「お知らせ」GHG排出量クラウドSustanaの事業承継・統合について

「アスエネ」で多事業・多拠点のCO2排出量の見える化により、カーボンニュートラルに向けた進捗状況を正確に把握

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経営戦略室 サステナビリティ推進担当 課長 尾原さま、主査 清水さま、主査 熊﨑さま

公開日: 2025年10月2日

概要

  • 課題

    ・Excelを使用して自社算定していたが、単位ミスや桁違い・集計漏れが出てしまう
    ・第三者検証の取得に伴い、月別・拠点別データが必要になり、自社算定の限界を感じた
    ・算定を精緻化し、かつ業務の効率化を図りたい

  • ソリューション

    ・CO2排出量見える化SaaS & SXコンサル導入
    ・CO2排出量削減の提案

  • インパクト

    ・テンプレート入力で入力漏れや単位ミスを防ぎ、各拠点の業務効率が上がった
    ・「アスエネ」を導入して、目的の第三者検証の保証声明書を取得することができた
    ・多くの社員が「アスエネ」を使用することで、非財務課題への対応・開示の重要性が全社的に浸透し始めた

CO2排出量の第三者検証が必要になり、正確性に課題がある自社算定に限界を感じた

京浜急行電鉄株式会社は、1898年に創立した鉄道会社です。交通事業を基幹事業として、不動産やレジャーなど複合的に沿線のまちづくりを行うことで、沿線地域の活性化を目指しています。

事業は主に5つのセグメントで、交通事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、流通事業に加えて、保育園運営やビル管理などを行う、その他の事業があります。沿線の生活者の衣食住を担い、利便性を追求するサービスを提供しているため、ビジネスモデルはBtoCとなります。

当社では「都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する」という経営理念のもと、事業活動そのものがさまざまな社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献すると認識しています。2000年代に入り「CSR」といった考え方が広く普及・浸透したことを受け、当社においてもこれに基づいた事業活動を継続してきました。また近年では、地球温暖化をはじめとする環境課題の顕在化や、企業に求められる非財務情報開示の重要性が高まっており、経営戦略の一環としてサステナビリティの推進を加速しています。その一環として2024年4月に経営戦略室内に「サステナビリティ推進担当」を新設しました。

当社はESG経営における取り組みとして、まず「環境」に注力しました。基幹事業である鉄道はエネルギー効率に優れており、他の交通手段に比べ環境負荷の少ない交通手段です。しかし、動力源である電気の使用に伴うCO2排出に関しては、改善の余地があると感じていました。脱炭素を進めるうえで、当社が基準年と定めた2019年度において、グループ全体の排出量のうち4割以上を鉄道事業が占めていたからです。そこで第一歩として、鉄道事業の一部区間である空港線において、運転用の電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替える取り組みを実施しました。またこの前後で、会社としてCO2排出量の算定・開示に着手しています。

CO2排出量の算定は2019年度分から始め、最初の2、3年はExcelを使用して手探りで算定していました。しかし、この方法では精度や正確性に問題がありました。算定対象となる拠点数が非常に多い一方で、Excelでは会社単位でしかデータを収集できず、抜け漏れがないかなど拠点ごとの細かな確認が困難だったためです。そのため、入力データをチェックするのもひと苦労で、業務の効率化が課題でした。また、単位ミスや桁違いなど初歩的なミスが多い状況も続いていました。

一方で、CO2排出量は正確な情報を開示しなければ、投資家や取引先からの信頼や評価にはつながりません。さらに、将来的な有価証券報告書での開示義務化なども見据え、より正確な非財務情報の算定・開示が求められるようになりました。あわせて、資金調達の観点などからも第三者検証の重要性が高まり、自社だけで算定を行うことに限界を感じるようになりました。こうした潮流に対応するため、システム化の検討を始めたのです。

「アスエネ」のテンプレート入力で、課題だった入力漏れや単位ミスを防ぐことができる

2023年度から、第三者検証に耐え得るCO2排出量の算定が可能なサービスのリサーチを始めました。約半年間にわたり複数の企業から情報を収集する中で出会ったのがアスエネです。鉄道業界では、私鉄各社が共通の課題意識を持ち、サステナビリティに関する情報交換を活発に行っており、すでにアスエネを導入していた同業他社を通じて知りました。

3社のサービスを比較検討したうえで、2023年11月にスコープ1-2の算定をするために「アスエネ」を導入しました。決め手となったのは、検討した当時に比較した対象サービスの中で、唯一「テンプレート入力機能」を備えていた点です。この機能を活用すると拠点ごとの入力項目や単位をあらかじめ設定できるため、従来の課題であった入力漏れや単位ミスを防ぐことができます。加えて、証跡の添付機能が備わっていた点も大きなポイントでした。第三者検証を見据え、証跡添付を日々の入力オペレーションに組み込めると考えたためです。

UIの分かりやすさや使い勝手の良さも決め手のひとつです。実際に毎月入力作業を行うのは、サステナビリティの担当やシステムに慣れている社員とは限りません。グループ各社の様々な部署に所属している社員です。「アスエネ」は入力画面がシンプルなため、そのような社員でも簡単に操作ができます。また、これまでの自社算定とは異なり、CO2排出量も自動で算定されることで作業工数も大幅に削減されました。さらに、ダッシュボードで「見える化」されることによりデータに基づいた状況把握が誰にとっても容易となりました。

また、カスタマーサポートの「Net Zero Community」に問い合わせをすると、当日や翌営業日には対応をしてもらえます。システムの使い方だけではなく、この算定の考え方が合っているかといった算定方法についても回答してもらえ、とても手厚いサポートに助けられています。

「アスエネ」の導入は、京急グループ全体の環境に対する取り組みへの意識向上にもつながっています。オペレーションや入力方法の周知にあたって、①CO2排出量は今後義務化される有価証券報告書における開示等も見据えて、第三者検証を継続的に受ける必要があること。そのためにも、②正確な算定・開示を求められる重要なデータであること、を伝えました。これにより、非財務情報開示の重要性が浸透し、各々が社会価値と企業価値の向上に向けた取り組みを担っているという意識が社内に根付き始めています。

「アスエネ」導入で、初めて第三者検証の保証声明書を取得することができた

「アスエネ」の導入以降、スコープ1-2の算定は順調に進んでおり、2024年に初めて第三者検証を実施し保証声明書を取得することができました。一方で、サプライチェーンが複雑なスコープ3については、現在Excelで算定に取り組んでいる段階です。将来的にはスコープ3も第三者検証が必要になること、さらに現状は、1次データが活用できていないことも課題であるため、引き続きスコープ3算定のシステム化についても検討しています。特に、スコープ3カテゴリ1(購入した製品・サービス)、カテゴリ2(資本材)の排出量が多いため、より正確な算定・開示を目指しています。

また当社は「アスエネ」の導入と同時期に、サステナビリティに関する目標の達成状況に応じて借り入れ条件が変動する「サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)」の契約を締結しました。第三者検証を行っていることは、達成状況の裏付けとして必須条件であり、今後も本システムを活用して排出量の正確な算定・開示を継続していきます。

正確な算定・開示だけではなく、CO2排出量の削減の重要性も認識しています。2024年4月には、京急線全線での再生可能エネルギー由来の電力への切り替えが完了し、電力使用によるCO2排出量を実質ゼロにすることができました。鉄道事業の排出量はグループ全体の4割以上であったため、これは非常に大きなインパクトを持ちます。

今後の課題としては、鉄道事業で実施しているこのような取り組みを他事業でも広げていくことだと考えています。そのためにも、社員一人ひとりの意識を高める取り組みを引き続き強化していきます。

例えば直近では、CO2排出量に自社が設定した価格をつけて可視化するインターナル・カーボンプライシング(ICP)の試験導入を始めました。また、エネルギーの地産地消も行っています。三浦半島に所有する社有林の間伐材を、横須賀のバイオマス発電所で燃料の一部として活用し、この環境価値を持つ電力を京急グループ内で利用しているのです。

当社としては、長期環境目標「京急グループ 2050年カーボンニュートラル」のもと、2050年までにスコープ1-2のCO2排出量を実質ゼロとすることを掲げており、その中間目標として「2035年までに2019年度比70%削減」を設定しています。脱炭素の取り組みは、持続可能な事業運営そのものにも直結する重要な要素です。この大きな目標の達成に向けて、全社一丸となってCO2排出量の正確な算定・開示に取り組んでいきます。

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企業プロフィール

京浜急行電鉄株式会社

京浜急行電鉄株式会社 業種: 交通事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、流通事業、その他の事業 社員数: 2,907名(2025年3月時点) 住所: 神奈川県横浜市 京浜急行電鉄は、前身である大師電気鉄道の創立以降、120年以上もの間、地域課題の解決や地域社会のニーズに寄り添った事業活動を 通じて、沿線地域の発展を目指し、新たな価値の創出に挑戦し続けてきました。現在は鉄道会社やデベロッパーの枠を超え、地域発展の旗振り役となるローカルプラットフォーマーとして、さまざまなパートナーとともに地域密着型まちづくりを推進しています。

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