EPD入門:環境製品宣言の仕組みと企業が知っておくべきポイント

EPD(環境製品宣言)は、製品やサービスが環境に与える影響を「見える化」する仕組みです。企業は、製品のライフサイクル全体を通じて発生するCO2排出量やエネルギー消費、資源使用を科学的に評価し、第三者機関の検証を経てその情報を公開します。これにより、消費者は環境負荷が少ない製品を選びやすくなり、持続可能な選択をサポートします。

また、企業にとっては、透明性を向上させると同時に、サステナビリティへの真剣な取り組みを示すことで信頼性が高まり、市場での競争力を大きく伸ばすチャンスとなります。この記事では、EPDの仕組みや評価手法、活用のメリットについて、わかりやすく解説していきます。あなたのビジネスの未来を形作るヒントをぜひ見つけてください!

目次

  1. EPDとは?環境情報を可視化して未来を変える仕組みを徹底解説! 

  2. EPDの評価手法と特徴を徹底分析!企業が知るべき透明性の秘密

  3. 国際的に注目のEPDとは?欧米を中心に進む活用の最前線

  4. まとめ:EPDの活用で企業の可能性が広がる!環境とビジネスを両立する未来への一歩

1.EPDとは?環境情報を可視化して未来を変える仕組みを徹底解説!

まずは、EPDの概要とCFP(カーボンフットプリント)との違いについて解説します。

(1)概要

EPD(環境製品宣言)は、「Environmental(環境) Product(製品) Declaration(宣言)」の略で、ISO14025に準拠した製品の環境宣言です。科学的根拠に基づく定量的な環境情報(LCA結果)を、信頼性・透明性を高く提供する仕組みです。

具体的には、LCA結果を製品共通算定ルール(PCR)に従って算定し、第三者機関による検証を経て、製品の環境情報が公開されます。日本発のEPDとしては、SuMPO環境ラベルプログラム(旧称:エコリーフ)があります。

出典:一般社団法人サステナブル経営推進機構:「EPD (Environmental Product Declaration) 概要」p8

(2)EPDとCFPの違い

EPD(環境製品宣言)とCFP(カーボンフットプリント)はどちらもLCA(ライフサイクルアセスメント)手法を活用して製品やサービスの環境影響を評価する仕組みですが、評価対象や目的に違いがあります。

  • EPD
    製品やサービスのライフサイクル全体(原材料調達、製造、流通、使用、廃棄)を通じた環境影響を評価します。評価範囲は温室効果ガス排出量だけでなく、空気や水といった自然資本も含めた多領域評価が特徴です。EPDは包括的な環境情報を提供する仕組みであり、透明性を高めるため、第三者機関による検証を受けます。

  • CFP
    温室効果ガス排出量に特化して評価する指標です。評価対象はEPDに比べて限定的であり、気候変動に関連するCO2排出量のみに焦点を当てています。そのため、CFPはEPDの中で「気候変動」に関連する特定の要素を詳細に評価する役割を担っています。

出典:一般社団法人サステナブル経営推進機構:「EPD (Environmental Product Declaration) 概要」p12

2.EPDの評価手法と特徴を徹底分析!企業が知るべき透明性の秘密

ここでは、EPD(環境製品宣言)の評価手法とその特徴について解説します。製品のライフサイクル全体にわたる環境影響を定量的に評価し、信頼性の高い情報を提供する仕組みを紹介します。

(1)LCA手法を用いた評価の実施

EPD(環境製品宣言)の評価手法には、LCA(ライフサイクルアセスメント)が使われています。この方法では、製品の原材料調達から製造、流通、使用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体を通じて、以下のような環境影響を定量的に分析します:

  • エネルギー消費量

  • 温室効果ガス排出量

  • 水の使用量

また、EPDはISO14025に準拠しており、LCAに関連する国際規格(ISO14040・ISO14044)や、製品カテゴリーごとの算定・宣言ルールを定めたISO14027と密接に連動しています。これにより、評価の一貫性と信頼性が確保されています。

つまり、EPDは科学的根拠に基づいて製品の環境影響を正確に評価し、その情報を透明性高く消費者や企業に提供する仕組みです。これにより、企業は持続可能な選択を促進し、消費者は環境負荷の少ない製品を選ぶための信頼できる指標を得ることができます。

出典:一般社団法人サステナブル経営推進機構:「EPD (Environmental Product Declaration) 概要」p13

(2)ライフステージを問わない評価が可能

「Cradle to Gate」の評価方法は、製造プロセスに関連する部分だけを分析するため、製品の製造段階に焦点を当てる際や、ライフサイクル全体を評価するのが難しい場合に役立ちます。簡易で迅速に行えるこの方法は、手軽に製品の環境情報を把握したい企業にとって効果的な手段です。

出典:一般社団法人サステナブル経営推進機構:「EPD (Environmental Product Declaration) 概要」p13

3.国際的に注目のEPDとは?欧米を中心に進む活用の最前線

EPD(環境製品宣言)は、環境負荷削減の取り組みが進む中で、国際的に注目を集めています。現在、各国で導入が進み、企業が環境情報を開示するための重要な手段として広がりつつあります。ここでは、EPDの国際的な動きについてわかりやすく紹介します。

(1)欧米を中心にEPD取得件数が増加

EPD(環境製品宣言)の取得件数は、特に欧米を中心に増加しています。例えば、建築分野では欧州で16,000件以上のEPDが取得され、建物のカーボン算定ツール「EC3」には10万件以上のEPDデータが搭載されています。

さらに、世界で2番目に長い歴史を持つSuMPO環境ラベルプログラムでは、EPDとCFPの合計で2,000件以上の宣言が行われています。2022年だけでも約300件の新規登録があり、環境意識の高まりとともにEPD取得の動きはますます広がっています。

出典:一般社団法人サステナブル経営推進機構:「EPD (Environmental Product Declaration) 概要」p15

(2)各認証スキームや国際イニシアチブでの活用が拡大

EPD(環境製品宣言)は、建築分野を中心にさまざまな分野で活用が広がっています。

例えば、アメリカの「Buy Clean法」では、連邦政府の土木・建築プロジェクトで使用する資材にEPDの取得が義務付けられています。これにより、使用する資材のエンボディード・カーボン(埋め込まれた炭素量)が一定の基準を満たすことが求められています。

また、欧州では建築製品規則(CPR)の改訂が進められており、建築資材に対してEPDをベースとしたLCA(ライフサイクルアセスメント)情報の提供が求められるようになっています。

このような動きは建築分野にとどまらず、電子電気製品など他の分野にも広がり、EPDの採用がさらに進んでいます。

出典:一般社団法人サステナブル経営推進機構:「EPD (Environmental Product Declaration) 概要」p16

4.まとめ:EPDの活用で企業の可能性が広がる!環境とビジネスを両立する未来への一歩

EPDの活用は、企業の可能性を広げ、持続可能な成長に繋がる重要な手段です。環境問題への関心が高まる中、EPDの取得は社会的責任を果たし、競争力を高める大きな一歩となります。

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