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脱炭素化で「伸びる企業」の銘柄とは?

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脱炭素化で「伸びる企業」の銘柄とは?

企業の脱炭素化への取り組みが加速する中、従来の財務情報だけでなく環境・社会・ガバナンスにも考慮するESG投資の市場規模が拡大しています。脱炭素関連銘柄は環境に関するESG投資に該当します。

日本を含め世界全体が脱炭素社会の実現を目指しているため、脱炭素関連銘柄は今注目の株だと言えます。この記事では脱炭素関連銘柄に関心のある法人の皆さまが知っておくべき、脱炭素関連銘柄に関する基本的な知識についてご紹介します。

INDEX

脱炭素関連銘柄とは?

脱炭素化に向けた企業の取り組みが加速する中、脱炭素関連銘柄への関心が高まりを見せています。ここでは脱炭素関連銘柄とはどのようなもので、脱炭素化を促進する中でどのような産業分野が伸びると期待されているかについてご紹介します。

脱炭素関連銘柄とは?

2020年10月、日本は2050年までに脱炭素社会を実現することを宣言しました。脱炭素社会実現に向け企業の取り組みが活発化する中、ESG市場が急拡大しています。ESG投資とは従来の財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスの要素も考慮した投資のことです。

2006年に投資にESGの視点を組み入れることを含めた機関投資家の投資原則であるPRI(国連責任投資原則)が提唱されました。以降日本を含む世界全体でのPRI署名機関数が順調に増加していますが、このことはESG市場の拡大も意味しています。

脱炭素関連銘柄とは、脱炭素に関連する再生可能エネルギー事業などの事業を行う上場企業の株のことで、脱炭素関連銘柄に投資することはESG投資に含まれます。

PRI署名機関数の推移

出典:経済産業省『ESG』

脱炭素化で成長が期待される分野

2020年12月に経済産業省が主体となり、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されました。政府はグリーン成長戦略の中において成長が期待される14の重要分野を示しています。

  • 洋上風力・太陽光・地熱
  • 水素・燃料アンモニア
  • 次世代熱エネルギー
  • 原子力
  • 自動車・蓄電池
  • 半導体・情報通信
  • 船舶
  • 物流・人流・土木インフラ
  • 食料・農林水産業
  • 航空機
  • カーボンリサイクル・マテリアル
  • 住宅・建築物・次世代電力マネジメント
  • 資源循環関連
  • ライフサイクル関連

出典『グリーン成長戦略(概要)』(2021/6/18)(p.1)

脱炭素化で特に注目の銘柄

脱炭素化への取り組みが進む中、特にどのような企業の脱炭素関連銘柄が注目を集めているのでしょうか。ここでは脱炭素化で特に注目を集めている銘柄についてご紹介します。

・EV(電気自動車)関連

気候変動の原因であるCO2を排出しないEVは脱炭素社会実現の鍵を握るとし、世界でEV市場が急激に拡大しています。日本はグリーン成長戦略において2035年までに新車販売で電動車100%にすることを目標に掲げています。EV生産のために欠かせない蓄電池やパワー半導体の分野も大注目の銘柄です。

〈EV関連株の例〉

ニチコン株式会社は、アルミ電解コンデンサなどの開発から販売までを行っている企業です。アルミ電解コンデンサは家庭用蓄電システムやEVに活用されることから、EV関連銘柄として注目を集めています。

出典:経済産業省『「次世代蓄電池・次世代モーターの開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装の方向性』(2021年7月)(p.6)

出典:nichicon『ニチコン』(2022/1/20)

・洋上風力発電関連

大量導入やコスト低減ができることから洋上風力発電は日本において再生可能エネルギーを主力電源化とするための切り札であるとの見方をしています。事業規模が数千億円になり、多くの企業が関わるため経済効果も高いです。洋上風力発電の関連製品を製造する企業の銘柄に注目です。

〈洋上風力発電関連の株〉

日立造船は環境・プラント事業を主な事業としていますが、造船技術を活用し、洋上風力発電事業にも着手していることから、洋上風力発電関連銘柄として注目を集めています。

出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』(2021/6/18)(p.30)

NEDO次世代浮体式洋上風力発電システム実証機「ひびき」

出典:日立造船株式会社『風力発電』

・水素・燃料アンモニア関連

2050年までに脱炭素社会を実現させるためには、再生可能エネルギーを最大限に導入するだけでなく、水素や燃料アンモニアなど新しいエネルギーの開発も欠かせません。水素や燃料アンモニアは幅広い分野で活用することができ、かつクリーンなエネルギーであることから脱炭素社会実現の鍵を握るエネルギーとして重要視されています。

〈水素・燃料アンモニア関連の株〉

岩谷産業はLPガスや産業ガスを中心としたガス・エネルギー関連事業を展開しています。水素の国内販売で7割のシェアを占めることから、水素関連銘柄として注目を集めています。

出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』(2021/6/18)(p.41.46)

出典:Iwatani『ニュースリリース』(2022/1/22)

・CCS(CO2回収・貯留技術)関連

CCS(CO2回収・貯留技術)とは、工場などから排出されたCO2を回収し、地中深くに貯留する技術です。CCSにより大気中のCO2の量が削減されることから、2050年までにカーボンニュートラルを実現させるために不可欠の技術であると考えられています。脱炭素化と深く関係がある技術であることから、CCS関連の銘柄にも注目が集まっています。

〈CCS関連の株〉

三菱重工業はアメリカのCCSプロジェクトに加わるなど脱炭素化に熱心に取り組んでいます。三菱重工業はCCS設備の設置実績が世界の7割を占めており、代表的なCCS関連銘柄です。

出典:資源エネルギー庁『知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」』(2017/11/14)

出典:日本経済新聞『CO2貯留、日本勢に商機』(2021/9/14)

脱炭素関連銘柄の選び方

数ある企業の脱炭素関連銘柄の中からどのように選べばよいのでしょうか。ここでは脱炭素関連銘柄を選ぶ時のポイントをご紹介します。

ESGへの取り組み確認

脱炭素関連銘柄はESG投資であることから、企業がどのようにESGへ取り組んでいるか確認する必要があります。経済産業省がESG投資に関する運用機関向けに実施したアンケートにおいても、回答があった運用機関の95%以上がESG情報を参考に投資先を選んでいることがわかります。そのような企業のESGへの取り組みが確認できるものとしてはIRレポートなどがあります。

出典:経済産業省『ESG投資に関する運用機関向けアンケート調査を実施しました』(2019/12/24)』

分散投資によるリスクヘッジ

企業の脱炭素関連銘柄にのみ依存するのではなく、異なる分野の脱炭素関連銘柄にも分散投資することでリスクヘッジすることができます。

まとめ:伸びる銘柄を把握し、ESG投資に取り組もう!

この記事では脱炭素関連銘柄についての基本的な知識についてご紹介しました。環境問題や社会問題に関心が向けられることが多くなった中で、ESGに関する観点や、それに基づいた投資は単純な投資活動というだけでなく企業イメージの向上や経営の安定性にもつながります。脱炭素関連銘柄への理解を深め、ESG投資活動の検討につなげていただければと思います。

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