「お知らせ」GHG排出量クラウドSustanaの事業承継・統合について

1次産業に関わる企業だからこそ「アスエネLCA」の算定結果を足がかりに、持続可能な水産物供給モデルを築く

株式会社中村衞商事

小売・卸売

少人数でのサステナビリティ対応

中小企業

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ブランド価値向上

海外規制対応

社長 中村さま

公開日: 2025年11月19日

概要

  • 課題

    ・環境変化で海の資源の減少が顕在化し、将来的に事業を継続できなくなるリスクがある
    ・LCA算定で商品に付加価値を付けて、海外展開を視野にブランド化したい
    ・算定を通じて価格の適正化を図り、漁師のモチベーション向上と生産を後押ししたい

  • ソリューション

    ・LCA算定SaaS

  • インパクト

    ・LCA算定は「低炭素」などラベル価値が高まっている欧州への進出時にプラスに働く
    ・天日干しの環境貢献度を見える化することで、商品の付加価値を訴求できる
    ・環境配慮型の生産手法を広めて、生産者ファーストな仕組みづくりの足がかりに

天日干し昆布の環境優位性をLCAで定量的に示し、商品に付加価値をつけたい

株式会社中村衛商事は、札幌に拠点を構える、利尻昆布を中心とする水産物に特化した卸売業です。商品の品質にこだわった天然の昆布を取り扱い、主に京都の高級料亭や割烹などに魚介類や昆布、干物などを販売しています。

昆布の乾燥方法は、大きく分けて2つあります。1つ目は、乾燥小屋に昆布を並べ、ヒーターで熱風を送り込み、効率的に乾燥させる機械干しです。2つ目は、石が敷かれた干場に一本一本手作業で昆布を並べ、8〜9時間かけて自然の力で水分を飛ばす「天日干し」と呼ばれる方法です。当社の主力商品である天然昆布は、天日干しで乾燥しているため、人の手間をかけた分、自然の旨みを十分に感じられる特徴があります。

しかし、天日干しは、天候に左右される上、生産者の高齢化や労力を要するため年々生産数が減少しています。さらに、天日干しと機械干しの市場価格は変わらないため、生産者は、より効率的・安定的に生産できる機械干しを選ぶ傾向があります。

機械干しは作業効率に優れていますが、発熱させるためのエネルギーに電気や灯油を消費するためCO2を排出します。一方で、天日干しは、自然の恵みを生かしていることからほとんどCO2を排出しない、環境にやさしい乾燥方法です。

そこで私たちは、天日干し昆布における環境負荷の低さをLCA算定したいと考えました。LCAで天日干しの環境優位性を示し、「環境にやさしい昆布」と商品に付加価値を付けることで自社の昆布をブランディングしようとしたのです。また、天日干しにかかる漁師の手間を正当に評価し、市場価格を適正化することで、天日干しの生産を後押しし、産業としての持続可能性を高めたいと考えました。

商品の海外輸出を見据えて、LCAの算定は避けて通れない課題だった

1次産業に関わる企業にとって、自然環境の変化は事業そのものの存続に直結します。海水温の上昇や資源の減少など、環境変化によって漁獲量が左右される中、持続可能な環境を整えることは喫緊の課題です。私たちは、環境と共生しながら事業を継続していくためにも、自社の環境負荷を把握し、改善していく必要があると感じています。

当社では、将来的に欧州などへの海外輸出を見据えています。環境意識の高い海外市場で取り引きをするためには、自社のCO2排出量を正確に把握することが不可欠だと考えています。

海外展開の目標に向けて準備をするため、まず国内では農林水産省の「食品産業における持続可能な管理のためのガイドライン」に記載されている、サプライチェーン全体のCO2排出量を把握・削減する方針に注目しています。これらの動向を見ていると、やはり、LCAの算定は避けて通れない課題だと認識しています。しかし、当社は人的リソースが不足しており、算定の知見もなかったため、効率を重視してCFP/LCA算定サービスを導入することにしました。

「アスエネ」を知ったのは、スタートアップのイベントIVS2025です。その後、アスエネの営業担当者の説明を聞き、「ASUENE LCA」は使いやすそうなUI/UXのシステムだと感じてとても好印象でした。

さらに、「アスエネLCA」の比較分析機能により、当社の天日干し製法が従来製法と比べてどれくらい環境負荷が低いかを定量的に示せることや、排出原単位データベース「CORD※」を搭載しているため、環境省のデータベース以上に正確な算定が可能なことも魅力的でした。

加えて、SuMPO(一般財団法人サステナブル経営推進機構)の監修による算定で信頼性が担保されていること、将来的に検討しているカーボンクレジット創出などのネクストステップもアスエネグループで相談できる点も魅力でした。当社は、こうした優位性を総合的に評価し、「アスエネLCA」の導入を決定しました。

「アスエネLCA」導入後、早速自社製品のLCAを算出し、排出源を見える化する取り組みを始めました。算定の結果、CO2排出量の大半が物流に集中していることが判明しました。これまで卸先は京都が中心だったのですが、それに加え、産地に近い札幌への出荷を強化することで、輸送距離を短縮し排出削減につなげました。見える化をきっかけに、販売エリアの配分も「産地近接型」へとシフトしています。実際に、札幌に拠点を置くミシュラン掲載店「壽山」様との取引を開始しました。

アスエネの担当者によるレクチャーのおかげで、LCA算定のハードルが大幅に下がり、前向きに取り組みたいと思いました。水産業界内でも長期的に炭素を貯留するブルーカーボンやLCA算定への取り組みを発信する企業が増え、脱炭素への具体的なアクションが進んでいます。当社も遅れを取らないよう、始めることに意味があると感じています。

LCA算定結果を商品の付加価値として訴求し、天日干し製法を次世代に継承したい

近年、海水温の上昇による生態系の変化や乱獲により天然の利尻昆布が減少しており、私たちは将来的に事業を継続できなくなるビジネスリスクを抱えています。これは水産業界だけではなく、日本の食文化そのものを揺るがす重大な問題です。1次産業に関わる企業だからこそ、環境問題と向き合い、持続可能な供給モデルを目指していく必要があります。

利尻昆布は、もともと成長過程でCO2を吸収する食材です。さらに私たちは利尻昆布を天日干しで乾燥させるため、より低炭素な商品となっています。「アスエネLCA」の算定結果の活用により、当社の商品が脱炭素に貢献していることをより客観的に、わかりやすくアピールできると考えています。

当社は数年以内に、欧州へ水産品の輸出を開始する予定です。当社商品のLCAを見える化し、国内外の取引先に対して、サステナブルなブランドであると周知していきたいです。消費者や料亭などの取引先にも天日干しを一つの価値として考えてもらえるよう、ブランディングに力を入れていきます。

こうした取り組みが、天日干しを行う漁師の正当な評価と、価格の適正化につながっていきます。当社が環境配慮型の生産手法である天日干しの価値を向上させることで、漁師が天日干し製法を選択する動機を作っていきたいです。

私たちは、「漁師よし・料理人よし・海よし」というモットーを掲げ、水産物の卸売業務を超えて、海と日本食文化を次世代へつなぎたいという思いで事業に向き合っています。生産者を第一に考え、料理人へ確かな品質を提供し、持続可能な未来を創っていくことが私たちの使命です。LCA算定は、そのための第一歩だと考えています。

「アスエネLCA」での算定を足がかりに、環境負荷の少ない天日干しや持続可能な漁法の継承、また、生産者に還元される仕組みづくりを業界に先駆けて推進していきます。一連の取り組みは、だし文化を未来に残す挑戦であり、全社的に取り組むべき最重要課題です。次世代に豊かな海を残し、北海道から世界に誇れるサステナブルな水産物供給モデルを築くことが、今後の大きな展望です。

※SuMPOが開発した「製品・サービス」、「燃焼エネルギー」、「廃棄物・リサイクル」のCO2排出原単位で構成されたLCA・CFP算定用データベース

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企業プロフィール

株式会社中村衞商事

株式会社中村衞商事 業種: 水産物の卸売・販売・輸出 社員数: 2名(役員・パート含む) 住所: 北海道札幌市 「売り家と唐様で書く三代目」ということわざがある。創業者は何も無いところから、情熱と努力で事業を成功させ、財産を築き、二代目は、その財産を維持する。三代目は財産を当たり前のものと思い、使い果たしてしまうが、教育教育レベルは高いので、洒落た唐様の文字で売り家と書く。今、日本の海の魚は乱獲と気候変動の影響により枯渇しつつある。このまま漁獲管理をせずに突き進めば、代々続かぬ産業になる可能性が大いにある。私たちは、輸出を通じて日本の漁業を「四代」続く産業になるように情熱を注いでいきます。

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