南海電気鉄道株式会社
上場企業
運輸・倉庫
執行役員 経営戦略グループ サステナビリティ推進部長 坂本さま、サステナビリティ推進部 課長 松本さま、主任 高橋さま
公開日: 2025年10月3日
・ステークホルダーからCDP評価への注目度が高まるが、評価が「B」から抜け出せない
・CDPの質問書の変化についていけず、自社回答の限界を感じる
・担当者が退職したことでナレッジが蓄積されず、属人的な対応のリスクを感じていた
・気候変動コンサルティングの提供
・導入前の模擬採点と分析により、サポートのイメージが持てた
・課題であったスコアアップを達成し、「A-」の評価を取得できた
・社内の環境配慮遵守への意識づけやモチベーションアップにつながる

南海電気鉄道株式会社は、鉄道事業(南海電鉄)を核とする運輸業、不動産業、流通業、レジャー・サービス業を展開する企業です。大阪の巨大ターミナルであるなんば駅を拠点として、南大阪・和歌山を中心に、沿線エリアの地域活性化を進め、今年で創業139年目を迎えました。わが国最初の純民間資本による鉄道会社です。
ビジネスの柱はメインが運輸業、次いで、不動産業になります。難波周辺施設(なんばパークス、なんばCITY、なんばスカイオなど)のテナントから不動産賃貸料をいただき、運営を行っているので、BtoBとBtoCにまたがるビジネスモデルです。レジャー・サービス業では、グループ会社と連携したeスポーツ事業やツーリズム事業などを行っています。
当社沿線には、世界遺産の高野山や百舌鳥・古市古墳群をはじめ、魅力ある歴史的遺産が数多く点在し、世界の玄関口となる関西国際空港と結ばれていることが特徴です。ポテンシャルを秘めた沿線資源、まちの魅力を創る力、新しいサービスを創る力という3つの強みを生かして、地域の「暮らす・働く・訪れる」価値を高め、地域とともに成長するビジネスモデルを目指しています。2031年には「なにわ筋線」の開業が予定されており、梅田や新大阪と南海沿線がつながることで、社会のなかで果たす役割もより大きくなります。
また当社は、東証プライム市場に上場しており、情報開示が義務化されているため、10年以上前からCDPへの回答に自社で取り組んできました。特に近年では、投資家をはじめとするステークホルダーから、CDPスコアへの注目度が高まっていますが、数年前から気候変動の評価は「B」に留まっていました。
当社としては、業界内でのリーダーシップを発揮するため、「A」あるいは「A-」を取得したいと考えている一方、質問書で問われる内容が詳細になってきて、変化に対応しきれず、自社回答には限界を感じていました。また、これまでCDP回答を担当していたベテラン社員が退職することも課題の1つでした。異動や退職によりナレッジが貯まらないことがリスクになっていたのです。CDPへの回答は、今後予定されているISSBの開示にもつながると考えているため、ナレッジを蓄積していきたいという思いがありました。

当社はサステナビリティ推進委員会を設置し、会長兼CEOをトップとした委員会で、サステナビリティ関連の取り組みを審議し、その中でCDPスコアの報告を行っています。現担当者は3年前に当部に異動後、脱炭素に関する知見を広げるために「アスエネ」のウェビナーを申し込みました。当時は、CDPに対する知識が全くなく、基本用語の説明や環境に対する知識を身につけることが目的でした。その後、CDP評価のスコアアップが全社的なミッションになってきたため、改めてコンサルティングサービスを探しました。最終的には2社で費用感や支援内容を比較しましたが、事前の面談での満足度が高かったため、「アスエネ」にお願いすることにしました。また、導入前に模擬採点と分析をしてもらえたことで継続的なサポートのイメージが持てたことも後押しになり、2023年からCDPコンサルティングを依頼しています。
本コンサルティングでは、ポイントを押さえながら回答をしていくことの重要性を学びました。模擬採点では「B」判定だったのですが、回答を工夫した結果、実際のCDP評価では「A-」を取得することができました。鉄道・運輸業界でもリーダーシップを取れる評価で、企業価値の向上にもつながるため、これを継続していきたいです。CDPの回答方法のナレッジを積み上げながら、気候変動対策の取り組みもアップデート・改善させていくことが大切なので、今後も「アスエネ」のサポートに期待しています。

企業としての脱炭素への取り組みは、実態を改善していくことと、評価を高めていくことの両輪で進んでいくと考えています。昨年度、CDP評価「A-」を取得したことを追い風に、業界でリーダーシップを発揮することで南海グループ全体の価値を高めていきたいです。特に、グループ全体で抱えているCO2削減に取り組むため、2030年にCO2排出量46%削減(2013年度比)という目標を掲げています。そのために、鉄道用電力使用量の削減・省エネ化や太陽光発電設備の設置、J-クレジット創出など、環境に対して優しいアクションには積極的に取り組んでいきたいです。
さらに、生物多様性保全への取り組みとして2003年、大規模・複合商業施設の「なんばパークス」内に、日本最大級の屋上公園である「パークスガーデン」をオープンし、定期的に生物調査を実施しています。直近の調査結果では、全国的に個体数の減少が危惧されているスズメの繁殖や大阪府レッドデータブックに記載されている絶滅危惧種であるトンボのマイコアカネが確認されるなど、「パークスガーデン」には多様な生物が生息、繁殖していることが分かり、生物多様性の保全に大きく貢献していると推察されます。
当社は、奈良県十津川村に「なんかいの森」を所有しており、手入れ・保全を通じて、地域の生物多様性と環境を守る活動を長年にわたり行っています。この森が、CO2削減の一助になると考え、2013年からJ-クレジットの認証を取得してきました。今後は、この森のCO2吸収量を活用して、排出量の削減目標の達成を目指しています。また、これまで、CSRの観点で向き合ってきた環境への取り組みを、今後は、企業価値を高めビジネスに繋げていける可能性を模索しながら、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
ESGではE(環境)の領域に目が行きがちですが、当社はS(社会)、特に人財育成と職場環境の改善も強みとしています。年次有給休暇取得率は2023年度実績で96. 6%と高ポイントで、業界最高水準の働きやすさを提供できる組織づくりを心がけています。さらに、男性も含めて育児休暇を取れるよう「ベビーサポート休暇」を設けるなど、従業員の多様な働き方に寄り添う制度を取り入れています。
持続可能な社会を作っていくことは、世界共通のテーマです。当社グループでは、「南海グループ経営ビジョン2027」、「2050年の企業像」の実現に向け、企業価値の向上と持続可能な社会の実現の両立を目指しています。環境に配慮しながら良質で親しまれる交通サービスを提供することで、地域の方に支持され、愛される企業グループを目指します。そして、多様性あふれるまちが未来に続いていけるように、地域共創型まちづくりと環境への取り組みを続けていきます。
南海電気鉄道株式会社 業種: 鉄道事業、開発事業、流通事業、土地建物賃貸事業 社員数: 2,642名 住所: 大阪市浪速区 当社はわが国最初の純民間資本による鉄道会社として1885年に創業し、鉄軌道、バス、フェリーなど交通輸送体系の充実のほか、都心開発、沿線郊外における大規模住宅開発、宿泊施設の運営等、沿線の豊富な資源を活かした事業を組み合わせることにより、沿線エリアの発展を下支えしてきました。 これからも、安全・安心な移動サービスを基軸に、多様な事業で人々の生活を支えてまいります。
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