蓄電池業界への転職を成功させるポイントを解説!
- 2024年12月19日
- その他
蓄電池業界は急速に成長している分野で、転職を通して専門知識を持つ人材の需要も増えています。しかし、業界未経験の方でも、正しいアプローチを取れば蓄電池業界への転職を成功させることができます。この記事では、普及が進み急成長している蓄電池業界の現状やその背景、人材需要の増加の分野やその理由、未経験でも活かせるスキル、転職を成功させるコツなどについてわかりやすくご紹介します。
転職を考えている方は、ぜひ、今後の大きな発展が期待できる蓄電池業界に注目してみてください。
目次
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普及が進み急成長している蓄電池業界
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電気・化学業界および太陽光業界経験者の需要が急増中
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マーケット開拓経験が活かせる!業界未経験でも採用される営業職
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タイミングを見極め行動することが転職成功のカギ
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まとめ:蓄電池業界への転職タイミングを見極めキャリアを次のレベルへ!
1. 普及が進み急成長している蓄電池業界
まず、持続可能なエネルギー対策として期待されている蓄電池の市場と今後の展望などを見ていきます。
蓄電池市場の現状と背景
蓄電池は、2050年までにCO2排出をゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するための重要な要素です。電気自動車などにはバッテリーが必要で、また、再生可能エネルギーを主要な電源にするためにも、蓄電池の導入が欠かせません。さらに、蓄電池は5Gの通信の基地局やデータセンターなどの重要な施設をバックアップしたりとさまざまなIT機器にも使われています。
また、蓄電池の世界市場は、2019年では約5兆円でしたが、2030年までには約40兆円までに増えると予想されています。このように、蓄電池はデジタル社会の基盤を支える大切な資源となっています。
出典:経済産業省『参考資料(蓄電池)』p,2.3,(2023/12/21)
政府の支援と政策
日本政府は、2030年までに国内で蓄電池の製造能力を大幅に増やそうとしています。2022年12月に、蓄電池が特定重要物資に指定され、そのための支援として3,316億円が確保されました。この支援は、蓄電池をもっとたくさん作るために新しい設備を導入したり、技術開発を支援する企業を支援することが目的とされています。これにより、日本国内の蓄電池製造が強化され、サプライチェーンが安定し拡大することが期待されています。
出典:経済産業省『参考資料(蓄電池)』p,7,(2023/12/21)
蓄電池市場の将来の展望
蓄電池市場は、車に使われるもの(車載用)と家庭や施設に設置されるもの(定置用)の両方が成長をしています。現在のところ、電気自動車(EV)の普及に伴い、車に使われる蓄電池市場が急速に拡大しています。今は、定置用の蓄電池の市場は車載用の約1/4の規模ですが、2050年に向けてこちらの市場も大きく成長すると予想されています。この市場の流れを考えると、日本国内の投資もまず車載用蓄電池に集中されることが考えられます。
出典:経済産業省『参考資料(蓄電池)』p,3,(2023/12/21)
2. 電気・化学業界および太陽光業界経験者の需要が急増中
脱炭素社会を実現し、蓄電池産業を発展させるためには蓄電池に関する専門知識を持つ人材の育成と確保が欠かせません。そのため、今後、電気・化学業界や太陽光業界の需要が高まると考えられます。
電気・化学、太陽光業界の採用増加の背景
2024年3月の時点で、系統用蓄電池の接続に関する申請状況は、約4000万kWの検討申請と約330万kWの契約申請となっています。これは、2023年5月末時点と比べて約3倍に増加しています。そして、太陽光発電の導入状況は、2030年までに達成すべき太陽光発電の目標が103.5〜117.6GWなのに対し、2023年12月末時点での導入量は73.1GWに達しています。2019年度末から2023年12月末までに、このうち17.3GWが追加されました。
また、政府によって認められたもののまだ稼働していない太陽光発電の量は6.7GWあります。このように、太陽光発電の導入の成長などから太陽光業界の需要が高まっていることが分かります。
出典:経済産業省『今後の再生可能エネルギー政策について』p,34.38.(2024/05/28)
なぜ需要が高まっているのか?
日本は、パリ協定の取り決めに基づき地球温暖化対策を進めながら経済の成長を目指しています。パリ協定とは、世界全体で産業革命以前に比べて平均気温の上昇を1.5℃に抑えることを目標にした国際的な取り決めです。日本では、2030年度までに温室効果ガスの排出を2013年度に比べて26%削減することが目標です。この目標を達成するためには、再生可能エネルギーの利用を増やし、エネルギー効率をさらに高めることが重要です。政府は、2030年度までに再生可能エネルギーの割合を22〜24%にする計画を立て、また、省エネルギーの取り組みも強化していく方針です。
出典:資源エネルギー庁『今さら聞けない「パリ協定」 〜何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~|広報特集』(2017/08/17)
現在の需要の状況は?
蓄電池産業戦略では、国内で150GWhの蓄電池製造基盤を達成させるために、蓄電池関連の人材を量・質ともに増やす必要があるとしています。そのため、政府と民間が協力して2030年までに以下の人材を育成・確保することを目指しています。
・工場の製造ラインでの作業や設備保全を担当する技術系人材を1.8万人
・製品・技術開発、セル設計、電池評価、製造ラインの設計・改善、生産設備の導入・改善を担当する技術系人材を0.4万人
さらに、材料などのサプライチェーン全体で合計3万人の人材を育成・確保することを目指し、20〜30年先を見据え、研究から現場まで蓄電池に関わる人材全体の能力を中長期的に向上させていきます。
出典:経済産業省『バッテリー⼈材育成の⽅向性』p,10.(2023/03/14 )
3. マーケット開拓経験が活かせる!業界未経験でも採用される営業職
営業職は、特にマーケット開拓のスキルが求められる職種のひとつです。業界未経験でも、マーケット開拓の経験があれば、即戦力として活躍できる可能性があります。
営業職の高い需要
最近数年、求人の数と新規求職の申し込み件数が増えています。特に、2022年度の新規求職申し込み件数は、前の年から大きく増えて活発になっています。営業の仕事についても求職者の数が求人の数を上回っており、営業職の人気度が伺えます。これは、雇用情勢が良くなったことから「より良い条件の仕事を探すため」に転職者が増えたことが背景にあります。
出典:厚生労働省『第2章 雇用情勢の動向』p,21.22.23(2024/08/28 )
マーケット開拓経験者の強みとは
マーケット開拓経験者は、自社の製品や技術、サービスがより売れるように、そして新しい販売ルートを見つけることに長けています。これは、マーケット戦略を立てることで、自分たちの得意な分野と顧客のニーズを分析し、試しに販売することで顧客のニーズを製品や技術に反映させることができるからです。その結果、ターゲットとなる市場を明確にし、顧客のニーズに合った製品や技術、サービスを開発することができます。
出典:東京都中小企業振興公社『ニューマーケット開拓支援事業(new_market)』
未経験者でも挑戦しやすい理由
中小企業庁の2024年7月のデータでの、企業の人材育成の状況を見ると「大いに増やした」と「やや増やした」と答えた企業が合わせて4割を超えています。さらに人材育成を増やした企業の取り組み内容を見ると、約7割の企業がOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を中心に育成を強化しています。そして、多くの企業がOJTを中心に人材育成を行っている一方で、OFF-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)も重要だと考える企業もあります。新卒社員や中途社員の定着には、OJTを中心にしつつ、一定程度のOFF-JTも実施していることから未経験者でも営業職に挑戦がしやすいと考えられます。
出典:中小企業庁『環境変化に対応する中小企業』p,22.28.(2024/07/11)
4. タイミングを見極め行動することが転職成功のカギ
転職を成功させるためには、タイミングを見極めて行動することが非常に重要です。適切な時期に転職活動をスタートさせることで、より多くのチャンスを掴むことができ、理想のキャリアに近づくことができます。
自分のキャリアの状況を見極める
転職活動は、現在の会社での役職や将来のキャリアを捨てて、新しい会社での地位とキャリアを得るものです。このため、転職を考えている人や2年以内に転職をした人は、両方のキャリアの展望を明確にしていると考えられます。特に、正社員や役職に就いている人は、キャリアの見通しが立っていると転職しやすい傾向があります。一般的には、キャリアの見通しが立っていることや自己啓発を行うことで、転職希望者が転職活動に移行しやすくなり、転職が成功しやすくなる可能性があります。
出典:経済産業省『令和4年版労働経済の分析』p,189.190.(2022/09/01)
市場の動向を把握する
転職を考えている場合、転職市場で自分を必要としている企業があるかどうかを知ることも大切です。企業が転職者を採用する際の問題点として、多くの企業が「必要な職種に応募する人が少ない」ことが最も多く挙げられています。さらに、「応募者の能力を評価する客観的な基準がないこと」や「採用時の賃金水準や処遇の決め方」も比較的高い割合で課題となっています。これは、労働市場において人材そのものが不足している可能性もある他、自社に適した人材を見つけるのが難しいと感じている企業が多い可能性もあります。
出典:経済産業省『令和4年版労働経済の分析』p,245.(2022/09/01)
現職の状況を見極める
異なる職種に転職する人は、転職先を選ぶ際に自分のワークライフバランスを重視する傾向があります。例えば、転職の理由に「自分の技能や技術を生かせるから」と答えた場合、職種間移動の確率が低い傾向があります。その一方で、「労働条件(賃金以外)が良いから」や「地元だから(Uターンを含む)」と答えた場合は、職種間移動の確率が高い傾向があります。この結果から、自分の能力を発揮したり、賃金を上げたいという動機では職種間移動をする人は少ないことがわかります。また、賃金以外の労働条件や地元で働けることなど、ワークライフバランスに関する理由を重視して転職先を選ぶ人が多いことがわかります。
出典:経済産業省『令和4年版労働経済の分析』p,192.(2022/09/01)
5. まとめ:蓄電池業界への転職タイミングを見極めキャリアを次のレベルへ!
蓄電池は、2050年までにCO2排出をゼロにするカーボンニュートラルの実現に重要です。蓄電池の世界市場は、2030年までに約40兆円に増えると予想されており、蓄電池業界は普及が進み急成長しています。そこで、脱炭素社会を実現し、蓄電池産業を発展させるためには、専門知識を持つ人材の育成と確保が重要となります。そのため、今後は電気業界、化学業界、そして太陽光業界の需要が高まると考えられます。
また、業界未経験でもマーケット開拓の経験があれば、営業職としてすぐに活躍できる可能性もあります。適切な転職のタイミングを見極めて、蓄電池業界への転職を成功させましょう。