「お知らせ」GHG排出量クラウドSustanaの事業承継・統合について

「システムとコンサル」の両輪で、社内に脱炭素のノウハウを積み上げる

日本トムソン株式会社

上場企業

製造業・メーカー

執行役員 経営企画部長 細野さま、経営企画部 副部長 和田さま、企画課 副主査 平山さま、企画課 平岡さま

公開日: 2025年10月16日

概要

  • 課題

    ・全社での効率的なCO2排出量のデータ測定と管理
    ・部門間の脱炭素推進への意識の差がある
    ・ノウハウが足りず、精緻な算定ができているかわからない

  • ソリューション

    ・CO2排出量見える化SaaS & SXコンサル導入
    ・CO2排出量削減の提案
    ・CDP回答、TCFD報告コンサルティング
    ・SBT認定取得支援
    ・ICP支援
    ・TNFD報告コンサルティング

  • インパクト

    ・多機能だがシンプルで使いやすいシステムによる工数削減
    ・コンサルティングを通したノウハウの集積と信頼できるデータの取得
    ・CO2排出量を全社で見える化できる環境の構築
    ・CO2排出量見えるかによる脱炭素ロードマップの明確化

統合報告書の発行を通じて気づいた「効率的なシステムの導入」の必要性

当社は機械製造業で、主力商品は、直動案内機器、ニードルベアリング、メカトロシリーズの3つです。いずれもいわゆる「縁の下の力持ち」的な存在。一般の人々の目に入ることはほとんどありませんが、半導体、エレクトロニクス、医療、自動車、身近なものではオートバイや駅構内のホームドアなど、さまざまな業種・企業に当社の商品が使われています。豆粒くらいの大きさのものから、ひとりでは持てないような大きさのものまで、大きさはさまざまですが、多くの産業の支えになっています。


当社の商品は、なめらかにモノを動かす、すなわち機械の中で摩擦を減らすための精密部品として用いられます。たとえば、当社のベアリングを機械に採用すると、摩擦が減り、エネルギーの効率がよくなる、つまり省エネになります。そういった意味で、当社のビジネスと環境負荷低減はもとから密接な関係を持っていました。さらに、当社はベアリングに使用する潤滑油においても、独自技術により使用量を最小限に抑えることに成功し、地球環境に与える影響を大きく低減させています。また、国内の工場は省エネ法の特定事業者対象ですので、スコープ1、2に関してはすでに算定を行っていましたし、生産・技術部門はISO認証を取得するなど、従来から環境への取り組みは行っていました。

ですが、全社で見ると、部門ごとに取り組みや意識に差がある状態だったのです。それに気付いたきっかけは、2022年10月に当社として初めて発行した統合報告書でした。経営企画部が中心となって初めて全社のエネルギー使用量を調査したのですが、各部門でそれぞれ測定しているものの、活動量データを管理する上で、フォーマットがバラバラだったり、どのデータが最新版なのかわからなかったりという、グループ全体におけるCO2排出量の管理効率の悪さが課題だと見えてきました。

また、活動量データの収集だけではなく、CO2排出量の算定にも課題がありました。報告書はExcelをベースにして作成したのですが、今後スコープ3の算定を正確に継続していくことを考える上で限界を感じていました。さらに、当社は東証プライム上場企業として、CDPへの回答が求められるほか、SBTi認証やTCFD提言への対応が今後必要になると考えていました。そこで、全社でCO2排出量を見える化、管理するための効率的なシステムや脱炭素の取り組みを包括的にサポートしてくれるサービスを本格的に検討し始めました。

「システムとコンサル」「一緒にやっていける企業」を求めて

当社は統合報告書の発行と同時に、温室効果ガスの削減目標を公表しました。「2030年度に、2018年度比で50%以上削減」「2050年にはカーボンニュートラル」。こうした目標を掲げたら、目標に対してどれくらい削減したかを見るために、CO2排出量の見える化システムは必要だろうと考えました。

ネックになっていたのは、社内に脱炭素に関するスペシャリストがいないこと。経営企画部や生産技術部が中心となって進めていましたが、スペシャリストではない担当者が猛勉強してCO2排出量の算定を行っているので、どこまで精緻にできているのか、ノウハウをどう積み上げていけばよいのか、不安がある状態でした。そのため、システムだけではなく、ノウハウを得られるようなコンサルティングも必要と感じていたのです。


担当者みんなでコンサルタント企業の情報を収集する中、ひとりがSNSで知って資料請求したのが「アスエネ」でした。複数の企業を検討していたのですが、「コンサルや算定だけでなく、システムも一緒に導入してくれる企業」「TCFDとCDPの開示に対応できる企業」「全部任せるのではなく、自分たちで全てやらなければならないのでもなく、一緒にやっていける企業」といった点から、「アスエネ」の導入を決めました。費用面も魅力的でしたね。

また、過去実績に関するお話や対応のスピード感などから、アスエネの担当者や会社としての経験値の高さを感じました。当社はプライム市場に上場しているので、信頼感のある情報公開が必要とされます。そういった面からも、パートナーとしてアスエネを選びたいと思いました。

脱炭素化の推進に向けて、網羅的に対応できる「アスエネ」システムとコンサルティング

実際に使い始めて、メンバーからは「シンプルで見やすい」「使いやすい」「ミスが起こりにくい」「分析画面も見やすく、課題や改善案が浮かんでくる」「フォームに入力していけばよいので、属人性が低くなった」「データが集約されているので、確認の工数が減り、削減計画の検討スピードが上がった」といったポジティブな声が上がっています。

たとえば使用頻度が高いのは、Excelデータの一括アップロード機能。それから、例えば、スコープ3のカテゴリ7にあたる、従業員の通勤におけるCO2排出量の算定では、電車・車などをプルダウン選択できる機能が好評です。当社は事業所の場所によって、従業員の通勤形態が異なります。これまでだと「車通勤なのに電車通勤で計算してしまった」といったうっかりミスがあったのですが、この機能によってミスが減っています。スコープ1、2だけでなく、スコープ3も「アスエネ」でしっかり算定できるのがとても便利です。

システム自体のアップデートや新機能がどんどんリリースされているのも、とてもよいですね。見える化が進むとさらにやりたいことが増えてきて、機能の要望などをさせていただいたのですが、そういったフィードバックを反映して、どんどん新しい機能が追加されたり、改善されたりしているのが大変ありがたいです。新しく導入されたテンプレート入力機能では、各部門専用の入力フォーマットを作成でき、現場での入力工数削減をさらに削減できるため、この機能を活用した作業改善に取り組もう準備を進めています。また、CO2排出量の第三者認証に向けた機能もリリースされてきており、今後、そういった機能も順次活用していく予定です。

そして、決め手のひとつだったコンサルティングも、非常に勉強になっています。コンサルティング担当がとても丁寧にアドバイスをしてくれますし、自社独自の仕組みでどう算定したらよいかわからない部分も、迅速にわかりやすく教えてくれます。そのおかげで、私たちにノウハウも溜まってきました。当初はCO2排出量の算定やTCFDの報告を支援していただくだけだったのですが、今はCDP開示、SBT認証、ICP支援、TNFD開示支援等、ほぼ全てのコンサルティングをお願いしています。「アスエネ」は、CO2排出量の見える化やイニシアチブへの開示において、安心してお願いできるサービスだと社内でも認識しています。

次世代のために日本トムソンができること

「アスエネ」を導入したことで、CO2排出量を算定した結果をすぐに社内で見える化できる環境を構築することができました。グループとしてサステナビリティに取り組める体制ができたと思っています。まだまだこれからですが、システムを直接使っている社員を中心にしつつ、全社的に省エネ、脱炭素への意識をさらに上げていきたいです。

当社のベアリングを使っていただくだけでもCO2削減につながっているのですが、当社自身も脱炭素へのアクションを社外に発信することで、お客さまや社会と共に環境問題に取り組んでいければと思います。例えば、2023年4月にはオンサイト型PPAの太陽光発電を導入し、同年5月にはベアリング業界では初となるバーチャルPPAを締結、2024年8月には営農型のオフサイト型フィジカルPPAの締結、2025年1月には風力発電を活用したバーチャルPPAを締結するなど、自社の脱炭素化だけでなく社会全体の再生可能エネルギー普及も意識した先進的な手法にもチャレンジをしています。また、当社製品をサステナビリティ軸で見直し「IKOエコプロダクツ」として再定義する動きや、岐阜の工場では企業養蜂にも取り組みはじめるなど、各部門での自主的な活動も産まれてきています。このような取り組みを、今後も積極的に発信していきたいと考えています。

当社の経営理念は「社会に貢献する技術開発型企業」。気温が上昇し自然が破壊される……という未来ではなく、世界中の次世代の方々が生き生きと安心して過ごせるような世界を作るためにも、サステナビリティ経営を実践し、今まで以上に社会に貢献していきたいです。50年後、100年後に「日本トムソンがあったから、よかったね」と言われるような会社になれればと思っています。

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企業プロフィール

日本トムソン株式会社

日本トムソン株式会社 業種: 機械製造業 社員数: 2431名(グループ合計) 住所: 東京都港区 1950年設立。国内で初めて軸受(ベアリング)を自社技術で開発。ベアリングと関連機器の開発・生産を行っており、ベアリングブランド「IKO」はさまざまな産業から広く評価されている。経営理念「社会に貢献する技術開発型企業」を掲げ、商品・サービスを通じた環境と社会への貢献を目指している。

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