エムスリー株式会社
上場企業
IT・インターネット
CO2排出量算定
海外規制対応
IRグループマネージャー 経営管理グループ 中村さま、経営管理グループFP&A/ディスクロージャー担当 IRグループIR担当 谷山さま
公開日: 2025年10月3日
・担当者若干名で、連結子会社100社超えのCO2排出量を見える化することは困難
・欧州の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に対応したい
・グローバルメンバーにも使いやすいシステムで情報を一括管理したい
・CO2排出量見える化SaaS & SXコンサル導入
・CO2排出量削減の提案
・排出原単位の検索の利便性が高く、国ごとの設定がスムーズに対応可能
・使いやすく洗練されたUIだから、どの国の子会社でもスムーズな導入、算定が期待できる
・2029年のデッドラインまでにグループ全体のCO2排出量算定プロセスを確立できる

エムスリー株式会社は、「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」をミッションに、最新技術やプラットフォームなどオンラインのリソースを活用しながら、ヘルスケア産業における効率化やオペレーションの最適化をサポートする事業を展開しています。
当社は多数のサービスを提供しており、それぞれお客さまのプロファイルも異なりますが、基本的にはBtoBモデルの事業を営んでいます。クライアントは医療従事者、医療機関、もしくは製薬企業のマーケティング部門や研究開発部門がメインです。現在もっとも規模の大きい事業は、日本最大級の医療従事者専門サイト「m3.com」の運営と、そのプラットフォームを活用して製薬企業向けにマーケティング支援を行う事業です。製薬企業では従来、MR(Medical Representatives)と呼ばれる医薬情報担当者が担当の病院を一軒ずつ訪問し、医師に直接情報提供を行うことで薬剤のプロモーション(営業)をしてきました。しかし、この方法は人的リソースを必要とする上に、移動を含めて時間とコストがかかります。
従来の方法と比べると、「m3.com」を活用した医師への情報提供であれば、製薬企業がデジタルで薬剤について情報提供を行い、医師は自分の都合の良い時間に、欲しい情報を好きなだけ見ることができます。この方法は、医師・製薬企業いずれにとっても利便性が高く、時間・金銭的費用を含めたコストを最適化することができます。
また、日本のみならず、医療費が高い国々ではこのようなコスト最適化が重要性を増しています。デジタルを活用した医療コスト低減・最適化に資するサービスを、アメリカ、欧州、韓国、インドなどにもローカライズして展開しています。
結果当社の事業は、インターネット・デジタル分野に特化するケースが多いため、製造業等現物を取り扱う機会の多い事業と比べて環境負荷が低いとの判断から、これまではCO2排出量の見える化・削減へのプライオリティが高くはありませんでした。
しかし、近年、製薬企業との取引にあたって、求められる会社情報、特にCO2排出量を含めたサステナビリティ関連の項目の情報提供を依頼されることが多くなってきました。新規のお取引のみならず、既存のお客さまからも定期的に情報のアップデートを求められるため、クライアント企業の皆さまの環境負荷低減への意識の高まりを実感しています。さらに、当社は、東証プライム市場に上場しており、2023年から有価証券報告書におけるサステナビリティの情報開示が義務化されました。これらをきっかけに、CO2排出量算定の課題感がグループ全体で高まってきました。
ところが、連結子会社が100社を超える当社では、グループ全体のCO2排出量を算定しようにも、膨大な作業が必要になります。さらに、 欧州でも積極的に事業を展開しているため、欧州の子会社が企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の対象となったことで、2029年にはグループ全体での情報開示が求められることがわかりました。サステナビリティの情報開示については、経営管理部門の若干名で担当しているのですが、これまではツールなどを特に導入しておらず、Excelなどを使って手作業で算定していました。現在の体制のままで、100社を超える子会社の各担当者と逐一コミュニケーションを取り、すべて子会社から情報を集めダブルチェックを行い集計するのは現実的ではありません。グループ全体で包括的にCO2算定するには何かしら効率化を図る必要があると考え、システムの導入を検討し始めました。

CO2の見える化に着手しようと社内の情報整理をしたことで、リソース不足と部門担当者や連結子会社との膨大なコミュニケーションコストが課題として浮き彫りになったことで、ツール導入の検討が始まりました。まずは開示にかかわる経営管理部門と経理部門で、候補となるシステムをリサーチすることから着手したのですが、「アスエネ」の存在を知ったのはこのときが初めてでした。また同時期に、Sony Innovation Fundがアスエネに出資するニュースリリースも目にしました。ソニーグループ株式会社は当社の大株主であり、ソニーグループが出資したことで信頼できそうな印象が強まり、より興味を持ちました。
最終的には、15社ほどのシステムを比較検討し、4、5社から実際にサービスの説明を聞きました。多言語で利用でき、海外子会社のメンバーも使いやすいか、グローバルに収集した情報が連結管理しやすいか、コストパフォーマンスが良いか、という3点を重視した結果、「アスエネ」を導入することを決定しました。
実際に使ってみると、階層別・国別の管理が可能で、国を跨いでもスムースに算定できるので、当社のようなグローバルレベルでの連結管理を必要としている企業にはぴったりの機能が揃っていると感じます。マニュアルも充実していて自己解決にかかる時間も少なく、UIも洗練されているのでメンバーも難なく使用できています。
特に機能の高さに驚いたのは、初期段階で排出原単位の設定を行なった際、検索から実際の設定までが文字通りシームレスに行えたことです。当社の場合、国ごとに対応した排出原単位を設定するため、検索機能を多用しているのですが、キーワード検索やスコープでのフィルタリングなど欲しい機能が備わっており、スムースに検索することができました。また海外子会社を含むグループ全体でCO2排出量算出を行うことをふまえると、子会社ごとに必要な入力項目をテンプレート化したフォーマットを作成し、展開することで、子会社側では数字を入力するだけで済む機能があり、これが大変便利だと思っています。Excelの場合、各子会社の担当者も容易にフォーマット等を変更できてしまい、管理の観点ではスムースに一元化できない問題が想定されますが、「アスエネ」を使うことで、Excel、CSV、PDFなどをアップロードするだけで、子会社からの提出データ統一、CO2排出量の可視化もできます。管理工数の低減につながり、グループ全体での算定プロセスを大きく効率化できそうです。
現在は、システムに慣れるためにも、前年度にExcelによって手動で入力していたスコープ1・2を、「アスエネ」を使って再算定しようと試みています。その後、当社として初めてスコープ3を算定し、来年度には開示できるように準備を進めたいと思っています。エムスリー株式会社単体としては、スコープ3の優先度が高いわけではありませんが、グループ全体で見るとCSRDの対応が喫緊の課題です。欧州の子会社にも、来年度からスコープ3の算定を含めて報告してもらえるよう、準備をしています。

CSRDの施行によって、一定規模の欧州子会社を有する非EU企業は、2029年からグループ全体でCO2排出量を開示することが義務付けられます。つまり、当社としては、2029年までに、すべての子会社を含むグループ全体でのCO2排出量を算定するシステムを構築しておくことが必達目標となります。また、CSRDは第三者認証が義務化される予定のため、CO2排出量の算定にあたっては、証跡などを残さずにブラックボックスのままで進めるわけにはいきません。まずは、第三者認証を取得するためにも、CO2排出量の見える化という第一段階に取り組みたいです。
さらに、製造業のように現物の取り扱いが事業上必須の企業はCO2排出量の削減が喫緊課題であるため、製薬企業をはじめとする当社のお客さまからは、排出量の削減目標を設定するように要請をいただくことが増えています。それに応えるためには、まずは現状を把握し、目標を設定し、トラッキングするという3段階を経る必要があります。「アスエネ」には、これらのステップをフレキシブル、かつスムースに行えることを最も期待しています。
これまで当社は、サステナビリティの情報開示について、一般的な上場企業と比べると限定的な取り組みしかできていませんでした。しかし、「アスエネ」の導入により必要なデータ取得にかかる工数を削減し、他の業務に時間を割けるようになったため、今後は、CDPの回答・TCFDの情報開示にも並行して取り組みながら、当社のCO2排出量の少なさを社外に発信していきたいです。また中期的には、取引先企業が当社のサービスを活用することで、サービス導入以前と比べてCO2排出量を削減することができ、環境負荷が少なくなることも定量的に示せるようになることも目指していければと考えています。
少子高齢化が進み、医療費の増大ペースがGDP成長率を上回る中、現在の日本の医療業界にはたくさんの課題があふれています。当社は、現状日本の医療業界が抱える課題を一つでも多く解決することで、次世代に向けてサステナブルな医療を残していくことが非常に重要だと考えています。
今後も、「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らす」ことに向けて、取り組みを加速していきます。
エムスリー株式会社 業種: IT・インターネット 社員数: 649名 住所: 東京都港区 「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を 1 人でも増やし、不必要な医療コストを 1 円でも減らすこと」を事業目的に掲げ、インターネットというメディアの力を活かして医療の世界を変えることを目指す企業。グループ全体で、現在世界17ヵ国、全世界の医師1200万人の50%にあたる約650万人のグローバル医師ネットワークを有する。国内における医師会員33万人以上が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」等の医療従事者のプラットフォームを中心に、製薬企業向けマーケティング支援、医療現場 DX 化支援、治験実施支援、キャリア支援等、様々なサービスを国内外で展開。 ※掲載内容は取材当時のものです。
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金融・保険



ESGクラウド評価サービスや再エネ調達コンサルティング等も提供しています。

アスエネ(旧:アスゼロ)は、CO2排出量見える化・削減・報告クラウドサービスです。 温室効果ガス・CO2排出量の算出・可視化、削減・カーボンオフセット、Scope1-3のサプライチェーン全体の報告・情報開示を支援します。



アスエネESGは、持続的なサプライチェーン調達を実現するESG評価クラウドサービスです。GRI、TCFDなどの国際的なESGフレームワークに準拠したアンケートを活用して、サプライチェーン上のESGリスクを評価し、改善を支援します。



ESG開示データの収集・管理を効率化、データ分析で最適な意思決定を実現



アスエネLCAは、アスエネとSuMPOが共同開発したCFP / LCA算定サービスです。初心者でも簡単に算定・分析・報告書作成が可能です。

アスエネを利用することで、CO2排出量の可視化を行うだけではなく、
脱炭素を行い企業価値の向上ま でコンサルサービス・削減ソリューションの紹介を通じサポート。


TCFD/TNFD開⽰⽀援、CDP回答⽀援、CSRD開示支援、有価証券報告書作成⽀援、B Corp認証取得⽀援、SBT取得⽀援