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2025年2月スタート!欧州電池規則のCFP義務化が日本企業に迫る影響と対策

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2025年2月スタート!欧州電池規則のCFP義務化が日本企業に迫る影響と対策

欧州電池規則のCFP義務化について、わかりやすく解説します。欧州電池規則は、グリーンディールの一環で、電池に関するサステナビリティを求める複数の要求事項で構成されています。この規則は2025年2月には一部がスタートしており、欧州向けに輸出をしている企業は対応を余儀なくされています。本記事では欧州電池規則の中でも特にCFPにスポットライトを当て、その概要、CFP対応における課題、規則対応の基本ステップを取り上げます。お読みいただければ、今後の欧州市場においては、CFPをはじめとする脱炭素戦略が欠かせないということがご理解いただけるでしょう。また現実的な解決策として、アスエネのCFP/LCAソリューションについてもご紹介します。

INDEX

2025年の欧州電池規則:CFP義務化とは

欧州電池規則は欧州グリーンディールの中の一規制で、電池に関する材料調達や製造における持続可能性や回収・リサイクルなどについて定めています。その中でも最も早く開始する主要規制の一つは、車載用におけるCFP(カーボン・フット・プリント)申告の義務化です。CFPは製品やサービスの資材調達から廃棄や再生されるまでの全ての過程で発生するCO2排出量を製品単位で算定したものですが、欧州電池規則では、製造者に対してCFP申告を求めています。CFP申告は製造者/工場の情報、バッテリーライフサイクル各段階でのCO2総排出量等CFPの申告を義務化するもので、車載用バッテリーについては2025年2月に規制が開始されています。

出典:経済産業省「令和5年度重要技術管理体制強化事業(蓄電池に係る海外の動向調査)」p4,30,32,37(2024/3//29)

今後の拡大予定

CFPに関しては、CFP申告の次の規制としてCFP宣言の性能クラス分類(ライフサイクル全体でのCO2排出量の大小の識別を容易にするための性能分類の表示)、ライフサイクル全体でのCFPの上限値の導入が順次適用されていく予定となっています。CFP以外の欧州電池規制は、DD(デューデリジェンス)、バッテリーパスポート(BP)、リサイクル効率・材料回収率、再生材含有率などがそれぞれ段階的に導入され、最終的に全て義務化されます。

出典:経済産業省「令和5年度重要技術管理体制強化事業(蓄電池に係る海外の動向調査)」p32,37(2024/3//29)

日本企業が直面するCFP対応の3つの課題

欧州への輸出にあたって、日本企業も欧州電池規則の影響を受けます。CFP対応における日本企業の課題について解説します。

複雑なサプライチェーンからのデータ収集の難しさ

CFPの算定には、自社だけでなく原料調達先や製品の運送業者など、サプライチェーン全体のCO2排出量データが必要です。しかし経済産業省の調査では、サプライチェーン上の自社以外に関するデータを収集している企業は47%にとどまり、そのうち、96%の企業はて、「支配関係のない企業からデータ収集をする困難」「収集範囲の設定の困難」「データ算定ルールなどが未整備」など、グループ外の企業に関するデータの収集に課題を認識しています。

出典:経済産業省「サステナビリティ関連データの収集・活用等に関する実態調査のためのアンケート調査結果」p9(2023/7/18)

正確なCFP/LCA算定のための体制構築

CFP算定に取り組むにあたっては、ある程度の知識や経験が必要です。さらに算定した値を社内で内部検証をする場合、算定者以外においても CFP の知⾒が必要ですが、現時点では、CFP に関する知⾒を持った⼈材が確保できている企業は少ないでしょう。加えて、これまで CFP 算定に取り組んでいない企業、特に環境対応へのリソースが少ない企業においては、CFP 算定に取り組むリソースが不⾜している現状があります。CFP 算定に利用する排出係数などのデータが公開情報だけで⼗分に揃えられるとは限らず、CFP/LCA算定のための体制を構築すること自体のハードルが高いという企業が多く見られます。

出典:経済産業省「カーボンフットプリント レポート」p30(2023/3)

第三者検証の必要性と対応

CFPの信頼性を担保するためには、算定が適切に実施されたか否かを検証することが望ましいとされています。検証には内部監査と第三者検証のいずれかを選択しますが、第三者検証の方が客観的な保証であり、信頼性が高まります。欧州電池規制のように特に公平性が求められる場合においては、第三者検証の必要性について検討しなければならないでしょう。検証機関の要件としては、ISO14065の取得の有無や検証の実績などが求められ、こうした検証機関を適切に選定することも、CFP算定企業にとっては大きな負担となる可能性があります。

出典:環境省「カーボンフットプリントガイドライン」p11,67(2023/3)
出典:経済産業省「第3回サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリントの算定・検証等関する検討会事務局資料」p41(2022/12/7)

いますぐ始める!欧州電池規則への実務対応ステップ

これから欧州電池規制へ対応するための、実務的なプロセスについて解説します。

ステップ1:自社製品の対象範囲とサプライチェーンの特定

CFP算定にあたっては、算定対象とする自社製品の範囲とサプライチェーンを特定することが第一歩となります。自社製品の対象範囲としては「機能単位」と「宣言範囲」があります。機能単位とは、製品システムの定量化された性能のことで、これを定めることで、⼀定の性能あたりのGHG排出量を算出することになります。これに対し宣言範囲とは、機能を実現するための製品の量を⽤いて定義するCFPの算定単位のことです。CFPの算定単位は原則として機能単位で定義しなければなりません。

サプライチェーンの特定においては、ライフサイクルフロー図を作成して、各ライフサイクルステージにおいて、CFP算定対象となるプロセスを明確化します。原材料調達から廃棄・リサイクルの各ステージの中で、どのライフサイクルステージをCFPの算定対象とするかを設定し、算定対象とするプロセスを具体化します。GHG排出量への影響が軽微だと想定されるプロセスについて除外する場合は、除外する理由とその影響を説明しなければなりません。

出典:環境省「カーボンフットプリントガイドライン」p29,31(2023/3)

ステップ2:必要なデータ項目と収集方法の確立

対象範囲が決まったら、CFP算定に必要なデータ項目を検討し、その収集方法を確立します。⾃社の所有⼜は管理下にあるプロセスの活動量については、原則として全て1次データを収集しなければなりません。サプライヤから1次データの提供を受ける場合は、あわせて当該データに関連する情報(排出量、算定の前提条件、バウンダリー、データ収集⽅法・品質等)の提供を依頼することも必要です。

データ収集にあたっては、グループ会社を横断した情報収集システムやデータベースの構築、算定・収集・集計のシステム化(自動化)等のITシステムの活用等による全社横断・部門横断な情報収集体制・収集フローの整備等が挙げられます。

出典:環境省「カーボンフットプリントガイドライン」p44(2023/3)
出典:経済産業省「サステナビリティ関連データの収集・活用等に関する実態調査のためのアンケート調査結果」p8(2023/7/18)

ステップ3:信頼性の高いLCA算定ツール導入の検討

CFPやLCAの算定には、専用のツールを導入することが推奨されます。算定ツールには、商社などが開発した産業横断で活用可能なもの、業界団体が整備したものなどがあります。算定ツール自体の検証を実施するケースも見られるため、算定ツールは信頼性の高いものを選定する必要があります。たとえばISO14040/14044に準拠する算定機能を有し、サプライヤーからの報告数・1次データの使用比率・原材料ごとの排出量が一元管理され、サプライチェーン全体のCFPが可視化されるツールは、導入価値が高いでしょう。

出典:経済産業省「環境負荷の見える化に向けたLCA/CFPに関する調査」p3,6,8,9(2023/3/31)

ステップ4:算定結果の報告体制と検証準備

CFP算定後には、CFPの算定結果や算定方法をまとめた CFP 算定報告書を作成することになります。CFP 算定報告書は必ずしも公開する必要はなく、情報の秘匿性等を考慮した上で、各社が必要に応じて報告項目を選択して提供することもできます。そのため、CFP算定を検討する段階で公開可能な項目を決めておくと、その後のプロセスがスムーズです。

CFPの信頼性を担保するため、内部監査または第三者検証を実施することも重要です。より信頼性の高い第三者検証を採用する場合、検証機関の選定も重要なポイントです。

出典:経済産業省「カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド」p18,19(2023/5)
出典:環境省「カーボンフットプリントガイドライン」p11,67(2023/3)

アスエネのLCA・CFPソリューションで環境負荷を可視化

アスエネには、これまで述べてきたようなCFP算定に関わる一連の業務負担を包括的に解決するソリューションがあります。

複雑な算定業務の効率化

ASUENE LCAは、最短1分でCFP/LCAを算定するサービスです。脱炭素ソリューション 導入社数No.1のアスエネと、30年にわたるLCA算定・検証の実績と信頼を有するSuMPOが共同開発したもので、初心者でも簡単に算定・分析・報告書作成が可能となっています。活動量を入力するだけで簡単にCFP算定でき、洗練されたUIで迷うことなく入力が完了します。

出典:アスエネ株式会社「ASUENE LCA」

データ収集の負担軽減

ASUENE LCAは、SuMPO開発の「CORD」、信頼性の高い公的データである環境省、電力事業社別排出係数を標準搭載しており、データ収集負担が軽減されます。さらにIDEA、ecoinventなど、国際的に認められたデータベースも利用可能です。またアスエネLCAで算定した結果は、取引先にデータ連携することが可能で、データ収集だけでなく、報告業務も効率化できます。

出典:アスエネ株式会社「ASUENE LCA」

国際規格に準拠した算出と報告支援

ASUENE LCAは、日本語、英語に対応しており、グローバル展開している企業様でも安心してご利用いただけます。またアスエネではCDP・SBTi・TCFD・TNFD・CSRDなど、各種の国際的なイニシアチブや規格に対応しており、これらに準拠したCFP算出や報告について支援を受けることができます。

出典:アスエネ株式会社「ASUENE LCA」
出典:アスエネ株式会社「ASUENE」

まとめ:CFPとLCAで欧州市場を勝ち抜く戦略

欧州電池規制は2025年2月から実際にCFP申告などが段階的にスタートしており、今後も順次対象が拡大されます。CFP算定の負担が日本企業にも重くのしかかりますが、これは欧州市場で勝ち抜くチャンスでもあります。CFP算定をはじめとする脱炭素戦略へ先行投資することで、電池規制やその他のグリーンディール政策へ対応できない競合に差をつけ、大きなビジネスチャンスを創出することができます。

そのためには、ぜひアスエネの各種ソリューションをご活用ください。本文でも触れましたが、CFP/LCA算定をはじめ、CO2削減コンサルティングなど脱炭素対応をワンストップで可能とします。

※CFPとLCAの違いについてはこちらこちらの記事をご参照ください。

CFPとLCAで、欧州市場を勝ち抜く戦略を打ち出しましょう。

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