ESGコンサルタントとは2026年版|業務内容と転職に必要な力を解説

アスエネキャリア編集部
ESGコンサルタントとは2026年版|業務内容と転職に必要な力を解説

ESG(環境・社会・ガバナンス)コンサルタントという職種は、この数年で求人票に並ぶようになりました。ただ、その業務内容は会社によって幅があり、開示資料の作成支援を指すこともあれば、経営戦略の策定支援を指すこともあります。

この記事を読むことで、ESGコンサルタントの業務を工程ごとに分解し、あなたが担いたい部分を理解できるでしょう。この職種の需要をつくっている制度の流れも押さえられるため、面接で語る文脈が持てるようになります。

また、必要な力を知識と技術と進行に分けて示し、これから学び直しておきたい方向にも触れています。準備の優先順位を決める材料としてお使いください。

この記事を通じて、ESGコンサルタントという仕事を、流行の職名ではなく制度に支えられた実務として理解してください。

ESGコンサルタントの需要をつくっている制度の流れ

開示の義務化が「根拠資料」の整備を求める

金融庁の審議会では、サステナビリティ開示基準の適用を2027年3月期から時価総額の大きい東京証券取引所プライム市場上場企業に順次義務づけ、適用開始の翌年度から第三者保証を導入する方向が整理されてきました。保証が入るということは、根拠資料の整備が必要になるということです。ここに支援の需要が生まれています。保証に耐える資料づくりは、経験者が少ない領域です。

(出典:金融庁「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」事務局説明資料 2025年10月)

排出量取引制度が「算定の精度」を経営課題にした

経済産業省の排出量取引制度は2026年度から本格稼働し、CO2(二酸化炭素)の直接排出量が前年度までの3年度平均で10万トン以上の事業者が対象とされています。制度対象者は排出実績量と同量の排出枠を期限までに保有する義務を負います。排出量が費用に直結する構造では、算定の精度が経営課題になります。算定の精度が費用に結びつくため、支援の要求水準も上がります。

(出典:経済産業省「排出量取引制度」)

国の削減目標が「長期の目標づくり」を促す

2025年2月に閣議決定された地球温暖化対策計画では、2035年度に60%、2040年度に73%という2013年度比の削減目標が示されました。企業が中長期の目標を設定するとき、この水準が参照点になります。長期の目標づくりを支援する需要はここから生まれています。参照点があると、目標の妥当性を説明しやすくなります。

制度が動く時期は、経験の浅い人にも入口が開きやすくなります。開示と算定の資料を読み込んでおいてください。

(出典:環境省「地球温暖化対策計画(令和7年2月18日閣議決定)」2025年2月)

ESGコンサルタントの業務工程を選び分ける

現状把握とギャップ分析は「聞き取りの質」で決まる

顧客企業の現在の開示内容と体制を確認し、求められる水準との差を洗い出す工程です。どの数字が取れていないか、誰が担っているか、承認の経路がどうなっているかという実務的な情報を扱います。ここを飛ばして提案を組むと、実行できない計画になりがちです。担当者が置かれている状況を丁寧に聞けるかが成否を分けます。

算定の仕組みづくりは「設計が後の負荷」を決める

活動量の収集方法を決め、係数を選び、集計の形を整える工程です。単位の統一、出典の記録、更新のしやすさといった設計が後の負荷を左右します。アスエネが提供するようなクラウドサービスを前提に設計する案件も増え、ツールの理解が実務の速度に影響します。更新のしやすさまで設計できると、翌年の負荷が下がります。

開示と説明の支援は「一貫性のある記述」を求める

算定結果を投資家が読める文章に落とし込む工程です。読み手は投資家や監査法人であり、書き手の意図よりも記述の一貫性を見ます。前提が変われば結論も変わるという構造を、誤解なく書き切る力が問われます。前提と限界を書き切る力は、書ける人が少ない部分です。

ESGコンサルタントへ移った事例と後悔につながった事例

「監査の作法」が保証への備えで評価された

30代半ばで、監査法人の会計監査からサステナビリティ支援の部門へ移ったケースが見られます。証憑をたどって数字を確かめる作法が、第三者保証を見据えた根拠資料の整備でそのまま通用したと言われています。環境の知識よりも、数字の裏づけを残す習慣が先に評価された例だと考えられます。証憑をたどる習慣は、環境領域でもそのまま通用します。

「戦略寄り」を期待して実務量に驚いた

20代後半で、事業会社の企画職からESGコンサルタントへ移ったものの、実際の時間の多くがデータの整理と検算に費やされ、想定していた戦略提案の比重が小さかったというケースもあります。会社ごとに業務の重心は違います。戦略寄りか実務寄りかを応募前に確かめておく必要があると言えるでしょう。実務寄りか戦略寄りかは、面接で率直に確かめてください。

事例のわかれ目は「重心の確認」にある

ふたつの例が示しているのは、能力の高低ではなく、会社の重心と自分の得意が合っていたかという点です。資料作成と議論に時間を使う会社か、データの整理に時間を使う会社か。ここを見極められたかが分かれ目になっていると考えられます。得意と重心が合っていれば、立ち上がりも早くなります。

会社ごとの重心は、求人票の職務内容から推測できます。資料作成とデータ整理の比重を、面接で確かめてください。

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ESGコンサルタント転職に向けた実践的な準備

制度は原典で読んで説明できる状態にする

条文を暗記する必要はありませんが、どの制度が誰になにを求めているかを説明できる状態は必要です。省庁や審議会の公表資料を原典で確認する習慣は、この職種の基礎的な作法です。要約記事だけに頼らないでください。原典を読む習慣は、提案の根拠を守る保険になります。

数字を組み立てた経験を職務経歴書で示す

排出量の算定は、活動量と係数の積み上げです。集計の設計、検算、出典の管理といった作業を丁寧にこなせるかが品質を決めます。経理や品質管理で数値を扱ってきた経験は、そのまま通用する材料として書いてください。検算の手順まで書けると、実務の水準が伝わります。

複数案件を並行させた経験を語る

複数の案件を同時に、期限を守って進める働き方になります。顧客側の事情でデータが集まらないことも起こるため、遅れを前提に段取りを組む力が要ります。専門知識よりも先に、この進行の力を問われる場面は少なくありません。遅れを前提とした段取りも、語れる経験のひとつです。

ESGコンサルタントがこれから学び直すこと

社会とガバナンスの領域に手を伸ばす

実務では環境領域の比重が大きい一方、人材や労働環境、取締役会の実効性といった論点も扱います。いずれも数値化の難しさがともなうため、開示の考え方を学び直しておくと担当範囲が広がります。どの領域を担うのかは入社前に確かめておいてください。数値化の難しい論点ほど、開示の考え方が問われます。

資格で環境の全体像を補う

全体像を短期間で押さえるならeco検定があります。東京商工会議所によれば、2006年の開始以来66万人が受験し、39万人を超える合格者が生まれています。そのうえで算定の実務や開示基準の資料に進むと、知識が実務と結びつきます。全体像を押さえると、算定の資料も読みやすくなります。

(出典:東京商工会議所「eco検定(環境社会検定試験)」2024年12月現在)

隣接する職種の業務内容を把握する

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、職業ごとの仕事内容や必要な資格、就労状況を確認できます。事業会社側の担当者がなにを負っているかを知ると、提案の解像度が上がります。支援側に立つほど、相手の職務を理解しておく価値は高まります。相手の職務を理解するほど、提案の解像度が上がります。

隣接する職種を理解するほど、提案の解像度は上がります。事業会社側の担当者がなにを負っているかを知っておいてください。

(出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」)

企業の判断を支える立場に立つ

ESGコンサルタントの仕事は、企業に理念を語らせることではなく、判断できる材料を整えることです。数字の根拠、制度の要求水準、体制の現実。この3つを並べて示せたとき、顧客の意思決定は前に進みます。

制度が動くいまは、正解が定まっていない領域も残っています。だからこそ、わからないことをわからないまま扱わず、確かめて示す姿勢が価値になります。知識の量よりも、確かめる習慣のほうが長く効くでしょう。

まずは開示や算定に関する公表資料をひとつ選び、実際に読み通してください。その体験が、この職種で必要とされる読む力の出発点になります。

アスエネキャリアは、ESG領域で専門性を築こうとするあなたに伴走し続けます。

参考文献

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