、リサイクル材の配合を最大90%台にまで高めることが可能となります。これにより、アルミ新塊からアルミ板製品を製造した場合と比較し、LoopALのCO2排出量を約6割削減することができます。今回得られた「LoopAL」 のCFP算定結果をプレスリリースで配信したところ、早速、電子情報分野や自動車分野などからの問い合わせがありました。また、純アルミ系以外の製品のCFPも算定することで、当社の環境負荷軽減への姿勢を広く社外に発信していく方針です。 当社は、「LoopAL」が品質と環境への配慮を兼ね備えた、次世代を担う低炭素製品であると確信しています。今後はこうした定量的な数字をうまく活用して、「LoopAL」の販売拡大と当社のブランディングにつなげていきたいです。 当社が属するアルテミラグループは、設備効率化や再生可能エネルギーの利用、グループ内シナジーの最大化を通じ、2050年までにスコープ1-2におけるGHG排出量の実質ゼロを目指します。また、グループ一体で軽量化やリサイクル率向上などへの取り組みを推進し、スコープ3におけるCO2排出量の最小化を目指します。 グループの一員である当社も「わたしたちは多様性を尊重し、自らが創り出す技術・製品・サービスにより、持続可能で夢のある社会の発展に貢献します」というミッションを掲げています。社内や工場の省エネ化、再生可能エネルギーの導入やガスの低炭素商品への切り替えを含めて、当社のスコープ1-2の削減に継続的に取り組んでいきたいと考えています。高い品質を誇りながら、CO2排出量削減に貢献する「LoopAL」をお客さまに提案することで、循環型社会の実現に貢献していきます。
堺アルミ株式会社 業種: アルミニウム板製品、アルミニウム箔製品、アルミニウム鋳塊の開発、設計、製造、販売 社員数: 296名(2025年4月1日時点) 住所: 大阪府堺市 アルミ缶事業とアルミ圧延、箔、押出事業を統合した総合アルミニウムグループであるアルテミラグループの一員である堺アルミ株式会社は、家電やIT機器、電気自動車など多様な分野で活用されるアルミニウム製品を一貫生産体制と高い技術力で提供しています。特に高純度アルミ箔で世界トップクラスの市場シェアを誇り、今後も顧客満足の向上や新製品開発、企業文化の醸成に取り組み、従業員の成長と社会貢献を目指して挑戦を続けます。 ※掲載内容は取材当時のものです。



ESGクラウド評価サービスや再エネ調達コンサルティング等も提供しています。

アスエネ(旧:アスゼロ)は、CO2排出量見える化・削減・報告クラウドサービスです。 温室効果ガス・CO2排出量の算出・可視化、削減・カーボンオフセット、Scope1-3のサプライチェーン全体の報告・情報開示を支援します。



アスエネESGは、持続的なサプライチェーン調達を実現するESG評価クラウドサービスです。GRI、TCFDなどの国際的なESGフレームワークに準拠したアンケートを活用して、サプライチェーン上のESGリスクを評価し、改善を支援します。



ESG開示データの収集・管理を効率化、データ分析で最適な意思決定を実現



アスエネLCAは、アスエネとSuMPOが共同開発したCFP / LCA算定サービスです。初心者でも簡単に算定・分析・報告書作成が可能です。

アスエネを利用することで、CO2排出量の可視化を行うだけではなく、
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