発電・エネルギー

規制緩和で推進:営農型太陽光発電とは?メリットや課題について解説!

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規制緩和で推進:営農型太陽光発電とは?メリットや課題について解説!

荒廃農地における太陽光利用についての規制緩和で普及が期待される営農型太陽光発電とは?営農型太陽光発電とは、荒廃農地の有効活用や地域活性化につながると期待されている太陽光発電設備の1種です。

この記事では、営農型太陽光発電に関心のある法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介します。

INDEX

営農型太陽光発電とは?

営農型太陽光発電は2013年以降順調に導入数を伸ばしており、農地転用規制等の見直しにより今後のさらなる普及が期待されています。ここでは営農型太陽光発電の仕組みや今後の展望、導入数の推移についてご紹介します。

営農型太陽光発電の仕組み

営農型太陽光発電

出典:農林水産省『営農型太陽光発電について』

営農型太陽光発電を農地に設置することで、太陽光を農業生産と発電とで共有できるようになります。農地に立てた支柱の上部に太陽光発電設備を取り付け、その下で農作物を育てます。

出典:農林水産省『営農型太陽光発電について』

荒廃農地での太陽光利用についての規制緩和で普及を推進

2050年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げる日本は、荒廃農地における太陽光発電設備の設置を促す目的で農地転用規制等の見直しを行いました。農地に営農型太陽光発電を設置する上での課題であった8割以上の単収を確保する要件が課されなくなったことで、導入数の増加が期待されています。

出典:農林水産省『再生可能エネルギー導入促進にむけた取組について』(2021/7/6)(p.1)

営農型太陽光発電数の推移

営農型太陽光発電の当年度の新規許可数と前年度までの累計数は、以下のように推移しています。

2013年 96件

2014年 400件

2015年 773件

2016年 1184件

2017年 1511件

2018年 1992件

営農型太陽光発電設備を設置するための農地転用許可件数

営農型太陽光発電設備を設置するための農地転用許可件数

出典:農林水産省『農山漁村における再生可能エネルギーの導 に向けて』(2021/3/15)(p.11)

営農型太陽光発電の4つのメリット

営農型太陽光発電を導入することで様々なメリットを得ることができます。ここでは営農型太陽光発電の4つのメリットをご紹介します。

農業収入と発電収入が得られる

営農型太陽光発電を導入すると、太陽光による発電と農業を同時に行うことができます。農作物の未収穫時期でも売電による収入を得ることができるのです。

出典:農林水産省『営農型太陽光発電について』

発電した太陽光を自家消費できる

営農型太陽光発電により集めた電力は、ビニールハウスの暖房や災害時に自家消費することができます。宮城県気仙沼市で大規模なトマトの施設栽培を営んでいる株式会社サンフレッシュ小泉農園は、発電した電力をビニールハウスの暖房などに利用することで年間600万円の電気代の削減につながったことを公表しています。

出典:農林水産省『営農型太陽光発電について』

荒廃農地の有効活用につながる

荒廃農地での太陽光利用の規制緩和により、これまでは太陽光発電設備設置の条件を満たしていなかった荒廃農地でも設置がしやすくなりました。日本に眠る荒廃農地の有効活用と、太陽光発電設備のさらなる普及が期待されます。

地域の活性化につながる

農山漁村に営農型太陽光を導入することで過疎地における雇用が増え、地域活性化につながります。日本は農林水産省が主体となり食料産業 6次産業化交付金制度を2018年からスタートさせています。

6次産業化は営農型太陽光発電設備の設置により推進が期待されています。農山漁村における6次産業化とは、農林漁業と製造業、小売業などの事業を総合的に推進し、農山漁村における豊かな地域資源を活用し新たな付加価値の創出を目指すものです。

出典:農林水産省『食料産業・6次産業化交付金実施要綱』(2021/3/31)

出典:農林水産省『農林漁業の6次産業化』

営農型太陽光発電にはデメリットもある

営農型太陽光発電設備の設置を決める前に、知っておくべきデメリットもあります。ここでは営農型太陽光発電設備の設置に関するデメリットをご紹介します。

設備設置に手間がかかる・漏電などの十分な安全対策が必要

営農型太陽光発電設備を設置するためには初期費用がかかります。基本的な太陽光発電建設の手続きの他に農地の一時転用の申請が必要です。また営農型太陽光発電では発電をしながら農作業を行うため、漏電など十分な安全対策をしなければいけません。

出典:農林水産省『再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可』

栽培に適さない農作物がある

営農型太陽光発電では農地の上部が太陽光パネルで部分的に覆われるため、長時間太陽光を浴びる必要がある農作物の栽培は適しません。営農型太陽光発電で育てられている農作物にはトマトやお茶、ブルーベリーなどがあります。農作物の他に観葉植物の栽培も行われています。営農型太陽光発電を導入している事業者が、実際にどのような農作物を栽培しているのか事例をご紹介します。

[1]株式会社流通サービス(静岡県掛川市)

茶の栽培は太陽光パネル下で栽培可能であることと、茶の未収益期間に売電収益を得られるメリットから営農型太陽光発電設備を設置しています。茶園を訪問した海外バイヤーへのセールスポイントにもなっているそうです。

[2]ハウステンボス株式会社(長崎県佐世保市)

ハウステンボス敷地内に営農型太陽光発電設備を設置し、ブルーベリーの栽培を行っています。ハウステンボス内のレストランや観光農園における需要を見込んでブルーベリーを選定しています。

[3]株式会社トペコおばら(広島県安芸高田市)

電力購入量を年間約25%削減できる見込みで、ネギの水耕栽培ハウスの横に営農型太陽光発電設備の設置を計画しています。営農型太陽光発電の下の農地では麦の栽培を予定しています。

出典:農林水産省『営農型太陽光発電について』

まとめ:デメリットを考慮した上で営農型太陽光発電の導入を検討しよう!

営農型太陽光発電の取り組みに関心のある法人の皆さまが知っておくべき営農型太陽光発電に関する基本的な知識についてご紹介しました。営農型太陽光発電を導入するうえでいくつか課題はありますが、荒廃農地の活用など様々なメリットを得ることができます。デメリットも考慮した上で営農型太陽光発電設備の導入を検討していただければと思います。

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