稲畑産業株式会社
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CO2排出量算定
合成樹脂第一本部 事業開発部長 グリーンビジネス推進プロジェクトリーダー 松下さま、総務広報室 サステナビリティ推進部 部長 吉塚さま、課長 福地さま
公開日: 2025年9月29日
・投資家やサプライチェーンからCO2排出量開示の強い要請があった
・社内にCO2排出量見える化のノウハウがないためパートナー企業を探していた
・見える化をしていなかったことで失注してしまった案件もあった
・CO2排出量見える化SaaS & SXコンサル導入
・CO2排出量削減の提案
・CDP回答コンサルティング
・コンサルティングに頼らず、システムで見える化を自走することができた
・サプライヤーからの1次データを活用し、見える化の工数大幅削減&精度UPに貢献
・2026年度、2030年度のGHG排出量削減目標を設定し、「サステナビリティ中期計画2026」の中で発表した

稲畑産業株式会社は、情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂と4つのセグメントで事業を行う、化学系専門商社です。1890年、京都市に稲畑染料店を創業したのが始まりで、合成染料から派生して化学品、さらには合成樹脂と、取り扱い分野を増やしてきました。現在では、海外売上高比率が6割を超え、海外19カ国・約70拠点で事業を展開しています。 携わっている業界は幅広く、取引先もグローバル企業から中小企業まで多岐に渡っています。商社としてメーカーから購入した原材料の代理販売や、メーカーから依頼された原材料の調達を仲介するなど、幅広い取引を行う点が特徴です。最近では、合成樹脂セグメントにおいて、樹脂やフィルムの製造・加工会社から端材を回収し、提携先のリサイクル工場で再生樹脂原料へ加工する事業も進めています。事業においてプラスチックを取り扱ってきた歴史が長いので、高い品質のマテリアルリサイクルを行っていると自負しています。 また、2024年1月には国際認証である「ISCC PLUS認証」を取得し、持続可能な原料として担保されたバイオマス材や再生材などの取り扱いが可能になりました。 メイン事業の1つである、合成樹脂の分野では、プラスチックのコンパウンド工場を海外の7カ国7拠点で運営しています。この自社工場では、ABS(プリンター外装など)の着色やポリプロピレンとフィラーの混錬など、顧客ニーズに合わせた製品を提供するための製造・加工を行なっています。当社は、商社としての機能に加え製造・加工機能も併せ持っているため、各国の拠点で現場の対応力が高い点が強みだと言えます。 CO2排出量の見える化に取り組む背景には、当社のグローバルな事業展開と、投資家やサプライチェーンからの強い開示要請があります。取引の要件としてお客さまから、コード・オブ・コンダクト(CoC)への署名や外部評価機関による評価などを通じて、CO2排出量の算定・開示を求められることも増えています。 しかし、当社はこれまでCO2排出量の見える化に取り組めていませんでした。商社というビジネスモデル上、どのように算定すれば良いか、社内のノウハウやリソースがなかったことが課題だったのです。実際に、当社のグループ会社のひとつは、製品の長距離輸送によって排出されるCO2排出量が多く、削減ができていないことが理由で失注したことがありました。このままでは事業の機会や商権を失う可能性もあると、危機感が高まるきっかけとなりました。このような事態を繰り返さないために、自社のCO2排出量の算定が急務だと考え、外部のパートナーを探し始めました。

2021年10月に、サステナビリティ委員会を設置したことをきっかけに、以前、別の部署で接点があった「アスエネ」に面談をお願いしました。しかし、当時はコーポレートガバナンス・コードの対応に追われていたこともあり、担当者の知識もなく、本当に何も体制が整っていなかったので、まるごとお任せできるコンサルに依頼し、CO2排出量の算定を行いました。とはいえ、いずれはコンサルティングなしで自走できるよう、システム導入に移行する必要があると思っていました。1年間、コンサルティングを受けて「見える化」の情報収集や準備が整ったので、いよいよ自走するためにシステムの情報収集を始めました。ちょうどそのタイミングで、「アスエネ」の営業担当から、改めて連絡をもらいました。 複数社のサービスを比較検討しましたが、システム利用が前提とはいえ、自社の算定フローには不安が残っていたので、コンサルティング機能もある「アスエネ」の導入を決めました。面談時に感じた、営業担当の人の良さ、相性の良さも導入を決めた理由の一つです。 しかし、一番の決め手は、CDPの1次データを使えることでした。当社は海外拠点もあり、サプライチェーンもグローバルに広がっているため、仕入れに関わるスコープ3・カテゴリ1の算定に膨大な手間と時間がかかります。「アスエネ」は、グローバルに広がるサプライヤーの1次データをそのまま活用できるので、当社の算定工数削減と精度の向上につながっています。実際に、2022年度のスコープ3・カテゴリ1の実績は、前年度と比較して2割ほど削減することができました。売上が上がっているなかで、この成果を出すことができたのは、ISO14064-3を取得し、CDPの1次データを使うことができる「アスエネ」により、サプライヤーの削減努力をダイレクトに算定に反映することができたからだと思います。 「アスエネ」は、ダッシュボード上でスコープ1-3の排出量がグラフで見える化され、必要な情報がコンパクトにまとまっている点も非常に使いやすいです。スコープ1-2については連結全体で算定しているため、国内外のグループ会社から活動量データを収集しています。Excelでの管理だと「あのデータはどこに行ったっけ?」といったこともしばしばありましたが、「アスエネ」はエビデンスになるデータと一緒に管理できるため、多くのデータを管理したり参照したりしやすくなりました。「アスエネ」はパソコンさえあれば利用できるクラウドサービスですが、シングルサインオンでログインできるため、セキュリティ面も安心して活用しています。 また、「アスエネ」は機能もさることながら、なんでも相談できるコンサルティングにとても助けられています。迅速に的確な回答をもらえるので、困ったことがあればすぐに相談しています。昨年はCDP回答のコンサルティングも依頼しました。2022年度から取り組んでいますが、スコアアップのためにどのように回答すべきかわからなかったことがきっかけでした。「アスエネ」のコンサルタントによる解説は明瞭でわかりやすく、理解をしながら回答案を作成できるため、非常に心強く感じています。

2024年には、アスエネとともに2050年カーボンニュートラルに向けたGHG排出量削減計画を検討し、2026年度と2030年度の中間目標を設定しました。この目標は、2024年5月に発表した「サステナビリティ中期計画2026」に反映しました。目標設定に際しては、「アスエネ」で見える化した当社グループの現状を基に、アスエネに一緒に検討していただけたことで、客観的に信頼性のある目標数値を立てることができました。さらに、アスエネは海外拠点があるためグローバルでの脱炭素の情報にも詳しく、当社のビジネスモデルや主要な取引業界である石油化学業界にとてもフィットしていると感じます。これからも脱炭素領域の情報の定期的なアップデートや新サービスに期待しています。 当社も含めて、東証プライム上場企業は近年急速に方向転換を求められ、自社のCO2排出量を見える化してきました。ここから先は、精緻な1次データの取得のためにサプライチェーンをどう巻き込んでいくかという、サプライチェーン管理(SCM)が重要になります。次のステージでは、おそらく、中小企業がどこから手をつけたら良いのか悩むことになるので、それを解決する環境負荷の低い商品を紹介することで、当社の役割を拡大したいと考えています。また、アスエネとは業務提携契約も締結しているため、顧客のCO2排出量の見える化から削減ソリューションの提供までをともに支援していきます。 当社は、「サステナビリティ中期計画2026」の中で「環境関連ビジネスの売上高1,000億円を達成」という目標を設定したように、2021年から環境関連ビジネスに力を入れています。当社は、合成樹脂分野(バイオプラスチック、リサイクルプラスチックなど)だけではなく、情報電子分野も強く、再生可能エネルギー関連、蓄電池のビジネスも好調です。今後は、全セグメントにおいて環境関連ビジネスに注力することで、「プラスチックだけではなく、環境対応全般なら稲畑産業」ということを強く打ち出したいですね。 商社として黒子の立ち位置で、目の前の顧客のお困りごとを顧客の立場で解決してきました。この姿勢こそが、当社のサステナビリティの根幹であり、当社の強みである「現場力=お客さまに向き合う力」につながっていると思います。昨今の社会変化のなかでは、顧客や社会のニーズに寄り添い、環境関連ビジネスを拡充していくことは必然の責務です。 またサーキュラーエコノミーだけでなく、今後は、社会貢献もセットで考えることが必要だと考えています。これからのビジネスモデルを検討する際には、シルバー人材や障がい者の方々の雇用・活用にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。 130年を超える歴史のなかで、その時代とともに変化する商慣習に合わせて、ビジネスを展開してきました。この次の100年も、お客さまや投資家、そして未来の若者に選ばれる企業になるべく、変化する顧客と時代のニーズに柔軟に対応できるよう、常に進化し続けていきたいです。
稲畑産業株式会社 業種: 情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂 社員数: 748名、連結:4,631名(2024年3月末時点) 住所: 東京都中央区 1890年創業の化学系商社。合成染料の輸入販売を祖業とし、ケミカル事業を中心に電子材料や住宅関連資材、食品などの分野に事業領域を広げ、現在は情報電子・化学品・生活産業・合成樹脂の4つのセグメントから成る。高度な専門知識やノウハウに基づき、製造や物流などの付加機能を駆使し、顧客の幅広いニーズに応えている。創業以来の「愛」「敬」という人間尊重の精神を社是とし、社会の発展に貢献することを経営理念としている。 ※掲載内容は取材当時のものです。
アスエネ株式会社
営業本部 カスタマーサクセス Manager
「アスエネ」の利用企業として、また脱炭素パートナーとしてお話していただきありがとうございます。グローバルでのサプライチェーンのCO2排出量見える化に対して、CDPの1次データ活用による算定工数の削減と精度の向上に貢献でき光栄です。その結果、2022年度のスコープ3・カテゴリ1排出量を前年度比20%削減することができています。まずは、2030年目標の排出量削減目標達成に向けて、今後も尽力いたします。
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ESGクラウド評価サービスや再エネ調達コンサルティング等も提供しています。

アスエネ(旧:アスゼロ)は、CO2排出量見える化・削減・報告クラウドサービスです。 温室効果ガス・CO2排出量の算出・可視化、削減・カーボンオフセット、Scope1-3のサプライチェーン全体の報告・情報開示を支援します。



アスエネESGは、持続的なサプライチェーン調達を実現するESG評価クラウドサービスです。GRI、TCFDなどの国際的なESGフレームワークに準拠したアンケートを活用して、サプライチェーン上のESGリスクを評価し、改善を支援します。



ESG開示データの収集・管理を効率化、データ分析で最適な意思決定を実現



アスエネLCAは、アスエネとSuMPOが共同開発したCFP / LCA算定サービスです。初心者でも簡単に算定・分析・報告書作成が可能です。

アスエネを利用することで、CO2排出量の可視化を行うだけではなく、
脱炭素を行い企業価値の向上ま でコンサルサービス・削減ソリューションの紹介を通じサポート。


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