電気自動車は本当にエコ?二酸化炭素排出量はどのくらい?
- 2023年12月15日
- 環境問題
走行時に二酸化炭素を排出しないことから、環境に優しい車として電気自動車に注目が集まっています。実は電気自動車はライフサイクルにおいては、二酸化炭素を排出しています。電気自動車からはどのくらいの二酸化炭素が排出されていて、本当にエコな車なのでしょうか。
この記事では、電気自動車へ関心のある法人の皆さまが知っておくべき、そもそも電気自動車とはどのような車であるのかや、脱炭素の切り札として注目されている背景などをご紹介します。
目次
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そもそも電気自動車とは?
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電気自動車はなぜ脱炭素の切り札なのか?
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電気自動車ではない自動車から排出される二酸化炭素(CO2)の割合
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まとめ:エコな電気自動車への切り替えを検討しよう!
1. そもそも電気自動車とは?
環境省は、再生可能エネルギー由来の電力とプラグイン・ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車を活用したカーボンゼロドライブを呼びかけています。
これらの電気自動車は走行時に二酸化炭素を排出しないことから、脱炭素を実現させるための切り札として期待されています。どのような燃料で走行するのかなど、電気自動車の種類ごとの特徴を整理しましょう。
プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)
プラグイン・ハイブリッド車は、ハイブリッド車にバッテリーを搭載したものです。電気走行が中心になるため、環境に優しい次世代自動車とされています。電気だけでなくガソリンも組み合わせることができるため、長距離の運転をする時も安心です。
電気自動車(EV)
電気自動車は、バッテリーに蓄えた電気の力でモーターを回転させることで走行します。専用のコンセントがあれば、充電ステーションだけでなく自宅でもバッテリーに充電することができます。
燃料電池自動車(FCV)
燃料電池自動車には、燃料電池が搭載されています。水素と空気中の酸素が反応すると、燃料電池が発電します。その電気でモーターが回転し、走行します。燃料電池自動車は、電気自動車と同様に、走行時に二酸化炭素を排出しません。水素の充填は、水素ステーションで行います。
出典:環境省『Let's ゼロドラ!!(ゼロカーボン・ドライブ))』
2. 電気自動車はなぜ脱炭素の切り札なのか?
政府は補助金制度などにより電気自動車の普及を推進していますが、なぜ電気自動車は脱炭素の切り札として注目されているのでしょうか。ここでは日本における現状として、自動車からはどのくらいの二酸化炭素が排出されているのかや、電気自動車が注目される背景についてご紹介します。
電気自動車ではない自動車から排出される二酸化炭素(CO2)の割合
2020年度における日本の二酸化炭素の総排出量は10億4,400万トンで、運輸部門からの排出量は1億8,500万トンです。割合にすると全体の17.7%です。運輸部門における内訳は、以下の通りです。
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自家用乗用車 8,440万トン/45.7%
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営業用貨物車 40,39万トン/21.9%
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自家用貨物車 3,210万トン/17.4%
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バス 294万トン/1.6%
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タクシー 126万トン/0.7%
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二輪車 75万トン/0.4%
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航空 524万トン/2.8%
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内航海運 986万トン/5.3%
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鉄道 784万トン/4.2%
出典:国土交通省『運輸部門における二酸化炭素排出量』(2022/7/5)
電気自動車が注目される背景
日本は「グリーン成長戦略」において自動車・蓄電池を成長できる分野の1つに位置づけ、電気自動車の普及を推進しています。具体的には2035年に乗用車の新車販売で、電動車を100%にすることを目標として掲げています。このように電気自動車が脱炭素の切り札として大きく期待されている理由は、電気自動車が走行時に二酸化炭素を排出しないためです。
出典:経済産業省『グリーン成長戦略(概要)』(2021/6/18)(p.1)
3. 電気自動車ではない自動車から排出される二酸化炭素(CO2)の割合
エコとされる電気自動車ですが、全く二酸化炭素を排出しないということではありません。走行時には二酸化炭素は排出しませんが、製造時や廃棄などライフサイクル全体において二酸化炭素が排出されます。電気自動車はライフサイクルにおいてどのくらいの二酸化炭素を排出するのでしょうか。
電気自動車からも二酸化炭素(CO2)は排出される
電気自動車は走行時に二酸化炭素を排出しないエコな乗り物とされていますが、製造時や廃棄時などライフサイクルにおいては二酸化炭素が排出されます。ライフサイクルとは、原料調達から製造、流通、廃棄やリサイクルまでの一連の流れを指しています。
ライフサイクルにおける電気自動車からの二酸化炭素(CO2)排出量はどのくらい?
電気自動車がライフサイクルにおいてどのくらいの二酸化炭素を排出しているかについては、ライフサイクルアセスメントを用いて算定することができます。蓄電池の製造時と廃棄時に二酸化炭素が大量に発生することが、特に問題視されています。トヨタ自動車はFCVのMIRAIとガソリン車、ハイブリッド車のライフサイクルアセスメントを実施しています。製造時の段階ではFCVの方が二酸化炭素排出量が多かったものの、走行段階ではガソリン車やハイブリッド車と比較するとFCVの方が二酸化炭素排出量が少ないという結果になりました。
出典:経済産業省『第1回 蓄電池のサステナビリティに関する研究会』(2022/1/21)(p.8)
出典:環境省『自動車による排出量のバウンダリに係る論点について』(p.12)
4. まとめ:エコな電気自動車への切り替えを検討しよう!
この記事では、電気自動車と二酸化炭素をテーマに、電気自動車の切り替えを検討している法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介しました。電気自動車は走行時には二酸化炭素を排出しませんが、ライフサイクルにおいては二酸化炭素を排出します。しかしながら、ガソリン車と比較すると電気自動車の方が環境に優しいことが、トヨタの実証実験により証明されています。電気自動車への知識を深め、電気自動車への切り替えを検討しましょう!