炭素税の先進事例を解説!カナダ・シンガポール・スウェーデンに注目
- 2024年12月25日
- CO2削減
炭素税の各国事例について、わかりやすく解説します。気候変動対策のひとつとして各国で導入されている炭素税ですが、どのぐらいの税率で、いつ徴収され、何に使われているのかなど、詳細に理解している方は多くはないでしょう。そもそも炭素税の在り方自体、国によって考え方が違うこともあり、必ずしも世界共通というわけでもありません。炭素税の運用方法などを通じて、各国の姿勢の差異などが見えてくる場合もあります。
本記事では炭素税の概要、日本における炭素税、世界各国の炭素税先進事例などについて取り上げます。
目次
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炭素税とは
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日本における炭素税
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世界各国の先進事例
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まとめ:炭素税への対応を進め、脱炭素社会を実現しよう!
1. 炭素税とは?仕組みと役割をわかりやすく解説
炭素税は、排出権取引やカーボンクレジットなどと同様、CO2排出抑制を促すカーボンプライシングの一種です。炭素税の概要について解説します。
炭素税の概要
企業などの排出するCO2(カーボン、炭素)に価格をつけ、それによって排出者の行動変容を促す政策手法を「カーボンプライシング」と言います。炭素税はカーボンプライシングの一種で、企業などが燃料や電気を使用して排出したCO2に対して課税するというものです。炭素税以外のカーボンプライシングには、企業間でCO2の排出量をやりとりする「排出権取引」、CO2の削減量を証書化して売買する「カーボンクレジット」などがあります。
炭素税において、企業はCO2排出量に比例して課税されることになるため、エネルギーを使えば使うほど大きな税負担を強いられることとなります。そのため、CO2排出量抑制やクリーンエネルギー導入などの取り組みが加速することが期待されます。
出典:資源エネルギー庁「脱炭素に向けて各国が取り組む『カーボンプライシング』とは?」(2023/5/15)
炭素税の使途
炭素税として納められた税金は、脱炭素事業創出などエネルギー供給者の構造転換や、脱炭素技術の導入など需要サイドの取り組み推進に活用されることが考えられます。あるいは家計の支援に充てる・財政赤字の削減に充当するといった使途もありえますが、課税目的と使途があまりかけはなれていると、課税対象者からの理解を得にくいとの指摘もあります。また脱炭素社会が実現することで、カーボンプライシングによる税収入は将来ゼロになることから、恒久的に必要な財源に充てることは不合理であるとも言われています。
2. 日本の炭素税:地球温暖化対策税の仕組みと効果
日本でも一部で炭素税が導入されています。日本における炭素税について解説します。
地球温暖化対策税の概要
日本では2012年10月1日から「地球温暖化対策のための税」(以下「地球温暖化対策税」)が段階的に施行され、2016年4月1日に最終税率への引上げが完了しました。当税制は、石油・天然ガス・石炭といったすべての化石燃料の利用に対し、CO2排出量に応じて負担を求める炭素税です。具体的には、CO2排出量1トンあたり289円となるよう、化石燃料の量(キロリットル又はトン)あたりの税率が設定されています。
地球温暖化対策税は、課税により化石燃料に由来するCO2の排出抑制を進めるとともに、その税収を活用して再生可能エネルギーや省エネ対策などを強化することを目的に創設されました。